とにかくブスが大好き!そんなオレはB専すぎて困っています

  by 丸野裕行  Tags :  

どうもどうも、特殊犯罪アナリスト&裏社会ライターの丸野裕行です!

一昔前にベストセラーになった売れっ子構成作家が結婚に選んだのは、超ブス芸人とだったという鈴木おさむの小説『ブス恋』。当時は男も女もブス専門(以下B専)ブームでした。

その頃、女性誌『ViVi』に《B専恋愛急増中!》なる特集が組まれ、ブサイク、デブ、チビの3拍子の男を取り上げ、一般女性に取ったアンケートなど紹介。なんと【彼氏にするなら―イケメン44%、B男56%】【どのタイプのB男が好きか―デブ48%、ぶさいく37%、チビ15%】という驚きの結果が出たんです。

「こんなアンケートは、安心を求める女ならではの結果だ!」などと侮るなかれ。
私が取材したことのあるイケメンモデルは、なんと筋金入りの“ド”B専だったのです。
現役モデルをやっているその彼は伊達や酔狂ではなく、なにせブスに狂い、理想のブスを見つけ、心中まで考えてしまったのですから……。

今回は、そんな彼のお話を綴ってみたいと思います!

美人モデルからの誘いはスルー

≪告白者/糸井則武(仮名) 25歳 現役モデル≫

オレは、モデル養成スクールを経て、地元のモデル事務所へ所属したのは3年前。
読者モデルなどが掃いて捨てるほどあふれる業界での普段の仕事は、通販カタログや紳士服専門店のチラシなどのモデルなど小さなものばかりだ。

オレには誰にも言えない秘密がある。
そう、B専なのだ。ブスの魅力をわかっていない男たちは、まだ女というものをわかっていない。上がった鼻、ツブラな瞳、腫れぼったいまぶた、膨れたホホ……。
しかし、職業柄こんなこと言えるはずもなく、日々モデルの仕事をこなしている。

同業の美人モデルが取り巻く職場は、どんな男たちにも羨ましがられる環境だが、オレにとっては地獄なのだ。

「ねえ、糸井くん。今度、ご飯食べに行かない?」

「ねぇ~、今夜飲み行こうよ、糸井さぁぁ~ん」

第一線で活躍する一流モデルなどとは程遠い地方モデルとはいえ、現場には一般的な男が連れて歩きたくなるいい女が目白押し。誘われるのはしょっちゅうだ。
だがしかし…
「今日はちょっと…」と断るのは日常茶飯事……。オレは彼女たち対してちっとも興味がわかない、話しすらしたくもない。なにせB専なのだから。

でも、美的センスを求められるモデルの世界。それをバラすワケにはいかない。女たちからの大胆な誘いを断りすぎたためか、ゲイ呼ばわりまでされる始末だ。

ブス女を追い続けるルーツは小学5年の頃に遡る

思春期のど真ん中で友達とはじめてみたエロ本のグラビア娘がとびきりのブスだったのだ。ブスが献身的な姿を見ていると、オレの中で芽生えたブス女への愛情があっという間に膨れあがった。

以来、本命彼女や遊びの女など総勢13人ほどのブスと付き合い、シアワセを感じる生活が続いていた。みんな裏方としてこの仕事に従事している女たちだ。

俺が出したブス女が魅力的に見える理由は3つ。

1.ブスな女は、男たちや仕事に自分を認めてもらうために努力を惜しまない
2.長年の内面磨きで、ブス女は伸びる
3.ブス女は、自分に自信がないので、しとやかで控え目が多い(対照的に開き直っているブスはタチが悪くなる)

今の彼女であるヒトミはあがりっ鼻でおまけに巨漢。しかし、膝枕をしてもらうときの母に抱かれるような安心感がよかった。ホルスタインのような胸が実にキュートだ。

あとの半分は恋人として付き合い、もう半分は体だけの関係だった。みんなブスなのに、毎回恥ずかしそうに服を脱いだり、フガフガ言いながら旨そうに飯を食ったり……。とにかくどれをとっても可愛い。

「ノリちゃんが、ワタシみたいな女と付き合ってくれるなんて夢みたい」

彼女たち全員が、そう言っている姿をみると、後ろから思いきり抱きしめたくなるのだった。

ブスの逸材と心中したい

ゲイと陰口を叩かれようと実に満ち足りた生活。

そんな折、事務所に新人スタイリストとして入ってきた女に度肝を抜かれた。
なんと彼女、見たこともないほど完璧なオレ好みの容姿だったのだ。カミソリのような一重、膨らみきった頬、樽のような体。
オレの全身にイナズマが走り、完全に一目惚れした。

「ねぇ、週末空いてる? 彼氏いるの?」

気がつけば、無意識に他人の目も気にせずに猛アタックしていた。

「いや、私いいです、いいです…」

しかし、オレの誘いはスルーされ、彼女の身持ちは固かった。彼女のことを考えるだけで、狂おしいほどひとり占めにしたくなる。

さらに、それからもスキあらば彼女を口説いた。たとえ、それがオレを口説こうとした美人モデルたちに呆れられようとも。

彼女が事務所に入って半月。その歓迎会がチャンスだった。オレは彼女の隣を陣取り、口説きはじめた。

「ねぇ~、ドライブ行こうよ、ドライブ! このあと、2人で飲みに行こうよ!

街角のキャッチのようなしつこさで迫ると、彼女が立ち上がって言った。

「もう、いいですって! 誘わないでください!」

ん? この子、レズなの? なぜ、そんなに嫌がるの? イヤだ、もう彼女と心中してもいいくらいの気持ちになっている!
自分でも常軌を逸した状態だとわかるが、でも、それほどに彼女がほしい!

「いい加減にしてください!私、“B専”なんです! 私がいい女だからって、迫らないでください! 糸井さんの顔はホンットに嫌いなんです!! 誘ってくるなら、整形してブサイクになってきて!! それなら考えてあげてもいいです!!」

そう、彼女は自分をブサイクとは思っていないのだ。しかも、自分と同じく“B専”。人間自分が持ち合わせていないものを求めるというが、あれは間違いなのか。

しかし、それでも彼女を諦められないオレは、本気で整形してブサイクになろうかと現在真剣に悩んでいる。

(C)写真AC

丸野裕行

丸野裕行(まるのひろゆき) 1976年京都生まれ。 小説家、脚本家、フリーライター、映画プロデューサー、株式会社オトコノアジト代表取締役。 作家として様々な書籍や雑誌に寄稿。発禁処分の著書『木屋町DARUMA』を遠藤憲一主演で映画化。 『初めての不動産投資マガジン』などのポータルサイト編集長、文化人タレントとして、BSスカパー『ダラケseason14』、TBS『サンデージャポン』、テレビ朝日『EXD44』、テレビ東京『じっくり聞いタロウ』、ABC『雨上がりのAさんの話』、AbemaTV『スピードワゴンのThe Night』などのテレビ・ラジオなどで活動。 地元京都のコラム掲載誌『京都夜本』配布中!

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