犯罪者インタビュー:「弁護士法違反の交通事故示談交渉人」に話を聞いてみた

どうもどうも、特殊犯罪アナリスト&裏社会ライターの丸野裕行です。

突然の交通事故に巻き込まれ、また事故を起こしてしまったときに、パニックになってしまうのは、当然のこと。

特に事故を起こした経験がないという人であれば、被害者や加害者の前で、あたふたしてしまうものです。

平成30年度の事故発生件数は、43万0,601件あまり。そりゃあ、朝から晩まで、自動車保険のCMをやっているはずですよね。

今回は、そんな交通事故を利用して、ボロ儲けする交通事故示談交渉人の多田氏(58歳/仮名)に、その手口とカラクリについて、話を聞いてきました。

逮捕されても懲役2年以下か罰金

丸野(以下、丸)「いつ頃から、示談交渉人をされているんですか? もちろんこれって、保険会社や近親者以外の無資格での弁護活動になるので、弁護士法違反になりますよね?」

多田氏「示談を生業にしはじめたのは、20年前くらいちゃうかな。初めは友人が車に轢かれて、その示談交渉をしたのがはじまりやわ。別で、商売もやってるから、いろいろな人脈を使ってやったら、“こりゃ儲かるぞ”と。弁護士法違反というのは、もちろん知ってるよ。でも、その罪状は、2年以下の懲役または300万円以下の罰金取られるだけやから、大したことないやん。それよりも、儲けの方が大きかったわけ」

丸「なるほど。そんな小さなリスクよりも実入りがいいと……」

多田氏「今、“交通事故診断士”っていう名刺を作ってやってるんやけど、もっともらしい肩書きがあれば、頼んでくる相手も安心やんか。“示談屋”なんて言ったら、ヤクザかなんかやと思われてしまうから……。 昔はいくらでも儲かったけど、今はアカンよ、ホンマ」

丸「え、どういうことですか?」

最近の保険会社は、払い渋りがヒドい

多田氏「最近の保険会社は払い渋りをしよる。当然の請求していても、“他の保険会社は払うかもしれませんが、ウチは出しません。出す気がないですね”なんて、突っぱねてくる保険会社も多いよ。規約でちゃんと決まってるから考えられへんけどね。素人相手やとナメてかかってくるわ」

丸「そうなんですか」

多田氏「中でもタチが悪いのは『S』って保険会社。払い渋りの代名詞やね。素人相手に突っぱねから、被害者が直接加害者の家に押しかけることもあるわ。驚いたのは、“払わないなら相手のところに押しかけるぞ”というと、“どうぞご自由に、ウチの保険会社は支払いません”って言い放ったことやね。加入者を守る気もない。だから、そのまま加害者に請求して、治療費なんかを3割増しでブン取ったったよ。逆に手厚いのは、大手の『T』やね」

丸「加入している意味ないじゃないですか。多田さんはどうやってお客さんを集めているんですか?」

多田氏「まぁ、いっぺん仕事させてもらった人同士の口コミで仕事を取って、うまく保険金を引っ張ってる。超がつくプロ示談屋になると警察無線傍受して、交通事故の現場に急行するヤツもいるよ」

丸「すごい執念ですね」

取り半でも依頼はくる

丸「示談金を取りますよね、どの程度もらえるんですか?」

多田氏「ああ、報酬のことか。保険会社から支払われた金額の半分やね。取り半にしてもらってないと旨みが少ない。もちろん、事故の当事者もそれなりに協力してもらわなあかんけどね。依頼は、まずは被害者であるということが第一条件。加害者の場合だと、自分が入ってる保険会社にすぐに連絡を取って処理してもらう方がええよ」

丸「どうやって、保険金を引っ張っているんですか?」

多田氏「まず先にあることは、事故日からとにかく病院に通い続けて、通院日数を稼ぐことやね。昔は上限がなかったけど、3ヵ月で“固定症状”として、保険会社は医療費や賠償金の支給を打ち切るから、とにかく通いまくる。前払いしてもらえたり、自分の懐に余裕があるなら、タクシーで通院しても、最後には返金があるから心配ないわ」

丸「とにかく病院に通うと……」

多田氏「そのうえ、収入をでっち上げて、休業手当を請求する。でも、年齢によって上下するから、あんまりあてにはならんかな。事故で引かれたりした場合は、病院の整形外科やなく、東洋医学の整骨院が一番やね。保険対応もちゃんとしてもらえるし、固定症状以降もレセプト(医療報酬の明細書)なんかを書いてもらえるわ東洋医学なら“痛いもんは痛いんや!”というたら、通用する話やわ」

100対0の交通事故の種類は4つ!

多田氏「一番おいしい事故は過失割合が100:0の事故。無条件に保険会社が平謝りしよるのが、この過失割合やわ。そんな交通事故やとやりやすいからめっちゃ楽。事故した時点で、優位に立てるしね。物損事故でも、首が痛いと言って人身事故にして通院したり、知ってる板金屋に連絡して多めの修理代の見積もりを出させたりすると、小遣い稼ぎにはなる」

≪100:0の割合の事故≫

1.逆走……対向車線を逆行すること
2.信号無視……黄色信号だったとしても目撃者がいれば、100対0の恐れがある
3.玉突き事故……追突事故のこと
4.逆突事故……バックギアで、後方車にぶつかる

多田氏「面倒なのは、無保険車に乗るヤクザと、保険に入ってるくせに話を聞かずに罪を認めない中高年ババア。この二者は面倒。おかしな示談屋に頼むと、大きな代償を払わされることもある。ムリヤリの折衝ですぐに弁護士を立ててきたり、示談金を着服したり……よく聞くわ」

そんなとき、3台所持している多田氏のスマホが鳴り響きました。

多田氏「おう。で、相手の出方は? じゃあお前んとこで、休職証明あげてぇな。月収40万くらいで……。うん、税金はこっちで面倒みるから……」

いつもどおりのながれるような会話。僕は、多田氏に交通事故の示談を依頼することはないでしょう。
みなさんも事故を起こしたら、絶対に警察に届けを出し、“示談交渉人”がつけ込めないような対応を心掛けましょう。

(C)写真AC

丸野裕行

丸野裕行(まるのひろゆき) 1976年京都生まれ。 小説家、脚本家、フリーライター、映画プロデューサー、株式会社オトコノアジト代表取締役。 作家として様々な書籍や雑誌に寄稿。発禁処分の著書『木屋町DARUMA』を遠藤憲一主演で映画化。 『丸野裕行の裏ネタJournal』や『初めての不動産投資マガジン』などのポータルサイト編集長、文化人タレントとして、BSスカパー『ダラケseason14』、TBS『サンデージャポン』、テレビ朝日『EXD44』、テレビ東京『じっくり聞いタロウ』、ABC『雨上がりのAさんの話』、AbemaTV『スピードワゴンのThe Night』、東京MX『5時に夢中!』などのテレビ・ラジオなどで活動。地元京都のコラム掲載誌『京都夜本』配布中! 執筆・テレビ出演・お仕事のご依頼は、丸野裕行公式サイト『裏ネタJournal』から↓ ↓ ↓

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