寛一郎が初の時代劇を述懐 「現代の子どもたちって忍者を観てカッコいいって言ってくれるのかなって」

  by ときたたかし  Tags :  

『キングダム』で鮮烈なアクションを魅せた坂口拓がアクション監修を手がける映画『下忍 赤い影』『下忍 青い影』が連続公開され、それぞれ若手実力派・寛一郎、結木滉星が主演を務めている。時は幕末、歴史に名を残す志士たちとは裏腹に、最前線の実行部隊である名もない忍者=下忍にスポットを当てた本作では、緻密な諜報戦や壮絶な活劇を描いていく。『下忍 赤い影』で初の時代劇に挑戦した寛一郎は、本作をどういう想いで見つめていたのか。『ナミヤ雑貨店の軌跡』『菊とギロチン』など、今後の日本映画を担っていく若手演技派に、さまざまなテーマで話を聞いた。

公式サイト:https://genin-movie.com/pc/main/

●軽やかなアクションに心奪われましたが、実際いかがでした?

楽しかったです(笑)。アクション監修の坂口拓さんを含め、チーム全員素晴らしい方たちばかりで、イチから教わりながら充実した日々でした。

●アクション時代劇は、初挑戦だったそうですね?

そうですね。もともとトライはしてみたかったので、自分にとって大きな経験になりました。アクション映画が子どもの頃ものすごく好きで、かっこいいなというあこがれがありました。もう夢が叶ったような感じです。

●坂口さんが直前に殺陣を変えたこともあったとか?

そうですね(笑)。びっくりしました。当日に殺陣を教えていただいて組み直して、正直ヤバいなと思ったのですが、もうやるしかなかったです。でもその5分長回しのカットが、全撮影の中で一番楽しかった。僕と結城滉星くんの殺陣が体に染みつているものだったので、だからこそできた。それこそ気合いで乗り切ること自体がアクションだなとも思いましたね。

●下忍の末裔・竜についてはいかがですか?

竜はノリは軽いけれど、やる時はやるような男なんです。ただ彼は、忍びの里を出て、それなりに大変なこともあったとは思うけれど、結木滉星くん演じる尚と比べると人生の重みが薄い(笑)。だから、彼自身にストーリーはないのですが、それだけに彼は何者かがまったくわからないので、それをひたすら追い求めていく展開が、僕はすごく気に入っていました。

●下忍という忍者の物語については、いかがですか?

とても面白い題材だなと思いました。激動の時代である幕末に、たとえば新撰組ほど確かなものではないけれども、忍びの生き様のようなものには興味を持っていたので。ただ、作品自体は時代劇ではあるものの、言動も現代っぽくて、衣装もエンターテインメントになっている。そういう意味では、忍びという概念だけに囚われて作ってはいない自由な作品ですね。

●それだけに、観ている人も感情移入しやすいかもしれませんね。

そうですね。何者にでもなれるところは、確かにあると思います。あと、竜は、ズボラで面倒くさがり屋で、普段けだるそうにしているけれど、やる時はやる男。その緩急みたいなところは男として持っていたいし、竜もまさにそういう男だと思うので、竜もちょっとカッコいいんです(笑)。

●最後になりますが、今回の作品、どういう人たちに観てほしいですか?

子どもたちに観てもらいたいです。現代の子どもたちって、忍者や下忍を観て、はたしてカッコいいって言ってくれるのかなって気になります。いまの子どもたちが思うカッコいい存在って何だろうって。僕らの時代には、カッコいい存在っていましたが、いまはそういう存在がいないような気もするんです。忍者カッコいいってなってくれたら、うれしいですね。

『下忍 GENIN 赤い影』寛一郎 主演 2019年10月4日(金)公開
『下忍 GENIN 青い影』 結木滉星 主演 2019年11月15日(金)公開

(C) 2019「下忍」製作委員会

ときたたかし

映画とディズニー・パークスが専門のフリーライター。「映画生活(現:ぴあ映画生活)」の初代編集長を経て、現在は年間延べ250人ほどの俳優・監督へのインタビューと、世界のディズニーリゾートを追いかける日々。主な出演作として故・水野晴郎氏がライフワークとしていた反戦娯楽作『シベリア超特急5』(05)(本人役、“大滝功”名義でクレジット)、『トランスフォーマー/リベンジ』(09)(特典映像「ベイさんとの1日」)など。instagram→@takashi.tokita_tokyo