注目俳優・清原翔「僕には執事の仕事は無理(笑)」 映画『うちの執事が言うことには』単独インタビュー

  by ときたたかし  Tags :  

高里椎奈による同名ミステリー小説を、King & Princeの永瀬廉が初主演で映画化した『うちの執事が言うことには』が公開中だ。その公開を記念して、永瀬演じる社交界の名門・烏丸家第27代当主にして主人公・烏丸花穎の新米執事・衣更月蒼馬を演じる若手注目株・清原翔にインタビュー。執事役の感想をはじめ、独自の存在感を築きはじめた現在の胸中も聞いた。

●出演が決まった際、とても面白味を感じたそうですね。

ミステリー要素が主軸になっているのですが、2人の成長物語でもあるので、そういう部分が面白いと感じたので表現できたらと思いました。

最初の頃はお互いに認めないのですが、信頼感を徐々に築き上げられていくので、その過程には注目してほしいですね。

●執事役ということで、その練習もしたのでしょうか?

姿勢やお辞儀の角度、サーブ時の約束事、動作中に言葉を発しないなど、一から練習しました。もともと姿勢がいいほうではないので、特に大変でした。ティーポットも重く、手袋するとちょっとすべるので、いろいろと大変な部分を知りました。そして僕には執事の仕事は無理ですね(笑)。

●役柄としても、執事を演じることってめずらしい経験ですよね?

動作が制限されていることが初めてのことだったので、いままでにない悩みが多かったです。でも、そこが楽しかった部分でもあります。原作とのすり合わせみたいな作業も、やりがいを感じました。

●衣更月蒼馬というキャラクターを演じる上では何に気をつけましたか?

原作とは見た目が違うのですが、それほど意識しなくてもいいというお話があり、少しだけ気持ちが楽になりました。ただ、原作ファンの方にも楽しんでいただけたらという思いもあり、表情や言葉のトーンは注意しました。

●人物像はいかがでしょう?

感情を表に出さない人物ですよね。鳳(奥田瑛二)という絶対的に信頼している存在がいて、そこに向かっていくための彼なりの想いもある。自分の未熟さをすごく痛感する年代で、いろいろ成長していく過程にいるのかなと思いました。

●自分自身とシンクロする瞬間はありましたか?

周囲の友だちや仕事で出会う方々を通じて自分の成長を感じている部分では、衣更月とリンクするなと思いました。

●何かきっかけがあったわけですね。

一人暮らしを始めて友だちの重要性を感じている時にバイトや仕事で多くの人たちと接するなかで、人に助けられていることを実感するようになりました。雑誌の編集者の方も事務所を決める時に情報やアドバイスをくださったり、ひとりで決めなくてよかったということが多々ありました。

●他者と関係を築く中で、さまざまな気づきがありますよね。

いろいろな人たちと接したので、視野が広がったんだと思います。それまでは小さな世界にいたんだなって。

●また、現在からデビュー当時を振り返ってみて、思い描いていた理想像との差はありますか?

思い描いていたのは、まずは学園モノに出て注目されて、その後もいろいろと出演作が続いて、いつの間にかいい歳になって、年相応の役柄を演じる。そうしてようやく演技も評価され始めるという、勝手なイメージでした。

●まずは学園モノなんですね(笑)。

自分の場合、演技を始めた時期も見た目も、学生モノへの機会はなかなかなく、その時点で外れているのでスタートから違いますが(笑)。

●でも、もはや独自の存在感です。

そうなれていればいいなとは思います。特に去年はいろいろな方たちに知ってもらう機会が増えたので。

●世に出て行く自分に戸惑いを感じたりもしますか?

僕が知らない仕事上のプレッシャーなどはまだまだあると思うので、その時が来たら強く感じると思いますが、できれば悩まず、このままで行きたいです(笑)。

ときたたかし

映画とディズニー・パークスが専門のフリーライター。「映画生活(現:ぴあ映画生活)」の初代編集長を経て、現在は年間延べ250人ほどの俳優・監督へのインタビューと、世界のディズニーリゾートを追いかける日々。主な出演作として故・水野晴郎氏がライフワークとしていた反戦娯楽作『シベリア超特急5』(05)(本人役、“大滝功”名義でクレジット)、『トランスフォーマー/リベンジ』(09)(特典映像「ベイさんとの1日」)など。instagram→@takashi.tokita_tokyo