京都一のヤンキー地帯に、愛する妻子供の3人家族で住んでみた~後編~

  by 丸野裕行  Tags :  

どうもどうも! 体験潜入ルポが得意な特殊犯罪アナリスト&裏社会ライターの丸野裕行です!

今回は、前回好評だった『京都一のヤンキー地帯に、愛する妻子供3人の家族で住んでみた』の後編を綴っていきたいと思います。

※前編はこちら
https://getnews.jp/archives/2064275

年老いた母の看護・介護のため、近隣の住宅に住むべく選んだのが、京都でも屈指のガラの悪さである「Y」と「F」。

家賃も安く知り合いも多いので、まぁいいかと住んではみましたが、上半身裸のニッカポッカの作業員さんジャンボ尾崎風の“後ろ髪をのばす男の子”だらけ、地元のTSUTAYAには深夜でも幼児が走り回り駐車場にはヤンキー車がひしめく地域に住んでしまった家族が一体どうなってしまったのか……その続きをぜひ読んでやってください!

生活保護世帯が多すぎる

京都のヤンキー地帯として有名なYとFだが、ここで起こる犯罪率もかなりのものらしく、深夜などは常にパトカーや救急車のサイレンが幹線道路に鳴り響いている。さらに事故の数もハンパない。

さらに最も気になったのは市役所へ住民票の手続きへ向かったときのことだった。
用紙に必要事項を記入していると……

「ワシに死ねぇぇぇ言うてるのかぁぁ! なんぎゃあああぁぁぁ!」
「いつまで待たせれば気が済むんやぁぁ! はぁぁぁん?」
「話が違うやないのぉぉぉぉ!」

役所のいたるところから老若男女の怒声があがっているのだ。

その上、福祉課の前には長蛇の列。なんや、なんなんや?
どうも生活保護の受給日にこの列はできるらしい。市営や府営の団地は多いし、生活が立ち行かない人々が保護を求めて引っ越してくるのか、それとも元々そういう土地柄なのか?

役所の中にいるだけでマイナスのオーラが漂い、酔ってしまうほどだった。こわい、こわい、まんじゅうこわい……。体中の全細胞がここに長居することを拒否するほどだった。

トラブルだらけの生活

ここは、穏やかに健やかに静かに暮らしていこう……。
しかし、ヤンキー地帯の洗礼は、僕たち家族を逃がしはしなかった。

入居したマンションの駐輪場には、ヤンキーカップルが複数たまって改造車を組み立てているし、子供を遊ばせようと連れだった公園では飲酒している爺さんたちがかたまって怒鳴っている

このエリアの新聞拡張員はガラが悪く、勧誘を断るとベビーカーを破壊していき、近所からはマンションのごみ置き場に勝手に生ごみを捨てていく婆さんもいる

毎日何も起こらない日がない。

《その他のトラブル》

・道端によく人糞が落ちているから掃除に困る

・電波系の看板が多く、住人同士のいわれなきトラブルが起こる

・車に傷を付けられたりと、何かしらいたずらされる

・とにかくコンビニ弁当のゴミが多い

・川に自転車を捨てられる

・野良猫とハトにエサをやる住人が多く、フン害がすごい

・川沿いをパンツ一丁で歩くジジイがいる

・乗りあげてはいけない場所に高級車がいつも停まっている※それも駐車禁止除外車の標章が必ず飾ってある

・ひとパック5円のもやし(※お一人様ふたパック限り)を買い求める中国人がスーパーのレジに代わる代わる並ぶ

などなど、日々トラブル三昧だ。

そして極めつけの出来事が起こる……。

保育園で揉めごとに巻き込まれる

それはある日の降園時刻に起こった。役所の職員さんにも親身になって対応していただき、子供たち3人の保育園入園も決定し、やっと園に慣れはじめた頃。

僕と妻は、子供たちを車でお迎えに行った。すると、なかなか戻らない妻。そのことを不思議に思っていると、泣きながら歩いてくる長男とそれをなだめる抱っこ紐姿の妻、長女の姿。なんかあったんか?

車に乗り込ませ事情を聴こうとすると、前方から妻の後姿を追って、保育園から派手な色のトレーナーを着た小太りの男が飛び出してきた。
こちらを睨みつけて、何やらがなっている。

よくわからないので車を降りてみると、男が怒声をあげていることがわかった。

「ワシの娘ぇ、怪我させておいて、何の謝りもなしなんかい、おう!」

え? なんのことだかわからない。
男は車から降り立った僕に、15センチほど顔を寄せて凄んでくる。な、なんや、こいつ。

保育園から先生も飛び出してきて、両者の間に割って入ってきた。事情を聴くと、ウチの長男とこの男の娘が保育園で遊んでいて、顔を引っ掻いてしまったらしい。傷を見せてもらったが、ちょっと白い筋が走っている程度だ。

「おい、どない落とし前つけてくれるんじゃ! ワシもこんなことされたらキッチリ話つけさせてもらわな、アカンさかい!

どう、なんの落とし前をつけろというのか。相手のお父さんは顔をひそめながら、目をギョロリと見開き、こちらから目を離さない。関西で言う“メンチ切っている”状態だ。

話をさらに聞けば、ウチの妻と女の子のお母さんが園内で報告を受けてちゃんと謝罪しているというではないか。なんだ、それは。でも引っ掻いたのは長男の方。父親としてキッチリ謝罪だけはしておいた方がいいだろう。

「いや、大事な娘さんを引っ掻いてしまってすいませんでした。息子にもちゃんと言って聞かせておきますから」
大事になるからな、キッチリ話つけさせてもらうとな。ワシもここらへんでは一目置かれとるからな……

ビビらせたいのか。世間は広い。しかも裏社会ライター相手に何を言っているのか。僕は、もう一度謝罪し、話を打ち切って車に戻った。

もう、こんなところ住めるか! めんどくさい!

僕たち家族は入院していた母を看取ったあと、京都の中でも静かに暮らせる住宅街にマンションを借りて、そちらに移った。

家族持ちで、やっぱり悪い評判が立っているエリアに住むのは、危険です。絶対にやめましょう。

(C)写真AC

丸野裕行

丸野裕行(まるのひろゆき) 1976年京都生まれ。 小説家、脚本家、フリーライター、映画プロデューサー、株式会社オトコノアジト代表取締役。 作家として様々な書籍や雑誌に寄稿。発禁処分の著書『木屋町DARUMA』を遠藤憲一主演で映画化。 『アサヒ芸能』『実話ナックルズ』や『AsageiPlus』『日刊SPA』その他有名週刊誌、Web媒体で執筆。 『丸野裕行の裏ネタJournal』の公式ポータルサイト編集長。 文化人タレントとして、BSスカパー『ダラケseason14』、TBS『サンジャポ』、テレビ朝日『EXD44』『ワイドスクランブル』、テレビ東京『じっくり聞いタロウ』、AbemaTV『スピードワゴンのThe Night』、東京MX『5時に夢中!』などのテレビなどで活動。地元京都のコラム掲載誌『京都夜本』配布中! 執筆・テレビ出演・お仕事のご依頼は、丸野裕行公式サイト『裏ネタJournal』から↓ ↓ ↓

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