『私たちは消された展』を観て来ました。
『私たちは消された展ー凍結削除警告センシティブな内容を含みますー』
※画像は図録表紙より
近年、個人作品のSNSへの投稿が消されたり、アカウントが凍結されたりする事案が増えました。
そして猥褻や暴力等、表現自主規制事案のは今やAIに任されるような時代になってきました。
AIによる包括表現規制。
そういった新しい表現規制時代。
SNS運営会社などに表現規制を受けたアーティスト達が展覧会を開きました。
その名も『私たちは消された展ー凍結削除警告センシティブな内容を含みますー』。
会場のギャラリーCORSOへ行ってきました。
※画像は公式サイトより
展示される、女性の美と陰を表現した写真。若い女性から熟女まで並んでいます。
女性の美しい陰部が描かれた絵もあります。
女性を描いた表現規制の多くは下半身の生々しい陰部か描かれているか、映り込んでいるかどうかです。
しかしこれは旧世代的な紙出版物での話。
この展示会の作品・作者が「消された」場所はインターネット上です。
紙出版物の基準で展示された写真などを観ていると、どこが規制されたのか分からない作品も多いです。
※MASADA-SUMMER作品
※MASADA-SUMMER著者近影
※MASADA-SUMMER著者紹介ボード
SNSはいくつかの大企業が寡占しています。
個人アーティスト達はその媒体を使って広告をします。
アカウントをSNS運営企業に凍結されるというのは、広告費が少ないアーティスト達にとって「この世から消える」という意味を持ちます。
展覧会告知もイベント告知も出来ず、また仕事相手との通信手段を失うこともあります。
便利なツールであるSNS。
しかし一方で、私達は大企業が寡占するこのSNS時代に新たな、それも日本国内の法律や条例とは違う「大規模で過度な表現規制」時代が来たことに気付かなければなりません。
先日、大手コンビニエンスチェーン店が幾つかの雑誌の取り扱いを止めました。
コンビニエンスチェーン店が現れる前、街には多くの小さな本屋がありました。
そこには多様な、セクシュアルマイノリティー関連有名誌も含むいろいろな本が置かれていました。
売れ行きの良い雑誌をコンビニエンスストアが扱うことにより、街の小さな本屋は閉店していきました。
そしてやはり多様な本・雑誌を置いていた小さな酒屋もコンビニエンスチェーン店に飲み込まれていきました。
のちにコンビニエンスチェーン店は合併を繰り返し、大企業の寡占になっていきます。
そのコンビニエンスチェーン店達が一斉に雑誌の自主規制を行ないました。
アダルト色の強い雑誌が一斉撤去されました。
大企業数社による寡占と、過度な自主規制。
それによって私達市民の目から、日本社会から「消されていく」表現達。
消されていく表現、法律の枠を越えた大企業による自主規制の波はゆっくりと広がっていってます。
しかし私達は「消された表現」「消されたアーティスト」がどんな物・人なのか知ることが出来ません。
それは大企業の自主規制により、社会から「消されて」しまったからです。
大企業の過度な自主規制によって世の中から「消された」作品を観ることが出来る『私たちは消された展ー凍結削除警告センシティブな内容を含みますー』。
一度観ておくことをお薦めします。
■展覧会情報
『私たちは消された展ー凍結削除警告センシティブな内容を含みますー』
公式サイト https://t.co/bYScMxan2C
開催日 2019/2/11-17
場所 神保町ギャラリーCORSO https://t.co/bumdMEXKca
ハッシュタグ #私たちは消された展
入場料無料
図録販売価格 2000円
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『さらば、エログラビア展』
表現規制が寛容だった時代を振り返る。
※『さらば、エログラビア展』チラシ画像
開催期間 2019/2/1-3/9
場所 早稲田あかね 東京都新宿区西早稲田2-1-17 酒井ビル1階
クロージングイベント 3/9 19:30より
トークショーゲスト 芳賀英紀(芳賀書店三代目)
ビニ本時代からコンビニ誌、AV黎明期からDVDエロコンテンツ、そして現在にいたるエロエンターテイメントの歴史を語ります。
※イベント企画者紹介チラシ