上白石萌音&山崎紘菜が“起業”を語る 映画『スタートアップ・ガールズ』インタビュー

  by ときたたかし  Tags :  

初共演となる女優の上白石萌音と山崎紘菜が出演する、“起業”がテーマの映画『スタートアップ・ガールズ』が公開中だ。一昔前なら小学生の夢でもあった“社長”は、ある種の人生の目標で到達点でもあったが、昨今の“起業”はともても身近なもので、誰もがチャレンジしうる出来事と語るふたり。映画を経て考え方にも変化したという彼女たちにさまざま話を聞く。

●映画のタイトルになっている<スタートアップ>については、そもそもご存知でしたか?

上白石:今回初めて知りました。起業というと才能がある一握りの人たちによるものだと思っていて、自分が交わることのない世界と思っていましたが、映画に出てみて、意外と開かれている世界だなと思いました。事前に起業家の方々にインタビューもしたのですが、みなさん普通ではあるものの、日常で気づいた小さな引っ掛かりを解決しようとする過程で起業をされていて、能力の問題ではなく、自分自身の問題だなって思いました。

山崎:学生の方々をはじめ、誰でも起業する世の中になっていることを知って、自分の中の概念が変わりました。学校を卒業したら就職するというパターンしか知らなかったけれど、誰でも起業できるという現実を知って、いろいろな可能性や新しい世界を見たような気がしました。

上白石:どれだけパッションがあるかで、誰でも起業家になれるんだって、そう感じました。距離が縮まって、身近な題材だなって思いました。

●小松光と南堀希という対照的な女子を演じる上で、意識したことは?

上白石:ハチャメチャな子なのですが、振り幅も大事にしました。一方では繊細なので、陰と陽じゃないけれど、深みとリアリティーを持たせたかったですね。ハチャメチャにしていることにも理由はあって、人に器用に伝えられない不器用なところや、奔放に見えても抱えているものがけっこうな影だったりする。二面性みたいなところは、かなり意識しました。

山崎:わたしは彼女が演じる光という才能を目の当たりにしている普通の子というか、自分は普通だと思っている堅実なOLの役だと意識していました。普通の人を演じることは難しかったです。あとは天才の光に振り回される子だったので、撮影現場でもとことん振り回されようと。

●もしも自分で起業するなら何をしたいですか?

山崎:日頃モデルのお仕事もしているなかで、食べないダイエットなど偏ったやり方を間違った情報に基づいて実践してしまい、体調を崩したことがあるので、ダイエットしたい方々と栄養管理士さんをつなげるシステムを作ってみたいです。健康的にきれいにやせる方法が日常的に正しく広まれば、わたしのような思いをする人も減るかなと思いました。起業をすることで少しでも世の中にためになり、人の役に立てればいいですよね。

上白石:いろいろ妄想するのですが、大人同士の交換留学を思いつきました。日本と海外でもよくて、同じ職人さん同士を交換留学して、お互いの技術を学び合うことは面白そうだなと思いました。学生は今の時代、当たり前のように交換留学、交換ホームステイがありますが、それの大人版。

●本作は、どういう人たちに観てほしいでしょうか?

山崎:扱っている題材が起業やお仕事の話ですが、実は青春映画になっていると思っていて、人と本気でぶつかり合うことや、無我夢中で何かを成し遂げようとするふたりの姿をいろいろな人に観てほしいです。いろいろなものに立ち向かう勇気だったり、好きなものを追い続ける勇気などを感じて、立ち止まっている人の追い風になればいいと思います。

上白石:起業を身近に感じてくれると思います。何も特別なことではく、世の中をちょっとよくしたいと思っている人が情熱をもってやることだなという。それはみんなにチャンスがあることだと知ってほしいですね。起業に結びつかなくても、ちょっとした気づきが自分のアクションとなり、自分を変えてみるきっかけになれば、わたしたちはうれしいです。難しい映画ではないので、外を散歩するような気持ちで、まっさらな気持ちで観ていただければ、何かしらを持って帰れる作品になっていると思います。

映画『スタートアップ・ガールズ』
TOHOシネマズ日比谷ほか全国にて公開中!
出演:上白石萌音 山崎紘菜 山本耕史ほか
監督:池田千尋
配給 プレシディオ
(C) 2018 KM-WWORKS Ltd., All rights reserved.
http://startup-girls.jp

ときたたかし

映画とディズニー・パークスが専門のフリーライター。「映画生活(現:ぴあ映画生活)」の初代編集長を経て、現在は年間延べ250人ほどの俳優・監督へのインタビューと、世界のディズニーリゾートを追いかける日々。主な出演作として故・水野晴郎氏がライフワークとしていた反戦娯楽作『シベリア超特急5』(05)(本人役、“大滝功”名義でクレジット)、『トランスフォーマー/リベンジ』(09)(特典映像「ベイさんとの1日」)など。instagram→@takashi.tokita_tokyo