どうもどうも、特殊犯罪アナリスト&裏社会ライターの丸野裕行です!
あなたは、“貧困暴力団”という言葉をご存知でしょうか?
暴力団新法が施行され、肩身が狭くなった暴力団。様々なシノギがまったくできなくなってしまいました。
そこにきて、某日本最大の広域指定暴力団組織が分裂を繰り返し、組織の枝の枝に属する組員たちは、抗争などに右往左往。
シノギも手につかないまま、組員たちは貧困にあえいでいるというのです。
そこで、詳しく“貧困暴力団”のお話を聞くために、約2年前に足を洗い、現在は妻が経営しているラウンジのマスターして、堅気の生活を送るG氏(52歳)にお話を聞いてみました。
暴力団員が集団で万引き?!
丸「ヤクザが貧乏になるなんて、本当にあり得るんですか?」
G氏「あり得る、あり得る。だって、生活できないもん。オレもスーパーにペットボトル何本もぶら下げて、事務所用に無料のイオン水とか何本ももらいに行ってたもん(笑)みかじめ料も取れないし、組織の中ではご法度になっているシャブに手を出すわけにもいかないし……。中には、当たり前にいるけど(笑)。最近では、全国で、ヤクザの密漁者とか、組員がスーパーで食い物を集団万引きするとか、いっぱいある」
丸「本当ですか? 本当だったんですね」
G氏「“腹減ったよな、やっちゃおうよ”ってなるわけ。手口もすごく荒くなってるし、逆に人なんてすぐ襲っちゃうんじゃないかな。それがイヤで、オレは辞めたけど。代紋が入ったバッジやバラした拳銃をネットオークションで売ってるやつもいるしね。驚いたのは、歴代の上層幹部からの電話番号が入った名簿をネット販売しているやつもいたよ。ホント信じられない」
丸「ヤバくないですか?」
G氏「拳銃や借金で逃げた兄貴分の高級車を担保に金を借りてたやつもいたね。警察も、切羽詰まって金を集めている組員の組織化に敏感になってるよね。半グレと組んで、押し込みやったり、オレオレやったりしてるんだから」
電気代を押さえる機器を売るヤクザ
丸「僕昔、とある組員の人からネットワークビジネスとして、電気メーターに接続して電力を抑えるって機械を“売るの手伝ってくれないか?”って言われたことありますよ」
G氏「あのコンビニとか電気をよく使う店舗に行って、営業しているやつね。知ってる、知ってる。ヤクザなのに何やってんだっての。電気料金が3分の1くらいになるやつ。電力会社ダマしてる、詐欺だよね」
丸「マルチ商法詳しかったんですが、ええ、お断りしました(笑)」
G氏「多いのは、やっぱり簡単なのは、身分を隠して生活保護費を受ける詐欺でね。ほら、オレらって、普通に携帯電話も契約することはできないし、通帳も強制解約されるし、とてもこれまで抱えていた住宅や車のローンが払えないわけですよ。もう生きていられないと思って、バンザイしたんだけど、辞めたとしても未だにクレジットカードも作れないけど……」
丸「そうなんですか」
G氏「離脱後、5年間はムリだから。それもこれも、暴力団排除条例ができて、若い衆をとっても、住むところも、飯もみてやれなくなったから、暴力団員の高齢化が進んだのが原因なわけですよ。米すら買えない、電気もガスも止められたりしている組事務所もあるくらいだから」
丸「はぁぁぁ」
暴力団は人が作りあげものを奪うのが仕事だった
G氏「元々暴力団というのは、みかじめ料のように、“あなたを守りますから、あなたが働いたお金の一部を収めてください”というスタンスで生きてきたわけですよね。でも、それが崩壊したから、短絡的にATMにブル(ブルトーザー)を突っ込ませて現金を盗むとか、ムリヤリに出してくれる(金)ようにだまし取るとかにいっちゃったんだね。哀しいよ」
丸「偽造カードで、全国のATMから18億ぐらい引き出された事件もありましたもんね。貧しくなると、簡単に犯罪に手を染めてしまうわけですか」
G氏「まぁ、あれは出し子とか使った知能犯だから、まだ賢く動く方。多分ムショ(刑務所)の中かなんかで、半グレたちと繋がってやったんじゃないかな。オレらは“このままいったら、銀行強盗でもやらなくちゃな”って方だから……。高級車窃盗とか……。だから、辞めたの(笑)。このままやってて、もし懲役食らって、出てきたときにもう組がなかったなんて話はよく聞くよね」
丸「そんなことも……哀しいような気がします」
今はメシも食えるし、幸せです
G氏「やっぱりね、人間ってのはひもじい思いをすると、ロクなことを考えない。半グレなんかは、いい車に乗りたいとか、いい女を抱きたいとか、毎日クラブのVIPルームでパーティーがしたいとか、昔の栄華を極めた正真正銘のヤクザみたいなことを考えていて、何の規制もないから暴れられるけど、オレらはそうはいかないからね……」
丸「Gさんはなぜヤクザになったんですか」
G氏「ウチのオヤジはやっぱり男気があってカッコよかったから惚れたんですよ。でも、古臭いかもしれないけど、今の組織ってのは、オレが考えていたものとは違うもん。今はメシもちゃんと食べられるし、幸せですよ」
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今、全国には24の指定暴力団があるそうなのですが、この後どのように変貌を遂げるのか……。
元ヤクザの誰もがマジメに働くことは難しいのでしょうが、“幸せです”と言ったG氏の顔は本当に穏やかなものでした。
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