池内博之「料理人へのあこがれはありました」 注目ドラマ『逃亡料理人ワタナベ』を機に想い明かす

  by ときたたかし  Tags :  

妻殺しの容疑者とされてしまった天才料理人ワタナベが、愛する子どもを守るため、己の矜持を守るため、⻄へ東へ逃げまくるも、逃げた先には必ず美味しい食材と人生に迷う人々がいて……というココまで聞いただけでもわくわくしてしまう作風のドラマ、「逃亡料理人ワタナベ」がひかりTVほかにて絶賛配信中だ。そのタイトルロールを演じる実力派が近年グローバルな活躍も著しい俳優・池内博之。「食が持っているスゴさに僕自身も感動した!」という主演作について、いろいろな角度で語ってもらった。

●本作の記者会見で、いずれ目をつぶったまま千切りができるようになりたいと言われていたかと思いますが、その後いかがですか?

実は千切りの前に、かつらむきの練習から始まりまして(笑)。和包丁はよくある包丁とまったく違うので、大変でした。切り方も全然違いますし、難しい。とにかく切れるけれど、慣れていないので時間もかかる。それこそ千切りは、そこまで切れる包丁で試したら、指までいってしまうかもしれない。それくらい奥が深い世界で、ぜんぜん至っていないですね。

●それほど料理男子的なタイプでもなかったですか?

そうですね(笑)。家でちょこちょこ自炊はしていましたが、和包丁を使うって相当本格的なこと。今回の作品は和食なので、教わることばかり。立ち方、姿勢まで重要なことで、塩の振り方、刺身への包丁の入れ方など単に身を切るだけじゃないというか、なかなか奥が深いなと思いました。

●そこまで奥が深いことも含めて、今回の作品に出ることが決まった時、何を思いましたか?

グルメ番組であり、旅番組でもあり、ドラマであり、サスペンス要素も入っているという、どういうものになるのかなって、まずは思いました。ドラマが軸ではあるけれども、どうやってグルメ番組のように見せて、その土地土地でドキュメンタリー風にも撮るのかななどと、いろいろなことを考えていましたが、台本をいただいてコメディー作品だと理解した後は、気が楽になりましたね。しかも逃亡していくサスペンス要素も濃い。こういうことだったのかと安心して取り組めましたね。楽しかったです。

●最近のフィルモグラフィーで考えても、異色の役柄ですよね。

ここ最近、クセがあるキャラクターが続いていたので、そういう意味では、切実で真面目で優しくて、ちょっと不器用な男を演じられたことは、すごく新鮮でした。今回、妄想シーンのようなコメディー的なシーンも多いので、おバカなことをやる機会も最近はなかったので楽しかったです。

●人間ドラマだけでなく、妄想的な面白いシーンなど、意外に盛りだくさんなんですよね。

そうなんですよね。逃げ方も実は見どころのひとつで、毎回どうやって逃げて行くかも見ものです(笑)。馬で逃げたり、ヘリで逃げたり、ゴーカートで逃げたり、それも面白味のひとつかなと思っています。いろいろなものがつまった作品なので、めずらしいタイプなのかなとも思います。

●すごく人間味がある主人公ですが、ご自身とリンクするところは?

人に頼られたら、断れないところですかね。彼は、いろいろなトラブルに巻き込まれていくので、観ていて共感するところはありましたかね。僕も助けを求められると、気になってしまう。でも、みんなそんな感じですよね(笑)。大なり小なり、そこは共感するポイントかもしれませんよね。

●総じて「楽しかった」と言われていましたが、俳優として良かったなと思うことは何でしたか?

コメディー作品というところで、今まで自分が出せていなかったところを、思い切りやれたところはやらせてもらったので、そこはすごく良かったですし、今までにない池内博之が出せているのかなと思います。久々に主演をやらせてもらったということで、いろいろなところに目が行って、スタッフさんに声をかけてみたり、差し入れをしたり、そういうことがフットワーク軽くできるようなりました。みんなで大変だったけれども、励まし合いながら作っていたので、すべてが楽しくやれたと思いますね。

●ところで、役柄とはいえしっかりと料理人を演じたことで、もっと興味が出たのではないでしょうか?

思いましたね(笑)。調理師免許ってどう取るのかと思い、人に聞いたりしました。学校行かなくちゃいけないのか、とか。僕自身も料理自体は嫌いじゃないし、だから子どもの頃から料理人へのあこがれはありました。その頃の想いがよみがえってきたようなところもあり、先日HAL YAMASHITA 東京本店の山下シェフのお店にお邪魔しましたが、やっぱりカッコいいですよね。こだわりが職人的で、いい意味で変態(笑)。本当に素晴らしい。カッコいいなと思いました。

●食というモチーフは、映画の中で生きる象徴だったりしますよね。その意味で、この作品が持っているテーマで、ご自身に響いたものは?

食には人を喜ばせる力がありますよね。カニが嫌いだった子どもが美味しそうに食べたりするシーンを観ていても、食で人がハッピーになり、その場も和み、いろいろなことが起こり出したりする。そういう意味で、食が持っているスゴさに僕自身も感動したので、それが伝わればいいでよね。

「逃亡料理人ワタナベ」はひかりTVほかにて好評配信中

ときたたかし

映画とディズニー・パークスが専門のフリーライター。「映画生活(現:ぴあ映画生活)」の初代編集長を経て、現在は年間延べ250人ほどの俳優・監督へのインタビューと、世界のディズニーリゾートを追いかける日々。主な出演作として故・水野晴郎氏がライフワークとしていた反戦娯楽作『シベリア超特急5』(05)(本人役、“大滝功”名義でクレジット)、『トランスフォーマー/リベンジ』(09)(特典映像「ベイさんとの1日」)など。instagram→@takashi.tokita_tokyo