AKB48・山田菜々美が初主演に挑んだ病院ホラー『黒看』「以前は完全に怖いものを拒否していたけど……」

  by ときたたかし  Tags :  

人は生きている限り、恨みをかう……。実録怪談集「怪談実話 傑作選“弔”」に収録されているエピソードを「AKB48」のチーム8に所属する山田菜々美が映画初主演を務めた映画『黒看』(クロカン)。現在Blu-ray、DVDが発売中だ。

『黒看』ストーリー
のどかな田園地帯にある病院に看護師として勤務する麻間利江(山田菜々美)。
その利江の勤める病院にある日診察に訪れた乗田雪子(佐伯香織)は原因不明の病状に悩まされていた。
新婚の雪子は近頃、夫に触れられるとその部分を含め身体中に蕁麻疹が発症するのだ。
同時に雪子が通院するようになったその頃から院内でも不可思議な事が起こる。
雪子の症状と現象から只ならぬ妖気を悟った看護師長の務目(広瀬真寿美)は病院内に渦巻く怨念や嫉妬、恨みなどを除霊の如く看護する黒い看護師、通称”黒看(クロカン)”の松友岬(百川晴香)を呼び寄せ、雪子を取り巻く邪悪な病状を取り除く事を図る。
利江はそんな黒看の存在を否定するのだが雪子の症状が悪化する事でその邪悪なモノを目の当たりにする。
次第に黒看の存在を受け入れていく利江は雪子の症状と対峙する岬を見て恐ろしい真相を知る事になる。

様々な怪奇に翻弄される看護師、利江を演じた山田菜々美に話を聞いた。

●今回の作品は最初に出演が決まった時、率直に何を思いましたか?

すごくうれしかったのですが、主演ということで一気に緊張や不安が出て、自分にできるのかなという気持ちが大きくなってしまいました。でもやるからにはできることをやろうと思い、前向きに取り組めました。

●今思い返すと、主演という大任をまっとうしていかがですか?

演技って、すごく楽しいなと思いました。最初はセリフを覚えることでいっぱいいっぱいでしたが、次第にいろいろな方に相談したりして演技のイメージをして、自分なりに精いっぱいできたかなと思っています。

●主人公と“クロカン”の、因果のような関係性が見ものでしたね。

わたしが演じた麻間利江は何事も頑張っていて、人前で明るくふるまっている看護師ですが、過去にひとつ引っかかる部分があって、それをずっと引きずっている。その状態で生活していくうちにクロカンという存在と出会うけれど、彼女は理解していないので観ている皆さんと一緒にお話が進み、一緒にクロカンを知っていく展開になっているので、いつの間にかストーリーに引き込まれていってしまうなって思いました。

●クロカンって、人によって違いますよね。恐怖の象徴というか。

共演者の方々もそれぞれ違いますし、自分だったらどうするかは考えました。最近は映画やドラマを観ていても自分に置き換えたりするようになってきて、演技の楽しみも教えていただいた気がしています。

●そもそもホラー系はお得意ですか?

苦手です(笑)。ひとりで観ようとはなかなか思わないので、今回かなり頑張りました。ちょっとしたことでもびびってしまうタイプなので、撮影現場も怖かったですね。夜の病院だったので、そわそわしながら待機していて、カメラが回った瞬間に堂々とできるように頑張りました。

●よく聞くような怖いエピソードはありましたか?

深夜の撮影でわたしがひとりだった時に、道に迷っているという女の方が病院に入ってきた時は「観てしまった!」と思って怖かったです。もともと撮影現場は最初から怖くて、何かが出そうとは思っていました。

●え? マジのやつですか!?

いえ、ただ道に迷っている女性だったみたいで、撮影している照明を見かけて入ってきたのか偶然なのか。不思議ですが、普通の方でした。

●準備という意味で、何かホラー作品は観ましたか?

『着信アリ』を観ました。怖いシーンはチラチラ目を細めながらでしたが、すごく勉強になりました。勉強するという気持ちで観ると、怖いシーンでも怖がっている表情の方法などがわかるので、とてもよかったです。

●ホラー映画に出ると、好きになってしまう人も少なくないようですが?

そこまではさすがにですが(笑)、たまには観てみたいなと思うことはあります。チャレンジ精神です。以前は完全に拒否していたので、今後チャレンジしたいなと思います。好きな女優さんが出ている映画って観てみたくなるじゃないですか。でも、なかなか怖くて観れないままで。

●どなたでしょう?

前田敦子さんです。

●あー!『クロユリ団地』! けっこう怖いですよ。大先輩の作品ですね。

そうなんですよ~。本当に早く観たくて観たくて。でも映画が公開した当時、映画館にどうしても行く勇気がなくて、いまだに観ていなくて。

●今回の作品を経て、演じることへの意識は変わりましたか?

この映画がきっかけで、もっともっといろいろな演技をしたいと思いました。もともと演技経験はほぼなかったのですが、最初はそれこそ演技って何だろう? くらいの感じであたふたしていましたが、自分なりに考えて、今回の作品は駆け抜けたつもりです。ゆくゆくは、何でも表現できるエンターティナーを目指しているので、日々頑張りたいです。

今日はありがとうございました!

取材&文章;ときたたかし

ときたたかし

映画とディズニー・パークスが専門のフリーライター。「映画生活(現:ぴあ映画生活)」の初代編集長を経て、現在は年間延べ250人ほどの俳優・監督へのインタビューと、世界のディズニーリゾートを追いかける日々。主な出演作として故・水野晴郎氏がライフワークとしていた反戦娯楽作『シベリア超特急5』(05)(本人役、“大滝功”名義でクレジット)、『トランスフォーマー/リベンジ』(09)(特典映像「ベイさんとの1日」)など。instagram→@takashi.tokita_tokyo