2019年11月7日(木)~12日(火)、東京・六行会ホールにて舞台『魔術士オーフェン はぐれ旅-牙の塔編-』の上演が決定した。本作は、8月に行われた舞台『魔術士オーフェン はぐれ旅』の続編として公演される。主演のオーフェン役を務める松本慎也をはじめ、ヒロイン・クリーオウ役の天音みほ、オーフェンを師事するマジク役の奥井那我人など、前作から続いての配役を務めるキャストや新キャラクターに抜擢された座組で魔術士オーフェンの世界観を作り上げる。原作は、秋田禎信によるライトノベル作品『魔術士オーフェン はぐれ旅』を元に構成。脚本は『家族のはなし』『花嫁は雨の旋律』などの舞台シナリオを担当した吉田武寛、演出は『音楽劇ヨルハ』『プロジェクト東京ドールズ』などの舞台演出経歴を持つ松多壱岱の2人が継続して行う。今回は、俳優の松本慎也、歌手・役者の天音みほ、俳優の奥井那我人の3人に稽古場の様子や本作の公演に向けての意気込みや見どころをインタビューした。
2作目ならではの成長過程や演出要素の期待
――稽古が始まって中盤に差し掛かってきましたが、前作からの続投という点において、お互いの印象からお聞かせください。
奥井那我人(以下、奥井):緊張感がまったくないです!
一同:(笑)
天音みほ(以下、天音):良い意味でね!
――既にお互いのことを知っている間柄ですからね。相手の距離感において意識している部分はありますか?
松本慎也(以下、松本):特にお互いが気になるようなことはありません。今回の舞台稽古初日、演出家の壱岱さんが俺たち3人を見て、「何か嬉しい!」って言ってくださいました。
――馴染みのあるメンバーだから良かったということでしょうか?
松本:みんなが前作の公演を含めて、それぞれの役を生きているので、関係性が出来上がっていました。見覚えのあるシーンをいきなり見られるわけですから、安心感があったんだと思います。それは実際に演技をしている僕らも嬉しいことですから。
――お互いのことを理解しあっているわけですね。
松本:既に安心と信頼の関係が出来上がっています。
天音:前に共演したメンバーと同じ役で違う物語を演じる機会って、何度もあるわけじゃないので、凄く良い経験が出来ています。
――特に『魔術士オーフェン』は、前作の時点で2作目の公演が決まっていました。やはり、前作の稽古時から2作目に向けての気概があったのでしょうか?
奥井:次のことは考えていませんでした。当時は、目の前の稽古に集中していたので。
松本:やっぱり、舞台を作る上で次があるからという理由付けはないです。1つの作品に掛ける想いは変わりませんから。何より、2作目が決まっていたとしても、どこで話し合えば良いのかわからなかったですし。
――そんな2作目のオーフェンも、遂にキャラクタービジュアルが解禁になりました。皆さんにとって、注目ポイントなどはありますか?
奥井:僕の中では、マジクの成長物語に注目してほしいです。前作と本作でマジクの違いがあるので、成長した姿をはっきりとお見せ出来ればと思っています。
松本:舞台の良いところは、物語の入口と出口で自分たちが演じるキャラクターが変わっていくところです。それが演劇の面白いところなので、2時間の上演時間で那我人が演じるマジクがどのくらい成長していくのか……。
奥井:それは見てのお楽しみです!
松本:念願の”あれ”が出るかもしれないしね(笑)
――期待値が上昇していきます! 天音さんはヒロイン役のポジションながら、前作では見事な剣さばきを披露していました。本作ではどのような演技をみせていただけるのでしょうか?
天音:今回は少しコメディに寄った要素が込められています。その中でも、勇敢なクリーオウをお届け出来ればと考えています。キャラクタービジュアルが解禁されて、衣装がシャツとジーンズのカジュアルスタイルになったので、前回以上に動き回る部分は楽しみにしていただければと思っています。
松本:今回は”レキ”がポイントだよね!
