8月19日(日)のヤンキースホームグラウンドでの試合でイチローが一試合でふたつのホームランをかっ飛ばしたことをウェブニュースで知る。
笑顔でロッカーに戻り、そこに待つ小西慶三記者始め数多く待つ日本人のレポーターに放つ言葉が美しい。
「私の野球人生の中で特別な試合になりました、ヤンキースに移籍したこの試合のホームランによりヤンキースファンに受け入れられた気がしています。しかし、私としてはファンの皆様の期待に更にこたえるべき一生懸命結果を出し続けていきたいと思っています。しかし、何よりいい気分ですよ」http://www.nj.com/yankees/index.ssf/2012/08/yankees_vs_red_sox_1.html
実はイチローの言葉は、上記リンクサイトのニュースを訳したものなので、ホントウのイチローの言葉ではなく、イチローの発した日本語はこのニュースサイトが日本語を英訳して、その英訳を日本人の私が更に英訳から和訳した回り道も回り道なのだ。以下がその英語の記事。
It is really one of the special moments of my career, coming to the Yankees and being accepted this way by the fans. But I know I’ve got to continue to do well, to continue to earn their respect. But it does feel very good.
調子付いているイチローは38歳、しかし、野球選手としてはピークは過ぎている。アメリカで終える野球人生はヤンキースで締めくくられると思うが、どうもヤンキースに対して懐疑的な気持ちを抱いてしまうのだ。アメリカに住む日本人は成功者や、また、違法に住み続け移民局を恐れている人もいる多種多様である。その日本人は皆一応にイチロー選手の活躍を誇らしいと思っているはずだ。へそ曲がりの私ですら心から嬉しく思う。
ただ、先にも記したようにヤンキースに懐疑的な気持ちを抱くのは、この球団には人情や恩義はまるでないのである。2009年のワールドシリーズで優勝した際、ワールドシリーズ最優秀選手賞を受賞したヤンキース優勝の立役者、松井秀喜選手を冷酷にも無残にも残留を認めなかったのですぞ。日本人選手には冷たい?と、まぁアメリカはスポーツの世界にも多少なりとも差別的なのものが残っているのかな….とも思ってみたものの、しかし、それにしても最優秀選手賞の松井秀喜選手を放出するのはどう考えても異常に思えた。
紳士的な松井秀喜選手は怒りをあらわにすることもなく、静かにニューヨークを去った。
こういう経緯を考えると、日本人の私としてはヤンキースに日本人選手に対しての礼儀はわきまえてくれよ!と伝えられるものなら伝えたい!
イチロー選手に非礼はするなよ、ヤンキース!
今年の前半まではマリナーズのイチローが、ニューヨークヤンキースに移籍した。マリナーズはアメリカの球団であるが、日本資本が入っているので、日本人選手のイチローとしては働きやすい球団であったと思う。また、シアトルは行ったことがないので、判断はできないのだが神戸市と姉妹都市で、神戸にも似た気質を感じさせる。
ただ、移籍したヤンキースの本拠地はニューヨークである。この街は過酷なのである。多くの日本人も観光で来られていると思うが、それは観光滞在中にニューヨークの表舞台を見ているので、華やかでエキサイティングで、ちょっと危険で、心をとりこにするのだが、実際生活している者は、常に楽屋裏にいるようなもので、ニューヨーカーの中でも観光客気分でニューヨークを楽しめるのは、ほんの一握りの成功者達ではないかと思っているほどだ。
松井秀喜選手のヤンキースの扱いを思い返してみるとよい。ワールドシリーズで優勝し、マンハッタンのダウンタウンで大々的にパレードをし、最優秀選手として喝采を浴びたパレードの中心人物を放り出したのである。
このあたりが実にアメリカ的な悲しきドライさで、これはまるでウォールストリートの金融業界の解雇と同じ冷酷さではないかと感じたことを思いだす。松井秀喜選手はヤンキースから放出されて、他球団を渡り歩き辛酸をなめた。
イチロー選手よ、貴兄も松井秀喜選手と同じく聡明で人間性も素晴らしいと思うのですが、ニューヨークというこの苛酷な土地をホームグランドとするニューヨークヤンキースとはドライな関係を心がけることをお薦めします。
イチロー選手の活躍、笑顔、喜びを見るにつけ、松井秀喜選手がヤンキースにした仕打ちを思い出す。礼をもって迎え、礼をもって送り出す当たり前のことをヤンキースには是非学んでいただきたい。
そして、やがてイチロー選手が力尽きたときも、敬意をもって送り出していただきたい。
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