中島かずきの次回作はゾンビ版「レ・ミゼラブル」!?映画『プロメア』大ヒット記念!今石洋之監督&中島かずき特別インタビュー

  by ときたたかし  Tags :  

かの「天元突破グレンラガン」「キルラキル」などの今石洋之監督と脚本・中島かずきの最強タッグによる最新作『プロメア』は、初のオリジナル劇場アニメーションだ。公開後、徐々にSNS上で人気が高まり、6月20日には全国6劇場で<応炎(援)上映>の開催が決定するなど、まさしく“世界大炎上”状態に! 今石監督と中島さんに、いろいろと話を聞いた。

●本作の声優陣は豪華メンバーですが、どういうリクエストをしたのですか?

今石:細かい演技指導みたいなことは、ほぼしていないですね。

中島:みなさん「劇団☆新感線」で出て来るようなキャラクターだったことと、松山ケンイチくんとは声の収録前に「髑髏城の七人」の主役の捨之介をやってもらっていたので、そのキャラと同じわりとべらんめえな口調でいこうという話はしました。ご本人も「天元突破グレンラガン」のファンだったそうで、彼の中ではシームレスに、自分の中にあるものでやれていたのではって思います。なんとなくみなさん、今まで僕と組んできた「これですね!」って感じでやってもらえたと思っています。

今石:これは監督の言葉としてどうかとは思いますけれど、「劇団☆新感線」の舞台を最前列で観ているような感じでした。すごくいい気持になれた。「お客か!」って感じですが(笑)。

中島:「劇団☆新感線」の舞台のキャスティングで声を聴いているみたいなね。

今石:やはり声の圧がすごいんです。録音すると消えるものなので、ここで言ってもしょうがないのですが。

中島:生の舞台だよね。

今石:そうなんですよ。生の圧がすごい。

●おふたりは何作もタッグを組まれていますが、作品を作る上で距離が近い強みとは何でしょうか?

今石:説明が最小限で済みますね。そもそも何がやりたいかなどと確認しなくていいので、次にどんどん進めますが、初めましての方との場合はそこを埋めるところがスタートなわけです。その良さもたぶんあると思うんですけど、全然違うものが生まれたりするようなね。そこは最短距離を取った上に、さらに先に早く進める。それは何回もやっている中島さんとならではだと思いますけどね。

中島:今回、本格的に仕事を一緒にするということで3回目ですが、意外と難産でした。お互いに手のうちがわかっている部分もあるし、手癖じゃないところで新しいものをやろうという感じで、いろいろとあがいている部分もあったりしました。いままでやったことがないものを探っていた部分もありましたが、結果的に行きづまり、手癖は手癖だみたいな(笑)。手癖を堂々とやった上で、その先に新しいものがあると信じようよ、という感じになりました。

今石:でも一周回ることにも意味があるというか、そこでたくさん真剣に考えるじゃないですか。その時のアイデアや気分は、形を変えて作品の中に残っていくものでもあるので、それをやらないとたぶんまずいと思うんです。

●ちなみに、ここだけは直してほしいみたいなことはありますか?

中島:初稿を破る癖ですね。「グレンラガン」で破られ、「キルラキル」で破られ、いつも破られる。今回に至っては、僕が最初に破った上で出して、それでも破られましたから(笑)。

●物理的に(笑)?

中島:そうです!

今石:いやいやいやそうじゃないですよ。脚色ですからね(笑)。

中島:ボツのことですね。たとえです(笑)。僕の目にはそう映っていたということ。脚本を書く前にダメと言ってほしいな。

今石:中島さんが本に入るスピードが早いんですよ。煮詰まる前に書いてみようと言い出すので。それは実はすごいことなんですけど、悩んでるくらいなら書いちゃう人で、バーッと上がってきて3話くらいどんどん進んじゃう。だから効率が良くはないはず(笑)

●儀式みたいな?

中島:やだなあその儀式(笑)。それ最近どんどん増えているんですよ(笑)。

●話は変わりますが、中島さんは、なんでも「レ・ミゼラブル」のゾンビ版映画を作りたいそうで?

中島:やりたい。歌いながらどんどん足がもげていく姿を観たい(笑)。

●コメディー?

中島:何言ってるんですか、コメディーではないです。基本的にはゾンビが人間らしく生きようとする階級闘争のお話ですから(笑)。こちらが本気でやればやるほど、まわりがおかしいと思うことはあると思いますが、コメディーではない。

今石:コメディーじゃないというコメディーですよね(笑)。

●観たいです(笑)!

中島:本当ですか! 初めての賛同者ですよ。

今石:初めてですよ(笑)。

中島:群衆やゾンビたちが歌いながら腕や足がぼとぼと落ちて行く。泣けるじゃないですか(笑)!

●最後になりますが、読者にメッセージをお願いいたします!

今石:純正なオリジナル長編映画の制作は初めてなので、単体の映画であることを意識して作っています。いままでの僕たちの作品を観てくれている人たちにも、そうじゃない人たちでも楽しめるように作っているので、本当にいろいろな人に観てほしいです。アニメは難しいと考えず、アクション映画を観に来るつもりで観てくれたらなと思います。

中島:ハリウッドのエンターテインメント的なわかりやすいものを目指したところもありますので、2時間、アニメではあるけれども、アクションの面白さもあるので、アクション映画が好きな方には観に来てほしいと思いますね。アニメだってことにこだわらず、アクション系エンターテインメントとして観てくれたらと思います!

ときたたかし

映画とディズニー・パークスが専門のフリーライター。「映画生活(現:ぴあ映画生活)」の初代編集長を経て、現在は年間延べ250人ほどの俳優・監督へのインタビューと、世界のディズニーリゾートを追いかける日々。主な出演作として故・水野晴郎氏がライフワークとしていた反戦娯楽作『シベリア超特急5』(05)(本人役、“大滝功”名義でクレジット)、『トランスフォーマー/リベンジ』(09)(特典映像「ベイさんとの1日」)など。instagram→@takashi.tokita_tokyo