芸術家として認められるのはごく一握りの人たちであると思う。芸術家を目指す星のような人たちは、才能がありながらも注目されずに人知れず活動している人たちや、また、もう諦めて他の道に進んだ人たちも多いと思う。
ニューヨークという街はまさに世界中から一旗挙げようと、負けん気の強い人たちがやってくるため、芸術に対しての評価は厳しいと思う。この評価は何も学芸員の資格があるなし関係無しに、本物を見分ける眼力が備わっているというか、イッパシに批評家のごとく語れる人が多いような気がする。
7月12日から9月30日まで、草間弥生展がニューヨークのホイットニー美術館で開催されており盛況である。7月に出かけてみたが、昼過ぎに行ったにも係わらずホイットニー美術館の外側に入場者が列をなして入館のために並んでいた。ホイットニー美術館はメトロポリタン美術館や近代美術館に比べると規模は小さい。それでも十分に大きな箱ではあるが、入館料は18ドルと決して安くない。
草間弥生がルイ・ヴィトンとコラボしたのが影響したのか、若い女性やお洒落に関心のありそうな人たちが多かった。
ニューヨークの五番街と聞けば高級なイメージがあるが、極めつけの一等地が57丁目と五番街が交差する位置と言い切っても良いと思う。その四隅にはルイ・ヴィトンのほか、ティファニー、ブルガリ、そして超高級デパートのバーグドルフ・グッドマンがしっかり抑えている。
ひときわ目立つルイ・ヴィトンのショーウインドウにカメラを向ける若い女性が多い。草間弥生の本物に見間違うほど精巧に仕上がっている蝋人形に、自身の作品の水玉のドレスを着こなし、真っ赤なカツラに大きなサングラス。普通、これを東洋人が、ましてや後期高齢者の年代の方がやってしまうと相当イタイ結果になりそうだが、草間弥生の姿はカッコいい。ルイ・ヴィトンが手がけるショウウインドウでカッコ悪いはずがない。
余計な一言は無駄になることを承知で言えば、日本の歌番組等で流行歌手をアーティストと呼ぶのを不思議に思う。マドンナだってシンガーだ、レディー・ガガだってシンガーだ、エリザベス女王から勲章を貰ったポール・マッカートニーもシンガーだ。アーティストという職業は草間弥生のような才能と知名度と、更に海外でも認められ賞賛される人にこそ相応しいと思う。
※ホイットニー美術館の草間弥生展(7月12日~9月30日まで)
http://whitney.org/Exhibitions
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