裏社会インタビュー:暴利をむさぼる不用品回収業者

  by 丸野裕行  Tags :  

どうも特殊犯罪アナリストの丸野裕行です。

よく自宅のポストに“エアコンや冷蔵庫、洗濯機、パソコン、ノートパソコン、テレビetc……なんだって無料回収いたします! 故障品も可! ○月○日、マンション前で行います!”というチラシが入っていると思います。

こんなおいしい文言が並ぶと、「リサイクル料がもったいないし、この業者に頼んじゃおう!」という風になってしまうのが当然ですよね。

ですが「故障しているものを本当に回収してくれるのだろうか?」という疑問も湧いてくるのではないでしょうか。さらにそんなものを回収して、彼らはどのように利益をあげるのかというところも気になると思います。

彼らはどのような手口で、どのように利益を上げているのか……。今回は、移動回収業者のLさん(55歳)にお話を聞かせていただきます。

過剰なリサイクル料を無知なお客にふっかける

丸野(以下、丸)「ダイレクトにお聞きしますが、故障したものとかを持っていくとどうなるんですか?

Lさん「そんな謳い文句を信じて、故障した電化製品なんて持っていこうものなら、回収業者の餌食になるだけやね」

丸「えっ、どういうことですか?」

Lさん“これはもう型が古くってね、これを回収するにはリサイクル料が別途かかっちゃうね。だいたい、これのリサイクル料で6,000円ぐらいになるよ、奥さん。消費税はおまけしておくよ”……なんて風に丸め込まれちゃう。見積書なんて作る必要もない。領収書を渡すだけ」

丸「“えっ、無料じゃないの? じゃあいい”なんてことにならないんですか?」

Lさん“別に引き取らないでいいけど、他の業者なら2倍くらい処分料金がかかっちゃうんじゃないですか? そういう悪質な業者が多いんですよ。これ重かったでしょ? また持って上がるの?”という風に言えば、まぁほとんどの人がお客さんになってくれるよね。場所を取る、重いものを持ってくる人はいいカモやんね、やっぱり。根拠のないリサイクル料金をふっかけられて、タダほど怖いものはないって感じやね」

丸「ああ、なるほど。スッキリ片付くと思っていたものがまた戻るってイヤですもんね」

Lさん「そうそう。プロのゴミ回収屋さんが言っていることだから、なんとなく“そうなのかなぁ~”と信じて支払ってしまうという寸法やね。だいたいがこのやりとり。無料って言葉に釣られて、太っ腹なサービス精神の押し付けと脅しとも取れる微妙な駆け引きをする。でも、実はこれも騙されているんよね。基本的にリサイクル料を客からもらえるのは、家電量販店や街の電気店など販売店だけなんですわ

丸「えっ! そうなんですか? 僕も回収業者に支払った憶えが……」

軍事兵器に転用される家電品

Lさん「持ってきたら、とりあえずすぐにトラックの荷台に積み込む。それで、“奥さん、勘弁してよ、もう積み込んじゃったよ……”って言えば、申し訳なさそうに支払ってくれる。竿竹屋が“奥さん、もう切っちゃったのに、勘弁してよ”と脅すのと一緒」

丸「電化製品だけでなく、家具やソファを引き取ると言ってトラックに積み込んで、万単位の回収料金を請求する業者もいますよね。“あっ、やられた!”という方も多いと思いますね。ところで、そのゴミって、リサイクルショップで販売する以外にどうするんですか?

Lさん「僕らみたいな回収業者がどんどんと集めた家電製品の山がその後にどうなるか。これも他の商品にリメイクされるわけですわ。ゴミもお金に変わる時代やから。国内でリサイクル品として売られるのと、部品取りをして新しい家電製品としてリメイクされるとか、いろんな利用法がある。でも注目すべきなのは、日本国内でお役御免になったカーナビゲーションシステム本体が、中東なんかでは軍事兵器に使われる。それほど日本製のカーナビは、正確で品質がいいわけ」

丸「え~! 本当ですか? 知りませんでした」

Lさん「たとえば、中国の主要艦船には日本製のカーナビを転用したGPSシステムが使われているといわれている。そのほかで言えば、電子レンジやタブレットなども軍事利用されているといいますわ。だから、僕らも海外とのルートだけあれば、ゴミを高額で売りつけることができる。捨てたいという客から金をもらい、そのゴミを売ってさらに儲けるという二重取り。こんな回収業者ばっかり」

丸「ゴミ拾いをしているお仕事で、儲けはキッチリとあるわけですね」

Lさん「他には、高値で売買されるものとしては、エアコン。部品には、アルミや銅板、レアメタルも含まれているので、金属加工販売業者間ではかなりの高額査定で買い取りをしてくれる。客からは1万円くらいリサイクル料を取って。部品外しや解体、プレスする手数料を差し引いても、エアコンと室外機一台分で5,000円くらいかな。みんな“ゴミ拾い”とバカにするけど、儲けはエグいよ。車好きで、今度ランボルギーニを買おうと思ってる

いかがでしたか?
街を走り回る不用品回収車。彼らは客との巧妙な駆け引きと独自の確実なルートを持ち、恐ろしい売り上げを誇っているようです。あなたの街にもいる彼らの稼ぎは、あなた以上のものかもしれません。

(C)写真AC

※編注・記事内容は一部特定業者への取材に基づいて構成されております。本記事が業界全体を表すものではありません。

丸野裕行

丸野裕行(まるのひろゆき) 1976年京都生まれ。 小説家、脚本家、フリーライター、映画プロデューサー、株式会社オトコノアジト代表取締役。 作家として様々な書籍や雑誌に寄稿。発禁処分の著書『木屋町DARUMA』を遠藤憲一主演で映画化。 『アサヒ芸能』『実話ナックルズ』や『AsageiPlus』『日刊SPA』その他有名週刊誌、Web媒体で執筆。 『丸野裕行の裏ネタJournal』の公式ポータルサイト編集長。 文化人タレントとして、BSスカパー『ダラケseason14』、TBS『サンジャポ』、テレビ朝日『EXD44』『ワイドスクランブル』、テレビ東京『じっくり聞いタロウ』、AbemaTV『スピードワゴンのThe Night』、東京MX『5時に夢中!』などのテレビなどで活動。地元京都のコラム掲載誌『京都夜本』配布中! 執筆・テレビ出演・お仕事のご依頼は、丸野裕行公式サイト『裏ネタJournal』から↓ ↓ ↓

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