宮迫博之さん・田村亮さん記者会見の概要 吉本興業への不満、不信感隠さず

7月20日15時、一連の闇営業事件、反社会的勢力との交際疑惑の渦中にいるタレントの宮迫博之さんと田村亮さんが記者会見を開いた。

宮迫さんは19日付で所属事務所の吉本興業と契約解消しており、今回の記者会見は個人として開催したもの。

冒頭で二人はこれまでの行動と、説明に嘘偽があったことを謝罪。

特に宮迫さんは

「今回の騒動の全責任は僕にあります。僕のせいです。すいませんでした。」

と自らの責任の大きさを認めた。

続けて二人は記者との質疑応答に入ったが、会見は約2時間半の長時間に及んだため、回答した内容を要約して出来るかぎり事件の時系列に沿って記載する。

・2014年、詐欺グループのパーティーがあった数日前にカラテカ入江さんからギャラがあることを前提に結婚パーティーに誘われた。大金を提示していることに不安もあったが「吉本興業を通した自分のイベントにもスポンサーになってくれてる会社だから安心」と言われ納得した。

・詐欺グループのパーティー会場には家族連れ、子供連れの客がたくさんおり、反社会的勢力が主宰しているとは思わなかった。

・5年がたち『FRIDAY』の直撃インタビューを受けた際、宮迫さんはパーティーのことはまったく覚えていなかった。写真を見せられてもはっきり思い出せなかった。記者に「全員が100万円をもらったのですか?」聞かれたがそんなことは普通あるわけがないと否定した。

・インタビューの直後、入江さんに電話したが本人もよく覚えていなかった。念のために詐欺グループと交際があったか確認したが否定したので、こんな事実無根の記事が実際に掲載されるわけがないとたかをくくってしまった。

・インタビューの翌日、入江さんからあらためて電話があり、宮迫さんがパーティー出席にあたりギャラを受け取っていたことを告げられた。しかしそのギャラはパーティー後にあった忘年会の費用としてそのまま入江さんに渡していた。他の出席者にしてもお車代程度しか受け取っていなかっただろうという勝手な認識で「ギャラは受け取っていない」と嘘の主張を徹底するように指示した。

・宮迫さんは松本人志さんに電話で「いくらもらったか細かく説明したほうがいい」とアドバイスされたが自らが問題を軽く考えており、それを活かせなかった。

・6月4日、入江さんが契約解消されたことを受け、お金を受け取ったことを認めたら自分たちも契約解消されると思ってさらに保身に走ってしまった。

・6月7日、『FRIDAY』(講談社)が発売され闇営業問題が過熱すると、田村さんから宮迫さんに「お金をもらったことを話しましょう。」と相談した。宮迫さんは再度「ギャラは忘年会費用として入江さんに渡した」と主張したが「宮迫さんはそのお釣りを受け取っていました」と反論され、そこで初めて吉本興業に真相を話すことを決意。

・6月8日、宮迫さん、田村さん、レイザーラモンHGさん、ガリットチュウ福島さんの四人で吉本興業に行き、聞き取り調査を受けた。その席でそれぞれがいくらギャラを受け取ったか明らかにしたが吉本側から「静観でいきましょう」と言われ、結局それが発表されたのは6月24日だった。

・6月24日に再び四人は吉本興業に呼ばれ、謹慎が告げられた。その際、田村さんが記者会見で事実を明らかにして謝罪したいと嘆願したが拒否された。田村さんはなおも「自分が辞めてでも。僕一人ででも」と食い下がったが、それに対し岡本昭彦社長は同席していた弁護士、社員を全員退出させた上で「お前らテープ回してへんやろな。ええよ亮、お前辞めて一人で会見したらええわ。やってもええけど、ほんだら全員連帯責任でクビにするからな。それでもええんやったら記者会見やれ。俺には全員クビにする力があるんや」と発言した。

・7月8日に宮迫さんと田村さんが吉本興業に行き、岡本社長と面会。宮迫さんが「僕が全責任を負い引退するんで、引退会見でもいいので謝罪をさせてくれ」と再度記者会見を嘆願したところ岡本社長は「引退はさせない。わかった、謝罪会見はさせてやる。その代わり期間はこちらで決定する。それがいつになるかは明言できない」と発言した。また若手芸人の謹慎期間を短くしてほしいという嘆願もしたところ「わかった」と了承した。

・インターネットも入れてファンにも全容を見てもらえる謝罪会見を吉本に提案したが「そんなことはこちらが考える」と断られた。またその際、岡本社長は「在京5社、在阪5社のテレビ局は吉本の株主だから大丈夫だから」と発言した。

