犯罪者インタビュー:「不法入国者専門」の賃貸マンション業者に話を聞いてみた

特殊犯罪アナリストの丸野裕行です。少子化から超高齢化が進む日本。今、国を挙げて海外からの外国人労働者を迎えようとしています。出生率が低い日本は、まさに“多民族国家”になろうとしているんですね。

かつては、非常に厳しい入管や法の目をかいくぐるため、不法入国者たちは苦労を惜しみませんでした。また不法入国者を対象にした商売をしている業者がいるのも当然のこと。

彼らの“衣”と“食”を世話する業者が暗躍しているのは想像に難しくないのですが、今回インタビューできたのは“住”を支える元不法入国者専門不動産賃貸業者です。

観光ビザで入国して不法就労を続ける外国人たちに部屋を世話したD氏(53歳)。彼にどのような外国人を相手にし、どのような商売をしていたのかを語ってもらいました。

初めは善意ではじめた

丸野(以下、丸)「いつ頃からご商売されているのですか?

D氏「そうやね、東南アジアとかロシア、中東の人間を自分の店で使うクラブ経営者から相談があったんやけど、それが10年前くらいちゃうかな

丸「ほうほう」

D氏「働き口はあるのに、住むところを何とかする業者は中々おらん。オレらを含め、外国人が住む寮をなんとか確保したいんやけど、やっぱり大家が嫌がるでしょ?」

丸「なるほど。確かにあまり知らない文化の外国人入居には二の足踏みますよね。でも、それなら個別で保証会社でも付けたらいいんじゃないんですか?

D氏「保証会社は“入管難民法違反(不法入国、不法滞在)”の当局の手入れが入るから嫌がって組んでくれない。それに審査の緩いところやと、三行広告に載っているようなインチキ業者が多いしね。連中は金だけ取って適当に存在しない人間の印鑑証明を渡してドロンする。外国人は印鑑証明なんて見たことも、聞いたこともないから

丸「そうですよね、そりゃ」

D氏「そういう業者を掴まされて、契約時に泣く外国人が多い。そこで彼らオーナーの悩みを聞いて、昔から馴染みのマンションオーナーに声をかけたわけ。彼の息がかかったマンションに入居させればええかな、と……。人口も減ってるし、満室にならず困っているマンションオーナーも多いしね。で、9人の韓国人、8人の中国人、5人のフィリピンを入居させたんですわ」

丸「みんなビザなしですか?」

D氏「うん、観光ビザ

客が客を呼ぶので、儲かる手口を考える

D氏「でも、予期しとらんことが起こった。入居していたフィリピン人女が客を紹介してきたのよ。“コノ人モ部屋ナイ。住ム所無イ、ドコカ住マワセテ!”と。その男は、もちろんオーバーステイ。入国管理局に追われてコソコソと生きる男やった。で、弱者を束ねることが金儲けの基本や、とばかりに請け負った」

丸「儲かるぞ、と?」

D氏「考えたのは、まずインチキ身元保証人業者を架空ででっちあげて、次に振り出した印鑑証明を観光ビザで入ってきた不法就労者に渡し、用意したマンションワンルーム10万以上の家賃で貸し付ける。でも、書類の不備を理由にして、即刻強制退去させるという手口。3ヶ月から半年スパンでこれを繰り返すと、かなり実入りが期待できる。どうせ連中は家賃滞納など不払いが発生し、おのずと入れ替わることも考えられるから知ったこっちゃないよね。それに他のインチキ保証会社とは違い、いったんは入居させるから、恨まれるのは保証会社。オーナーと俺には責任はこない」

丸「それからは経営不振のマンションオーナーを探したんですか」

D氏「そう。“ワシも協力する!!”というオーナーが多かったな、やっぱり。この方法やったら、不法滞在の幇助には当たらないはずやし。不動産屋は善意の第三者という建前だけキッチリ守っておいたらええ」

丸「ヒ、ヒドいことしますね」

ひと芝居が、金を生む

D氏「それからオレは、知り合いの華僑に頼んで、《保證人紹介!》《住房斡旋!!》《査証失效也商量給!(ビザ失効もご相談下さい)》という保証人・入居者募集のチラシを中国語で作って、大阪中心地の人目につく繁華街の電信柱やフェンスに張りめぐらしたんよ」

丸「集客はいかがでした?」

D氏「大成功旧知のヤクザから手に入れたトバシの携帯5台が鳴りやまへん。で、保証金を賃貸住宅契約代行業者の架空名義の口座3つに振り込ませることにした。電話をしてきた連中のほとんどがビザ切れで就労している男女やったし、金は支払うから何とかしてくれ……という電話ばかり」

丸「そこまでして日本に住みたいんですね」

D氏「職種は、男女とも違法中国エステ店勤務、中華料理店勤務、韓国パブ、フィリピンパブが多いね。“ノープロブレム! 入居書類だけやなく借りる部屋も紹介して、全部の手続きをこっちでやるから!”っていうと安心して金を支払う。名義人と保証人費用10万、敷金・礼金50万円+家賃15万円と部屋のキー引き換えに送る。通常の賃貸料の3倍。それでも家がないから支払うよ」

丸「でも、その数か月後には“仕上げ”に入るんでしょ?」

D氏「“〇〇さん(偽名)! あんたの保証人実在してないやないか!”という風に乗り込む。そこで、外国人だということを初めて知ったことにして、“出て行ってくれ!”となるわけやね。“警察に行こうか!”っていうと見事に飛び跳ねて出ていくよ、入管が怖いから

丸「それで売り上げはどのくらいあったんですか?」

D氏「この手を使って、1年で15室を3回転。約2,000万円くらいを連中から搾り取った。もちろん家賃収入は別でね」

宗教戦争がマンション内で勃発!

丸「現在はこのビジネスは続けておられるんですか?」

D氏「日本は労働力がほしいからビザ発行もスムーズになるし、割に合わなくなるしやめた。それに……」

丸「それに?

D氏「外国人を詰め込んでいたマンションで宗教戦争になって大変やった。いろんな人種を同じ建物に入居させたから、敵対している宗教同士でトラブルになったり、ヒンズー教徒の前で中国人が焼肉食べてトラブルになったり、もうめちゃくちゃ。香辛料のニオイや声の大きさで、近隣のマンションからの苦情が出て、警察がくる一歩手前やったんですわ」

いかがでしたか? 悪いことはできないものです。
しかしこれは「将来の日本の縮図なのではないか」と心配になってしまうのは、私だけではないはずです。

(C)写真AC

丸野裕行

丸野裕行(まるのひろゆき) 1976年京都生まれ。 小説家、脚本家、フリーライター、映画プロデューサー、株式会社オトコノアジト代表取締役。 作家として様々な書籍や雑誌に寄稿。発禁処分の著書『木屋町DARUMA』を遠藤憲一主演で映画化。 『丸野裕行の裏ネタJournal』や『初めての不動産投資マガジン』などのポータルサイト編集長、文化人タレントとして、BSスカパー『ダラケseason14』、TBS『サンデージャポン』、テレビ朝日『EXD44』、テレビ東京『じっくり聞いタロウ』、ABC『雨上がりのAさんの話』、AbemaTV『スピードワゴンのThe Night』、東京MX『5時に夢中!』などのテレビ・ラジオなどで活動。地元京都のコラム掲載誌『京都夜本』配布中! 執筆・テレビ出演・お仕事のご依頼は、丸野裕行公式サイト『裏ネタJournal』から↓ ↓ ↓

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