アンデルセン童話に登場する人魚姫の一般的なイメージというと、本場デンマーク・コペンハーゲンの人魚姫像がそうであるように、上半身トップレス姿が正統派スタイルのように思うのだが、国民の9割がイスラム教徒のインドネシアでは少し事情が異なってきているらしい。
ジャカルタ北部のアンチョール・ドリームランド公園内にあるプトゥリ・ドゥユン・アンチョールホテル(プトゥリ・ドゥユンはインドネシア語で人魚の意味)で、敷地内に開業当初からある2体の人魚像の上半身に、最近になって“さらし”が巻かれ、バストが隠されていたことが分かった。
ホテルの経営陣は「宗教保守団体からの圧力があったわけではなく、彫像を“東洋の規範”に倣ってより美しく見せるために我々が独自に決定したことだ」と地元メディアに説明している。しかし、1973年の開業直後からずっとトップレス姿だった人魚像に、なぜ今になってさらしを巻く決定がされたのかは謎だ。より家族向けの観光地にするためと推察する人もいる。
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同ホテルの『Instagram』を辿ると、昨年10月2日の国の祭日“バティックの日”には既に人魚像の胸に金色の布が巻かれていたことが分かる。日本のさらしのように女性の胸に巻くバティック(ジャワ更紗)のことをクンベンと言い、確かにインドネシアの伝統的な美を象徴していると言えなくもなさそうだ。
さらし巻き姿になった人魚像を見たインドネシアのネット民は、
「かえってエロいんだが」
「ひとつフェチを隠したらまた別のフェチがw」
「人魚像で興奮するやつは異常。彼らの信仰はATMカードみたいに薄っぺらいのに他人を批難する」
「イスラアアアアアアム」
「歌もダメ、酒場もダメ、裸の人魚像はすぐにさらし巻き。インドネシアバンザイ」
などと、皮肉混じりの反応を見せている。日本とほとんど変わらないミニスカート衣装のJKT48が活動できるほどには世俗的なインドネシアだが、この“人魚像さらし巻き事件”を、現在行われている大統領選挙戦でも存在感を強めるイスラム保守勢力への“配慮”と受け止め、息苦しさを感じている人も多いようだ。
画像とソース引用:『thejakartapost.com』及び『Instagram』より
https://www.thejakartapost.com/news/2019/03/23/ancol-covers-nude-mermaid-statues-eastern-norms.html[リンク]