天音:そうですね! 原作が好きな方にとっては、レキ=クリーオウと見る方が多いと思うので、ぜひ注目していただけたら嬉しいです。
座長・松本慎也を中心にお互いを支え合うメインキャストの想い
――今回、松本さんにとってはキャラクターの関係値や物語、設定が進んでいる状態で舞台に挑むことになります。座組メンバーも新しくなり、オーフェンとしてだけでなく、座長という視点においてもリードをする立場にあると思います。
松本:そうですね。僕にとって、本作ではいろいろな人と出会っています。前作から続けて出演するメンバーや新しく参加するメンバーなど、本当にたくさんの人と会話や心を交わしています。みんなが持ってきてくれるものをしっかりと受け取って、前進するだけでなく、全員が楽しく魅力的に映るのが良い作品だと思っています。セリフや出番の数ではなく、一人ひとりと対峙して、僕が成長していって、オーフェンとして作品を乗り越えなければいけないことをお客さまにも体感していただけるように努めたいと思います。
――座長としての素晴らしい意気込みを聞かせていただきました。
松本:みんなには助けてもらってばかりです。
天音&奥井:いやいやいやいや!
――つっこみが同時です(笑) それでは、天音さんと奥井さんから見て、松本さんはどのような印象を受けるのでしょうか?
奥井:僕は頼れる兄貴のような存在です。マジクから見てもお師匠様ということもあって、普段から頼れるところがあります。
松本:前作の初めの頃にもインタビューがあったんですけど、那我人は緊張して全然しゃべらなかったんですよ!(笑)
奥井:チャイルドマン役の冨森ジャスティンさんと3人で受けたんですけど、岩のように固くなって動けず……(汗)
一同:(笑)
松本:今はこんなに柔らかくなってくれているので、凄く嬉しいですね!
――松本さんからは相手に対する愛情を感じます。
天音:作品に対する愛も強いんですよ! 誰よりもオーフェンの作品を愛しているというか、演技でもたくさん助けていただいています。「もっとこうしたらクリーオウっぽいよね」とか、アドバイスをいただけるので、前作から頼れる先輩だと思っています!(笑)
――親しみやすいという印象でしょうか?
天音:何でも相談できる感じがあります。「本当にオーフェンでありがとうございます!」って気持ちでいっぱいです!
――松本さんは、舞台、稽古場、座長など、様々な視点から見ても重要なポジションにいるようですね。
松本:みんなが僕のことをオーフェンとして見て接してくれるので、オーフェンでいられるというか。本当に2人には助けてもらっている部分がいっぱいあるんですよ。人間って十人十色で、本当に発想が違うんです。クリーオウって本当にお転婆な女の子なんですよ。それを嫌味なくクリーオウとしていられるので、役者としてのみほちゃんから凄い良い刺激を受けています。那我人のマジクも、僕だったらチョイスしなかったことを表現するので、それが作品にエッセンスとして良い影響を与えてくれます。僕にとって本当に心地が良い環境です。
新メンバー、演出家、全員で作り上げる座組の本質
――お互いにとって、良い間柄を築けていることがわかりました。続いて、新メンバーが加わっての稽古場の雰囲気を教えてください。
松本:みんな芝居に真面目です。稽古をするときに気持ちが切り替わるので、全然心配していません。
天音:常に話し合っているというか、一人が演技をして「ここはこういう風にしたらいいんじゃない?」って、声を掛けてくれる環境で稽古ができています。お互いに意見を出し合って、みんなで話し合う空間が凄い素敵だなって思っています。
松本:演出家の壱岱さんも含めて、みんなの意見を取り入れてくれるというか、最終的に一番良いものをブラッシュアップして決めていく。自由なクリエイティブ要素が詰まった稽古場になっていると感じています。
――みんなで1つの作品を作り上げていることが伝わってきました。演出家の壱岱さんの指導で感じていることは何かありますか?
