映画『町田くんの世界』の超新人コンビに直撃!「一生懸命は素敵ということが伝われば」

  by ときたたかし  Tags :  

石井裕也監督の元、岩田剛典、高畑充希、前田敦子、太賀、池松壮亮、戸田恵梨香、佐藤浩市、北村有起哉、松嶋菜々子などなど、日本を代表するキャストが奇跡の大集結を果たした映画『町田くんの世界』が公開中だ。

その主演が、演技経験ほぼゼロの超新人で、1,000人超のオーディションを勝ち抜いた超新星・細田佳央太と関水渚の“まっしろ”なふたり! 細田は現役高校生でほぼ演技経験ゼロからの主演大抜擢、関水は映画主演として初のオーディションだったものの、オトナたちを魅了する存在感で大任をまっとう。最高最強のキャストとともに新しい日本映画を世に放った。

その細田と関水に直撃インタビュー。本作にまつわる話を改めて聞いた。

●まさしく今回大抜擢でしたが、出演が決まった時はいかがでしたか?

細田:うれしかったです。でも主演ということや、何人もの中からオーディションで選んでいただいたことなどがプレッシャーでした。映画の経験もなく、ただ不安になりました。

関水:オーディションの時にその場で言っていただいたので、びっくりしました。そんなことあるんだって(笑)。保健室のシーンをちょっとやったら「いいんじゃない」といった感じだったので、マイナスな意味だと思っていたら、細田君とペアで良いねということだったのでびっくりしました。

細田:その場に僕もいたので最初は事態を飲み込めなかったです(笑)。

●撮影初日の緊張とか覚えてます?

細田:覚えています。めちゃくちゃ緊張していました。心臓が通常の倍の速さでドクドクといってる音が自分でもはっきり聞こえるくらい(笑)。

関水:撮影カメラがあって、本番以外も大勢の人がこちらを見ていて、緊張してさらに小さくなっちゃいました。石井監督が「堂々としてなくちゃ」とアドバイスしてくださって。

細田:僕にも「手を抜くなよ!」と言ってくださって、そのおかげでリハーサルも本番も、つねにスイッチが入ってる状態になっていました。

●共演者の方がとても豪華でしたが、感想はいかがでしたか?

細田:僕は自分のことでいっぱいいっぱいで、ほかのことを考える余裕がなくて……。本当に緊張していて「次は何だっけ?」みたいな状態で。しかし、皆さん本当に優しくしてくださって、特に学生メンバーの先輩方は「学校どう?」など話しかけて下さって、そのおかげで緊張の糸がほぐれました。

関水:わたしもいっぱいいっぱいでしたが、皆さん話しかけてくださって本当にありがたかったです。前田敦子さんがわたしの友人役だったのですが、本当に親友みたいな空気感でお話しをしてくださって。わたしが日焼けしやすいという話をしたら、翌日日焼け止めをプレゼントしてくださって。すごくうれしかったです。

●完成した映画を観ていかがでしたか?

細田:最初に思ったことは「素敵だな」でした。それは自分が映っているとかそういうことではなくて、出てくる人物一人一人に問題があり、それに正面からぶつかっていく。その一生懸命な姿勢がとにかく素敵だなと思いました。一生懸命は素敵ということが伝わればいいなと思いました。

関水:映画を見終わった後に、すごく温かい気持ちになる作品だなと思いました。自分が出ていないシーンはどうなっているのかなと思っていましたが、町田くんが一生懸命に自転車を漕いでいたり、風船を取ろうとしている姿を観て、演じた猪原さんとしても自分としても、すごくうれしい気分になりました。とても印象に残るシーンが多いなと思いました。

●この作品に関わって、得たものは何でしょうか?

細田:町田くんのような一生懸命な姿勢が周りの人にも影響するんだなって思いました。自分自身でも今まで自分では一生懸命にやっているつもりでしたが、彼の比にはならなかった。とてつもないエネルギーで、町田くんくらい一生懸命な子が実際にいると素敵だなって改めて思いました。

関水:実際に漫画を読んだ時、猪原さんすごく可愛いくて大好きでしたが、実際に好きな人ができたら彼女のように言っちゃだめだなと思いました(笑)。みんなに優しいということはいいことですが、普通の恋愛になると難しいのかもしれないなとか考えちゃいました。

●今後どういう俳優になりたいですか?

細田:僕はこの作品で得たものを活かしながら、いろいろなジャンルの作品や新しいことにチャレンジしたい。俳優として成長したいと思います。

関水:石井監督の作品にまた出させていただきたいです。あとドラマに出たことがないのでドラマに出たいですし、バラエティー番組にも興味があるので、いろいろなことに挑戦してみたいと思っています。

ときたたかし

映画とディズニー・パークスが専門のフリーライター。「映画生活(現:ぴあ映画生活)」の初代編集長を経て、現在は年間延べ250人ほどの俳優・監督へのインタビューと、世界のディズニーリゾートを追いかける日々。主な出演作として故・水野晴郎氏がライフワークとしていた反戦娯楽作『シベリア超特急5』(05)(本人役、“大滝功”名義でクレジット)、『トランスフォーマー/リベンジ』(09)(特典映像「ベイさんとの1日」)など。instagram→@takashi.tokita_tokyo