卑劣手口!「募金詐欺を行っている男」に話を聞いてみた

  by 丸野裕行  Tags :  

テレビを付けながら自宅作業をしていると、ときおりボランティアや募金に関するCMが流れてきます。

痩せこけた赤ん坊や女の子が出てきてその国の窮状を訴え、1日数百円からの募金を募るといった内容です。こうした募金に関して、ある団体は「募金額をピンハネしているぞ」などと週刊誌で騒がれたりしたこともありました。

その団体に関する真偽は不明ですが、日本には“募金詐欺”を行っている集団が暗躍していると聞いたことがあります。

そこで今回は、ネタ元を辿っていきついた“募金詐欺”を行っているという田辺雄二氏(仮名/40歳)に話を聞くことができました。彼が語った、その気分が悪くなるような手口をぜひお聞きいただきたいと思います。

災害はビジネスになる

丸野(以下、丸)「どうも、よろしくお願いします。具体的に募金詐欺とはどのようなものなのですか?」

田辺氏「まぁ、サイトで募ったり、街頭に立ったり、そんな人の善意に食わせてもらうような詐欺になりますよ」

丸「はぁ……そうですか」

田辺氏「元々、僕はインド沖で起こった大津波災害募金で、ニセサイトを作っていたんですよ。ドメインを、日本赤十字社に似せた“jrc.or.jp/”や日本ユニセフ協会の“Unicef”に似たものにして、それでこっちで用意している口座に振り込んでもらうという。有料広告を打ったり、メールでリンクさせたりしたURLをクリックさせてですね、まぁフィッシング詐欺みたいなものですね」

丸「みんな自分で調べたりとかはしないんですか?」

田辺氏「まぁ、そういう時代でしたから。誰も疑わないんですね。今も、相変わらず高齢者は引っかかりやすいですよ」

丸「なんとまぁ……」

募金詐欺は、ほとんど脱法状態

丸「Webの世界だけでなく、街頭にも立ってやるとも、言っておられましたが?」

田辺氏「そうですね。どんな災害が起こっても、可哀想な犬や猫を道端に置いていても、人の善意は集まります。街頭募金詐欺ていうのは、実在するかのようなボランティア団体を名乗ってます。先ほども言ったように、ちょっと聞いたようなボランティア団体を名乗ったりしてね。東日本大震災の後には、僕らは親を亡くしたことにした子供を立たせていました。全国の駅前は詐欺師だらけになって、交通渋滞ができていましたよ」

丸「それって詐欺なんですよね? 捕まることはないんですか?」

田辺氏「ああ、元々募金で集めたというお金は、全部を寄付に回さなくてはならないわけではありません。募金活動をしているんだから、それにかかってくる経費を、集めた募金から捻出していいということなんですよ」

丸「えっ、そうなんですか?!

アルバイト募集をかけるボランティア団体も

田辺氏「ええ。例えば、500万円集まった募金があったとしても、400万円を経費にして、100万円を募金に回せば問題ないわけです。いくらの募金が集まったのかなんて、当事者以外わからないので。地元の地方紙なんかに“なんと100万円を寄付”なんて吹聴しておけば、それで体裁が整います。さらに個別訪問して集めれば、まず額面などわかるわけがありません。アルバイトを雇っているときも僕らはありますから」

丸「そうなんですか……」

田辺氏「時給で1,100円~1,200円くらいで募集をかけるとすぐに集まってくれます。でもね、気をつけないと、詐欺事件として立件されることもでてきたんです。元々は、集めた個人それぞれの被害の詳細が特定されないと難しかったんですが、詐欺罪をして立件、成立することがあったそうです」

丸「それはよかったですよ」

田辺氏「多数の被害者がいたとしても、募金する方法とか、その期間とか、場所とか、特定の要素を満たせた場合には詐欺罪が成立しますよと最高裁が2010年判決を下しました」

丸「そうなんですね!」

それでも消滅することがない募金

田辺氏「でも、街中で募金とかよく見ますよね。立件するのに、詐欺罪はなかなか立証しにくいと詐欺師たちは知っているわけです」

丸「ヒドイですね

田辺氏「災害や動物保護だけではなく、“〇〇ちゃんを救う会”なんてのもありますよね。その子のことも知らないのに募金するのもどうかなと……。スマホで調べられるんだから、メディアに登場しているとか、呼びかけがあるとかをしっかりと調べた方がいいですね」

丸「はぁ……」

田辺氏「やっぱり詐欺師にとっては、“人の不幸が蜜の味”ということになりますよね」

街頭で人の善意を募る募金活動、お金を落とす前にしっかりと確認し、情報を集めた方がいいのかもしれません。

(C)写真AC

丸野裕行

丸野裕行(まるのひろゆき) 1976年京都生まれ。 小説家、脚本家、フリーライター、映画プロデューサー、株式会社オトコノアジト代表取締役。 作家として様々な書籍や雑誌に寄稿。発禁処分の著書『木屋町DARUMA』を遠藤憲一主演で映画化。 『アサヒ芸能』『実話ナックルズ』や『AsageiPlus』『日刊SPA』その他有名週刊誌、Web媒体で執筆。 『丸野裕行の裏ネタJournal』の公式ポータルサイト編集長。 文化人タレントとして、BSスカパー『ダラケseason14』、TBS『サンジャポ』、テレビ朝日『EXD44』『ワイドスクランブル』、テレビ東京『じっくり聞いタロウ』、AbemaTV『スピードワゴンのThe Night』、東京MX『5時に夢中!』などのテレビなどで活動。地元京都のコラム掲載誌『京都夜本』配布中! 執筆・テレビ出演・お仕事のご依頼は、丸野裕行公式サイト『裏ネタJournal』から↓ ↓ ↓

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