はるな愛に学ぶ夢の掴み方

  by あおぞら  Tags :  

『波乱万丈』とはよく聞く言葉だが、まさに波乱万丈の半生を知ることが出来た一冊がはるな愛著書の『素晴らしき、この人生』だ。出版社は講談社で装丁がシンプルで美しい。白い厚めの表紙に小さな小さな花がエンボスしてある。実際手にとって見ないとこの小さな花の凹凸はわからない程の奥ゆかしさがよく、明朝体の青で”素晴らしき、この人生”とあり、その下に小さな黒文字でWhat a Wonderfl Life!とある。その下に本の題名と同じ字体と大きさの黒文字で”はるな愛”とあり、これだけの表紙である。

 

ページをめくると目次が横書きである。これも新鮮に写るがそれはいかにも『素敵でしょう?』と言う押し付けがなく、すんなり『素敵…』と思える。後ろのページに『ブックデザイン 守先正』とある。後ほど検索してみよう…….

 

『素晴らしき、この人生』と言う気恥ずかしい題名でも、ニューハーフの半生は一般人には経験できない世界もあるし、また想像できないような苦悩もあっただろうと考えるだけで読みたくなったのだ。

 

その横書きの目次を転記してみると…….

 

プロローグ 原体験

第一章  目覚め

第二章  救い

第三章  告白

第四章  再生

第五章  和解

第六章  破局

第七章  どん底

第八章  転記

エピローグ 前進

 

はるな愛は生き抜いてきた強靭な戦士のようだ。女の子っぽいということで壮絶ないじめを受け自殺を考える。父親がギャンブルで借金を作る、不倫をする。妻に手を上げる、子供にも手荒い。はるな愛は中学生の頃から水商売の世界に入る。『ホームレス中学生』も強烈な中学生だったが、女装してホステスをする中学生も、日中は中学生、夜はホステスと二束のわらじで頑張る強烈過ぎる中学生であった。

 

裏切りも経験した、お金も巻き上げられた、稼ぎもしたが女性に改造するための出費も多額で、念願の女性になれたものの、それで仕事が順調にいく保証などはなかった。挫折、挫折の繰り返しでうだつのあがらぬ東京生活をあきらめて大阪に戻ろうと思ったこともあった。

 

チャンスは不意にやってくる。MEGUMIと藤原紀香に出会ったことで道が見えてきた。そこからの活躍はかつてサラ金で借金返済工面をしていたことがウソのような活躍ぶり。

 

お気楽に見えるはるな愛かもしれないが、本質は強靭な戦士なのだ。数々の苦難を乗り越え、何度も裏切られ、失望し、自分だけのことだけでなく、両親の離婚や、いろんな問題に直面し、それらを全て片付けてきたのだ。

 

人は自分の人生を人に委ねることは出来ない。夢は自分で掴むのだ。自分に起こるいわれなき不幸な境遇も、貧乏もそれは自分で乗り越えて良くしていくしかないのだ。銀のスプーンをくわえて生まれてきた境遇の赤ちゃんが、後に一文無しになることもあるだろう。また貧しく生まれたけれど、自分の才覚で大金持ちになった鉄鋼王のカーネギーや石油王のロックフェラーなどもいるのだ。

 

タレント本が次々と出版されていくが、この『素晴らしき、この人生』は、高見から主張するのでなく、はるな愛が生きた底辺から這いつくばって、芸能界で活躍するまでの今が正直に書かれた本だと思う。

 

贅沢自慢をすることが売りになるような芸能人もいるが、そのような空虚な芸能人より、苦労人で頑強な精神を持つはるな愛のこの一冊は、日本人再生の鍵になるかもしれないと思えるほどの一冊であった。

 

画像: from flickr YAHOO!

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