天音:挑戦させてくれる演出家さんだと思っています。壱岱さんから「クリーオウが合っているね!」と言っていただけて、今では自由にやらせていただいています。いろいろと試して「これがいいね」と提案もしていただけるので、クリーオウみたいに何でもチャレンジすることが出来るので、本番では良い表現方法を選んでお見せできると思っています。
松本:みんなの意見を取り入れてくださるというか、みんなと一緒に作っていく演出家さんだと思います。そこは凄くやっていて楽しいです。僕らは役として生きていくと客観的な目が無くなってしまうんです。そこをちゃんと証明してくれるだけでなく、技術面も含めて最終的にバランスを整えてくれるので、絶大な信頼感を抱いています。
奥井:僕は前作から「好きにやっていいよ!」って言われていたんです。別の舞台でもお世話になっていたこともあって、アドリブも含めて安心して自分のお芝居が出来ています。
――メンバーそれぞれの個性や性格を含めて指導を行っている印象を受けます。
松本:一緒に舞台を作っていると、壱岱さんは本当に人が好きなんだというのがわかります。人が好きだから、ちゃんと相手を見て、どうすれば輝ける役作りができるのかアドバイスが出来るんだと思います。
天音:いつも良いところを見つけてもらっています!
奥井:ちゃんと僕らの演技を見てくれているんですよ!
メインキャストが明かす座組と物語の魅力
――演技をしていく上で、ご自身のキャラクターで力を入れている見どころのシーンなどはありますか?
松本:女性に振り回されるオーフェン、でしょうか。
天音:そうかも!
松本:前作から、クリーオウ、アザリー、ティッシなど、いろいろな人に振り回されているので、そこはぜひ楽しみにしてほしいです!
奥井:僕にとっては見どころがたくさんありすぎて困っています。でも、マジクが魔術を使えるようになったところや殺陣に参加しているところは見てほしいです。他にも、映像で魔術を構成するところにも注目していただきたいですね。僕もまだ映像付きでは体験していないので、きっと合致出来たら気持ちが良いんだろうなぁ(笑)
天音:私は前作ではオーフェンの足を引っ張ったり、うっかり邪魔をしてしまったり…といったシーンもあったのですが、本作ではオーフェンの役に立ちたい気持ちが強くて、一人で空回るシーンがあるんです。だけど、一所懸命に頑張る姿、オーフェンの力になろうとするたくましさが表れていると思っています。きちんと演じ分けができるようにします!
――ご自身の演じるキャラクター以外で気になる登場人物はいらっしゃいますか?
松本:アザリー、あのシーンで登場する部分とか!
天音:あっ、あっ、あっ、わかります!
奥井:最後らへんですよね!
天音:あの一言はいいですよね!
松本:メチャクチャ格好良いよね!
――凄く気になりますね! そして、アザリーがキーパーソンになることが予想できます。
松本:全体の物語を通して、アザリーは重要人物ですね。やっぱり前回と変わらず、なみお(花奈澪)がやってくれるので、そこも見どころの1つじゃないでしょうか。
奥井:僕はボルカン、ドーチンの2人です。役じゃないときの2人も面白いんですよ。その2人が役に入ると更に面白い!
松本:初めて立ち稽古をしたときも「これこれ!」って思った!
奥井:みんなが思ったんじゃないですか(笑)
――それは言葉の掛け合いですか? それとも2人が何かアクションを起こすことでしょうか?
天音:どっちもじゃない?
奥井:両方!
松本:もはや2人のキャラクターだよね!
天音:何をしててもボルカンとドーチンだなって思います!
――3人の息がぴったりです(笑)
天音:でも、私の中では新キャラクターのパトリシア、ティフィスの兄弟が気になります。ボルカン、ドーチンとも絡んだりするので、4人のコメディパートがさく裂します! 2人を見ていると、とにかく癒されます。
――癒しですか?
天音:前回は、マジク、クリーオウ、ボルカン、ドーチンの4人がコメディパートというか、ほっこりシーンだったんですよ。でも今回は、パトリシア、ティフィス、ボルカン、ドーチンのやり取りで見られる温かいシーンが多いと思います。
――要素としては、楽しくもあり、温かみもあると。
天音:「ふふふ!」と笑ってしまう部分もあるかもしれません(笑)
――それでは最後に舞台公演を楽しみにしている皆さんへメッセージをお願いします。
奥井:今回のお話はマジクがとにかく成長しています。たくさんのキャラクターと絡むだけでなく、一人で行動したり、敵と戦ったりします。僕にとっては全てが見どころです! でも一番の見どころは魔術を出せるところですね!(笑)
天音:今回のクリーオウは、オーフェンの役に立ちたいとか、たくましい姿や心優しい部分も見られるんじゃないかなと思っています。オープニングも前作と違う感じになって、みんな見たら「ああっ!」「こんな感じなんだ!?」と感じるかもしれません。本作も新木美優ちゃんが振付師を担当しているので、楽しみにしていてください! 第3弾に繋げられるように、盛り上げていけたら良いなと思っています(笑)
松本:前回はたくさんのお客さまからご好評をいただけました。特に僕らが嬉しかったのは、原作ファンの方々にも好意的に受け入れていただけたことです。舞台作品として楽しんでいただけたので、その想いに僕たちもちゃんと応えられるように作品を作っています。僕は座組のみんなとお芝居をしている中で、みんなで会話を交わして心を動かし、1つの舞台作品を作っていると思っています。殺陣や魔術がある真っ直ぐな演劇を真剣にやっているので、原作を知らない方や本作を初めて見るというお客さまにも楽しんでいただける演劇作品をお届けしたいと思っています。ぜひぜひ劇場に足を運んでいただき、オーフェンの世界を堪能してください!
