夏の足音が聞こえてくるこれからの時期は、ちょっぴり刺激的な料理でバテ気味な体にエネルギーをチャージしたくなります。そんな時、ぜひ手に取ってみてほしいのが『スパイスでおいしくなる and CURRY のカレーレッスン』 (阿部由希奈著/立東舎刊)。
著者の阿部さんは日本全国で様々なお店やイベントとコラボレートして、個性豊かな楽しいカレーを提供している“流しのカレー屋”。2018年7月には東京の世田谷にカレー活動の拠点となる“Kitchen and CURRY”を開設。週に2回ほどキッチンを開放し、多くの人々にちょっぴり変わったカレーを提供し続けています。
そんな阿部さんが手がけた本書には、スパイスを堪能できるカレーレシピを収録。5つのレッスンに掲載されている各レシピには、日本の季節の野菜や食材が使用されています。
料理が苦手な方にとってスパイスを取り入れることは少し難しく感じられるもの……。しかし、阿部さんのカレーレシピは誰でもチャレンジできるほど簡単。使用するスパイスの量はレッスン1~5の中で徐々に増えていきますが、作り方の難易度は変わらないので必要となるスパイスを揃えたら、お気に入りのカレーを何度も楽しむことができます。
本書では、斬新な“and CURRY”流カレーをいくつかご紹介。日本の良さを存分に感じられる旬の野菜を使った個性豊かなカレーは、“食べる楽しさ”を思い出させてくれます。
インドの“ポークビンダルー”は和風にアレンジ!
インドのゴア地方で親しまれている“ポークビンダルー”は、もともとポルトガル人から伝承されたカレー。ワインビネガーやスパイスを使用しているため、酸味と辛みが楽しめます。そんな一品も阿部さんの手にかかれば、日本らしい和風テイストに大変身。
和風に仕上げるにはワインビネガーの代わりに、しょうがだれを活かすのがポイント。レッドチリやクミンシード、コリアンダー、チリペッパー、ターメリックといったスパイスと、しょうゆベースの特製しょうがだれは相性抜群。しょうがだれは、茹で野菜にかけるドレッシングとしても役立てられます。
本場の味とはまた違った和風ポークビンダルーは、雑穀米との相性もバツグン。健康に気を使いたい大人女子にもチャレンジしてほしい一品です。
パーティーにもぴったりな“キウイとスペアリブのカレー”。
阿部さんが教えるカレーレシピは、食材が独創的に組み合わせられてもいます。中でも感心させられてしまうのが、華やかさ漂う“キウイとスペアリブのカレー”。
粗みじん切りしたキウイと豚肉にブラックペッパーパウダーや塩を揉みこんだこちらなら、視覚的にも大満足。仕上げのソースにプレーンヨーグルトが使用されているのもユニークな点。ごちそう感があるので、ホームパーティーやおうち女子会のメインとしても大活躍してくれます。
他にも“チョコレート×牛肉”や“マンゴーピューレ×豚バラ肉”など、意外な組み合わせの極うまカレーレシピがたくさん。カレーは使用するスパイスや組み合わせる食材を工夫することで、脱マンネリできるのです。
牛乳と生クリームでも代用できる“なすとココナツカレー”
シンプルなのに、こなれ感のあるおいしいカレーが作りたい……。そう思っている方はココナツミルクと野菜のおいしさをたっぷり味わえる“なすとココナツカレー”にチャレンジしてみては?
玉ねぎの旨味やにんにく、しょうがの香りが堪能できるこちらは、30分ほどで作れるため、忙しい子育てママにもぴったり。クローブのおかげで香りの輪郭がはっきりと楽しめます。
ちなみに、ココナツミルクは牛乳200mlと生クリーム100mlで代用することが可能。まろやかな味わいの“なすとココナツカレー”なら刺激的なカレーが苦手な方や、小さなお子さんでも安心して食べられます。
カレーは無限の可能性を秘める、アレンジ性の高い料理。そう感じさせてくれる魅力が本書には詰まっています。あなたも自分好みのスパイスや食材を取り入れ、オリジナルカレーに舌鼓を打ってみてはいかがでしょうか。
撮影:寺澤太郎
スタイリング:藤田真理
イラスト:oyasmur
『スパイスでおいしくなる and CURRY のカレーレッスン』(料理の本棚シリーズ/立東舎刊)著者:阿部 由希奈
定価:本体1,500円+税PROFILE 阿部 由希奈
and CURRY主宰。1984年生まれ、大阪府摂津市出身。2015年ごろからカレーに魅了され、月一の間借りのカレー屋をスタート。あらゆる場所でいろいろなカレーをつくる「流しのカレー屋」として活動。業態の違うレストランとのコラボや地方イベントで創作カレーを提供。 2018年7月、東京・新代田にカレー活動の拠点として「Kitchen and CURRY」開設。週2日ほどを“キッチン開放日”とし、カレーを提供している。