ビートルズの『ヘイ・ジュード』の大合唱が響いた開会式から16日。日本中が寝不足に襲われ、興奮で湧いたロンドンオリンピックが幕を閉じた。史上最多のメダルを獲得した日本、いろいろあった大会を通じて見えてきたものは何だったのか。
今大会の序盤、日本の柔道は期待に応えられない結果が続いた。とりわけ男子は金メダルがゼロという惨状で終わった。それでも日本が今大会で獲得したメダルの総数は2004年のアテネを上回る38個。4年前の北京より13個も多かった。柔道依存からの脱却といっていい。
柔道は日本にとってメダル獲得の目玉競技といってよかった。1992年のバルセロナから3大会連続で総数に占める割合は4割を超え、アテネと北京でも3割近い数字を残してきた。ところがロンドンではおよそ18パーセントに留まった。数字の上でも柔道以外の競技が奮闘していることが分かる。
ウエイトリフティング、卓球、バドミントン、フェンシングの団体メダル獲得は大きなニュースとなった。その多くが、20年前であれば予選敗退や早期敗退を余儀なくされていた競技だ。卓球とバトミントンは日本選手史上初のメダル、ウエイトリフティングは日本女子初の表彰台と、それぞれで新たな可能性を示した。
団体競技での躍進も今大会の重要なトピックだろう。昨年の東日本大震災の影響もあり、最近は団結力や絆という単語がクローズアップされているが、そうした日本人の特質を裏付けた形になった。残念ながら野球やソフトボールは実施されなかったものの、サッカー、バレーボール、競泳のメドレーリレー、アーチェリーなど多くの競技でメダルを手に入れた。
ただ、団体での強さは“強烈な個”が出現しないことに対する裏返しでもある。独力で勝負を決するような存在がいれば、メダルの色が銅から銀に、銀から金に代わっていくはずだ。どの競技でも若い選手が貴重な経験を積むことができただけに、2016年のリオデジャネイロではさらなる成長を期待したい。
画像: オリンピック公式サイトのトップページより