・岡本社長との面会後、宮迫さんと田村さんは記者会見がいつまでも引き伸ばされうやむやにされる可能性を感じ、自分たちに弁護士を立てることを決定した。弁護士を立ててからは吉本との交渉はスムーズに進み、近日中に記者会見を実現するという回答を得た。

・7月18日、吉本から弁護士のもとに宮迫さん、田村さん二人の引退会見か二人の契約解除を迫る文書が送付された。まったく予想しない内容だったため、宮迫さんと田村さんは弁護士をいったん解除した上で吉本興業を訪れ岡本社長に面会を申し込んだが、対応したのは吉本側の弁護士だった。宮迫さんは「当初言った通り、僕一人の引退会見で全責任を負ってやりますのでやらせてください」と嘆願したところ「(岡本社長に)言うだけ言っておきます。記者会見をやるなら明日の12時。2時間後からこちらの考えてるQ&Aを練習してもらいます。その気があるなら2時間後に帰って来てください」と言われた。

・自分たちの主張が一切通らず、会社主導のまま問題がうやむやにされることを避け今回の記者会見に至った。

・闇営業に参加し、それが発覚した際に嘘をついてしまったことは反省しているし会社に対しても申し訳なく思っている。自分が契約解消されることにはなんの不満もない。

・会見中、吉本興業から田村さんの契約解消が公表されたが、田村さんはそもそも19日に吉本主導の会見に参加しなかった時点ですでに契約解除されていると考えている。

・現在、宮迫さん、田村さん共に引退の意思はない。雨上がり決死隊のコンビ存続は蛍原徹さん次第。ロンドンブーツ1号2号は田村淳さんがコンビ継続を明言しており現時点で解散はない。

・損害賠償が発生した場合、正当なものなら支払うべきだと思っている。しかし宮迫さんは事件発覚以降は「今後、謹慎になった時大丈夫なのか」と確認し、了解を受けた上で仕事している。

・宮迫さんは反社会的勢力との交際は無く、7月19日発売の『FRIDAY』に掲載された写真は飲食店で居合わせた客にせがまれたもので”ギャラ飲み”はもちろん金銭の授受はない。また飲食店の元店長もそれを証言する用意がある。

宮迫さん、田村さん共に岡本社長はじめ吉本興業への不満や不信感を隠さない壮絶かつ赤裸々な内容の会見だった。

しかし二人は「吉本興業という会社に対してはどのような思いがあるでしょうか」という記者の問いに対し

「こんな事実ではあるにしても、こんなことを言う会見がしたかったわけではないんです。僕たちは詐欺被害に遭われた方々であったり、世の中の僕たちを信用して笑ってくれていた人たちにただ謝罪がしたいということだけだったんです。こんなつもりではなかったです。ただ、事実を事細かく喋ると今のこの形になってしまってるのは不本意なんですが。大阪人で生まれて、子供のころからたくさん笑わせてもらってる吉本興業に18歳で入らしていただいて、こんなアホを30年間育ててくれた吉本興業に対しては、そら感謝しかないですよ……こんなことしたわけないじゃないですか。」

「僕もほんとに一緒です。宮迫さんと記者会見を開きたいと言ったことも、会社を攻撃するなんてそんなことは1ミリも考えていなかったです。自分たちのことを育てててくれた会社に対して、そういうことを思っていない、気持ちすら伝わっていない。途中で僕らが弁護士を立てた理由も元々はそういうことではなかったし、吉本の弁護士さんはどうしても吉本の目線になってしまうと僕は思っていたので、もっと関係ないところの第三者という形で弁護士を入れたいと相談した時、吉本の方も”おお、いいやん”っておっしゃってくれてたのが、実際に弁護士さんが来ると急に態度が変わったように僕は感じました。そこから吉本の弁護士さんとしかお話ができなくなってきて、僕たちも一方的に言われたり記者会見の話が進まなかったりで、どんどん不信感が出てきました。」

と涙ながらに答えている。

今回の会見内容がすべて真実だったかどうかは判断できないが、少なくともこの言葉にはこれまで根っからの吉本芸人として生きてきた二人の偽らざる思いがあふれているように見受けられた。

その心中は察するに余りがある。

※画像は『ニコニコ生放送』から引用しました
https://live2.nicovideo.jp/watch/lv321108091

中将タカノリ

■シンガーソングライター、音楽・芸能評論家 ■奈良県奈良市出身 ■1984年3月8日生まれ ■関西学院大学文学部日本文学科中退 2005年、加賀テツヤ(ザ・リンド&リンダース)の薦めで芸能活動をスタート。 歌謡曲をフィーチャーした音楽性が注目され数々の楽曲提供、音楽プロデュースを手がける。代表曲に「雨にうたれて」、「女ごころ」(小林真に提供)など。 2012年からは音楽評論家としても活動。さまざまなメディアを通じて音楽、芸能について紹介、解説している。

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