※集合写真、個別写真は記者撮影
※稽古写真はオフィシャルスチール
(c)秋田禎信/TOブックス/舞台『魔術士オーフェン』製作委員会
【公演情報】
舞台「魔術士オーフェン はぐれ旅-牙の塔編-」[リンク]【上演会場】
六行会ホール[リンク]【ストーリー】
キエサルヒマ大陸の魔術士養成機関の最高峰《牙の塔》。
15歳の少年キリランシェロは、そこで黒魔術士として将来を期待されていた。
しかし、実験室で義姉アザリーが怪物に変貌した日から、キリランシェロは名前と将来を捨て、オーフェンとなったー。
それから5年後。
オーフェン一行は旅の途中で突然の襲撃を受ける。
その襲撃者の姿は、かつて《牙の塔》で『鋼の後継』と称えられていた「キリランシェロ」の姿に酷似していた。
オーフェンの思惑とは裏腹に《牙の塔》の陰謀が動き出すー【キャスト】
オーフェン:松本慎也
クリーオウ:天音みほ
マジク:奥井那我人
ボルカン:西尾来人
ドーチン:中村悠希
キリランシェロ:上堂地かんき
フォルテ:小栗諒
レティシャ:千歳ゆう
パトリシア:松岡ななせ
ティフィス:田中宏輝
スエイン:門野翔
ハイドラント:及川洸
ヴィンビ・ストットアウル:高岡裕貴
アザリー:花奈澪
ウォール・カーレン:末野卓磨
アンサンブル:松田浩毅、寺田遥平、飯嶋耕太、足利至、小倉江梨花、梅田祥平【上演期間】
2019年11月7日(木)~12日(火)【上演タイムテーブル】
11月7日(木)19:00
11月8日(金)19:00
11月9日(土)13:00/18:00
11月10日(日)13:00/18:00
11月11日(月)19:00
11月12日(火)14:00【チケット料金(全席指定・税込)】
【特典付S席】10,000円 前方6列
※特典:非売品フォトブック/キービジュアルポスター
【S席】8,000円 前方6列
【特典付A席】8,500円
※特典:非売品フォトブック/キービジュアルポスター
【A席】6,500円【スタッフ】
演出:松多壱岱
脚本:吉田武寛(LIPS*S/ILLUMINUS)
美術:照井旅詩
照明:小川幸一
音響:田中慎也
劇伴音楽:菅井裕典(SASA PRO.)
映像制作:曾根久光(co:jin project)
映像オペレーター:菅井裕典(SASA PRO.)
衣裳:及川千春(とわづくり)
ヘアメイク:青山亜耶
小道具:矢花イサハル(MATE-REAL)
殺陣振付:小栗 諒(ASSH/Odd.)
振付:新木美優
演出助手:大塚侑子(ASSH)
舞台監督:住知三郎
宣伝美術:尾花龍一(MONSTERS,INC)
宣伝カメラマン:遠山高広(MONSTERS,INC)
票券:田原綾乃(style office)
制作:佐野木雄太(ILLUMINUS) 長谷川雅也(舞台製作団体 BMG) 山根容子(style office) 泉優奈(style office)
制作協力:井川楊枝
プロデューサー:米田 基、小宮山薫【主催】
舞台『魔術士オーフェン』製作委員会