アイドルグループ・NegiccoのNao☆が、4月10日にロックバンド・空想委員会の岡田典之(B)と入籍する。
これは26日にNegiccoの公式サイトで発表されたもの。Nao☆による直筆メッセージ画像とともに、「変わらずNegiccoの活動は続けて行きたいと思っております」と記されている。
現役アイドルの結婚発表と言えば、特に女性アイドルの場合、これまでの常識からすれば完全に“ご法度”であった。しかし今回のケースに関しては、ほぼ全ての反応が祝福ムードに満ちあふれている。今、アイドル界に何が起きているのだろうか。
きっかけはPerfume
Nao☆は公式発表の中で、「2019年4月10日、私の31歳の誕生日に空想委員会の岡田典之さんと入籍する事をご報告させていただきます」とコメント。
さらに、「岡田さんとの出会いのきっかけは、『Perfume FES 〜三人祭〜』でした」と明かした。これは2015年に東京・日本武道館で行われたPerfume主催のライブイベントで、Negiccoや空想委員会のほか、WEAVER、フジファブリック、凛として時雨といった、3人組のバンドやグループのみが出演したもの。
つまり、「Perfumeのようになりたい」と必死で頑張ってきたNao☆が、そのPerfume主催のイベントで知り合った男性と結婚するということになる。前述のコメント内でも、「Perfumeさんが結んでくださった縁を大切に、これから温かく笑顔が絶えない家庭を築いて行きたい」と、Perfumeへ最大級の感謝の意を表明している。
ファンの皆さんへ
この度、私NegiccoのNao☆は、
私が31歳になる誕生日4/10に入籍することになりました。これからもNegiccoとして活動して行きたいと思っています。
こんな私ですが、今後とも応援宜しくお願いします。 pic.twitter.com/CRpexIAGpW— Nao☆@Negicco (@Nao_NGC) 2019年2月25日
https://twitter.com/Nao_NGC/status/1100047864753876992
「アイドルの結婚=引退」という風潮
この発表に対し、関係者はもちろん、ファンからも祝福のコメントが殺到。ネット上を「おめでとう」の5文字が埋め尽くした。現役女性アイドルの結婚発表が、ここまで好意に偏った反応で迎えられる例は、極めて珍しい。おそらく史上初だろう。
例えば、近年では2017年の『AKB48 49thシングル 選抜総選挙』において、須藤凜々花(当時NMB48)が突然の結婚発表を行ったことは、壮絶な賛否を巻き起こした。須藤はその後グループからの脱退を余儀なくされ、アイドルとしては活動できなくなってしまう。
さらに遡れば、1980年にはレジェンドアイドルの山口百恵も、人気絶頂のさなかで結婚・引退を選択。日本中で物議を醸した。もっとも、山口の時代は「結婚した女性が仕事を辞めるのは当然」という社会ではあったが。
つまり、女性アイドルにとって「結婚」とは、イコール「引退」を意味するのがこれまでの常識であった。しかし、Nao☆はNegiccoの続投を明言。しかも、多くのファンがその決断を歓迎している。これは日本アイドル史において、非常に重要な「事件」だと言っていい。
Nao☆はなぜ祝福されるのか
山口や須藤と、Nao☆との違いは一体なんなのだろうか。その答えは極めて簡単で、“年齢”である。山口は引退時21歳、須藤は騒動時20歳だった。それに対し、Nao☆は現在30歳。簡単に言うなら、「若い女の子の拙速な結婚は批判されやすいが、30にもなる大人の女性が結婚することにいちいち口を挟むような人は少ない」というだけの話である。
つまり、ここで重要になってくるのは「女性アイドルの結婚発表が好意的に迎えられた」ことではなく、「結婚発表が好意的に迎えられる年齢まで女性アイドルを続けることができている」ことのほうだ。
アイドル界は、20歳を越えれば“おばさん”扱いされる世界。10代でデビューし、20歳までにある程度の人気を得て地位を築かなければ、その後の活躍は非常に難しい。そして、20代半ばまで生き残ったとしても、今度は「この年齢で、まだアイドルを名乗っていいのだろうか」という新たな悩みとぶつかることになる。
そして多くの場合、グループを卒業したり、女優やアーティストへ転身して「アイドルであること」を辞めてしまう。
アイドルの歴史を塗り替えたNao☆
その壁を、Nao☆は見事に打ち破ってみせた。15歳でアイドルになり、アイドルのまま30歳を迎え、アイドルのまま結婚する。将来的には、アイドルのまま母親になることだって十分に考えられる。
これは、今までのアイドルファンがアイドリング!!!やPASSPO☆といったグループに対し「そうなってほしい」と願い続けていた、“理想の未来”だ。しかし残念ながら、彼女たちはそうなるまでグループを存続させることはできなかった。あのバニラビーンズでさえもだ。
そんな女性アイドル界にとって、最後に残った希望の光がNegicco。Nao☆の結婚が前例となって、今後も「アイドルのまま祝福されて結婚していくアイドル」たちが増えていくことになるかもしれない。
願わくば、Nao☆には“アイドルのまま孫を持つ”くらいの境地にまで達してもらいたいものだ。
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