来日セレブ警護でおなじみSP牧村博一が激白!「正月が怖い。何もやることがないと発熱しちゃう」

  by ときたたかし  Tags :  

引退が頭をよぎるシークレット・サービスをジェラルド・バトラーが演じる映画『エンド・オブ・ステイツ』が公開中ですが、これを来日セレブ警護でおなじみのSP、牧村博一氏が緊急鑑賞! 空港到着ロビーの写真などで見かけたことがある方も多いと思います。その日本一有名なSPに、かつて警護をしたことがあるバトラーとのエピソードをはじめ、現職を目指そうと思ったきっかけ、またこの世で一番怖いものなどを質問しました!

●来日セレブの警護でおなじみの牧村さんですが、この映画に出ている人で警護したことがある人は?

まさにジェラルド・バトラーは警護したことがありますよ。だからお互い年齢を感じましたね(笑)。確か『<300>スリーハンドレット』の来日の時で、彼は自分の映画を六本木ヒルズに観にいったように記憶しています。一緒にいる時間が長かったので、良い関係を築けたような記憶をしています。

●もともと警備の仕事を始めたのは、 ケビン・コスナーの『ボディーガード』を観てかっこいいな、みたいなあこがれでスタートしたのですか?

いや、僕はかっこいい仕事だと今でも思っていなくて、実はやり始める前から絶対きつい辛いと思っていました。人について人のペースに合わせて行動して、映画やドラマのように毎日出歩いて危険な目に遭うのかと思えば、ほぼ遭わない。そもそもあまり建物の外に出ないんです、人は。身辺警護の対象者を、その人の部屋の前で長時間立って警護する。だからそういう現実を知って、この世界に飛び込んだ感じなんで、だから理想を大きく持って入ってくる人は続かないような気がします。決して映画のような世界ではないと思っているので。

●世間じゃよく聞く話ですよね。「思っていたのと違う」

よく報道される空港やレッドカーペットなどは華々しく見えますが、それはあくまで一瞬であって、それ以外では地道な作業が多い。そういうことを考えると決してかっこいい仕事ではないですね。

●身辺警護ということで、これまでに危なかった経験もありましたか?

いろいろな職業の方を警備しますが、エンターテインメントの世界での危険は雑踏事故であったり、対象者によってリスクの種類が違いますよね。狙われるなどの危機に直面したことはないですね。ただ飲食店から出られなくなったり、イベント会場などで行ってはいけない所に行ってしまってお巡りさんに怒られるとか、そういうことはありました。

●思い切りメンバレしていそうですが、日本のセレブの警護もするのですか?

そうですね。依頼はあります。エンタメファン・韓流ファンの人には知られていますが、一般の人はまったく僕に興味ないと思います。そういう意味では調査するわけではないので、大丈夫だと思っています。逆にあいつ警備だと思われたほうが、心理的抑圧になるのかなと前向きに考えています。逆にお忍びでレストランに行きたいみたいな時は、バレちゃうことはあるかもしれません。だから髪型や服装を変えることもあります。

●どういうタイプが警備の仕事に向いていますか?

ビビりですね。もっと言うと細やかな女性の方が向いていると思います。自分も男性ですけど、男性は雑ですよね(笑)。なんとかなると思っちゃう。でも女性はきめ細かいし、気づく感覚が男性とは違う。腕っ節は男性のほうが上ですけど、気づきが重要。映画やドラマだとバトルシーンがメインになりますが、本来戦う前に危険を回避することが一番大事なんです。目の前にリスクが来た時に危険だと思うのか、ちょっと前に気づくのかでは雲泥の差なんですよね。なるべく距離があるうちにリスク回避ができるきめ細かさが必要なんです。

●怖いことってありますか?

正月が怖いんですよね。何もやることがないと発熱しちゃうんですよ(笑)。

●妄想で仕事するのはいかがですか。用もないのに皇居前とか国会議事堂前とか行くとか。

ああそれは、どうなんでしょう……やってみようかな(笑)。ちょっと正月明けに克服したいと思います(笑)。

●最後に映画の感想をお願いします!

テロの方法が時代を反映していて、今回ドローンが出てきますよね。化学物質など、テロの方法もすごく時代にマッチしている。だから実際に起きたらどうしようと、真剣に考えたりします。でも一方でドローンドームというドーム状にドローンの電波を遮断する機械があるんですけど、なんでそれが出てこないんだろうなとか思ってみたり(笑)。いろいろ思いながら楽しく拝見しましたので、みなさんもぜひご覧ください。

■ストーリー
アメリカが堕ちる――大統領暗殺計画の裏に蠢くのは、世界を破滅に導く巨大な陰謀。
かつて世界を未曾有のテロ事件から救ったシークレット・サービス、マイク・バニング(ジェラルド・バトラー)。英雄として名を馳せ、今もトランブル大統領(モーガン・フリーマン)から絶大な信頼を得ているが、歴戦の負傷は彼の体を蝕んでいた。引退が頭をよぎるようになっていたある日、休暇中のトランブル大統領(モーガン・フリーマン)に空から大量のドローン爆弾が襲いかかる。激しい攻撃の中意識を失い、目を覚ますとマイクは大統領暗殺を企てた容疑者として拘束され、FBIの執拗な尋問を受けていた。何者かが仕組んだ陰謀。なんとか隙を突いて逃げ出した彼は、真実を明らかにするため走り出す。傷だらけの英雄、最後の戦いが今始まる―

映画『エンド・オブ・ステイツ』 大ヒット公開中!
監督:リック・ローマン・ウォー
出演:ジェラルド・バトラー、モーガン・フリーマン、ジェイダ・ピンケット=スミス、ニック・ノルティ
2019年/アメリカ
配給:クロックワークス
映倫区分:PG12
(C) 2019 Fallen Productions, Inc.
公式サイト:http://end-of-states.com/

ときたたかし

映画とディズニー・パークスが専門のフリーライター。「映画生活(現:ぴあ映画生活)」の初代編集長を経て、現在は年間延べ250人ほどの俳優・監督へのインタビューと、世界のディズニーリゾートを追いかける日々。主な出演作として故・水野晴郎氏がライフワークとしていた反戦娯楽作『シベリア超特急5』(05)(本人役、“大滝功”名義でクレジット)、『トランスフォーマー/リベンジ』(09)(特典映像「ベイさんとの1日」)など。instagram→@takashi.tokita_tokyo