7月10日現在ロイター・ジャパンの為替レートによると1ドル79.41円、この1ドル80円で何が食べられるでしょうか?80円ではなかなか胃袋も味覚も満足させられないとお考えでしょうが、アメリカではこのところ99セントピザ屋が増え続けているのです。
数年前にグランドセントラル・ステーションと言う地下鉄やニューヨーク郊外への通勤列車メトロノースと言う鉄道が乗り入れている大きな駅近くにある、小さな小さなピザ屋が99セントの文字を大きく打ち出して商売を始めたことを鮮明に覚えています。ピザ屋には中で飲食できるようなテーブルや椅子が用意されていたり、テーブルスペースもないような小型店では壁に取り付けられた簡易な狭い幅のテーブルで”立ち食いピザ”で場所を提供する店もあります。
しかし、グランドセントラル・ステーション駅近くのピザ屋は中に数人しか入れないので『こんなので大丈夫なのだろうか…..』と心配してしまいましたが、予想に反して大繁盛で昼時には店前に行列が出来ています。写真の99セントピザ屋はブロードウェイの劇場街にある99セントピザ屋ですが、かつては99セントではなく平均的な値段で売っておりましたが、99セントピザが受けているので方向転換をはかった模様です。
ブロードウェイは家賃が高いはずなのですが、それでも値下げして99セントにしても集客が見込めるので、薄利多売の商売の基本で利益を上げているのでしょう。
BRICsと呼ばれるブラジル(Brazil)ロシア(Russia)インド(India) 中国(China)の四カ国は経済発展が著しい国々ですが、アメリカだって、日本だって、かつては経済的な勢いがあり、バブルに浮かれていた時代もあったのです。
しかし、現実は厳しいです。日本観光客が主流だったニューヨークも、今は大きな声の中国語が聞こえてくるので、アジアの観光客が日本人でないことは耳だけで判断できます。
高級店で買い物をし、大きな上質の紙袋を両手に抱え蟹のようなスタイルで五番街を歩く中国人観光客の嬉しそうな笑顔を見ると、中国にも春が来たなと時代の大きな変化を感じます。
さて、未だ低迷した経済にあえぐアメリカは、リッチな中国観光客のように散財はできません。しかし、アメリカにはピザがある。たった99セントで買える一枚のピザスライスの大きさは日本人なら驚くサイズです。大食漢の方なら2枚、3枚と進んでも3ドルくらいで済ませるのです。
このようなピザ屋に女性は以前は並んでいませんでしたが、最近はランチマネー節約のために並ぶ女性も見かけます。99セントピザはニューヨークに増え続けています。気取った女性をも並ばせる99セントピザ屋は、景気低迷から派生した力強い外食産業の力を見せつけています。
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