移り変わりの激しい芸能界。その中にあって、一つのことを長く続けるのは至難の業だ。
今でこそ結成15年を迎えるモーニング娘。や8年目になるAKB48など、長く続いているユニットがあるが、歴史をひもといてみると、時代を彩ったアイドルの活動期間は案外短い。
おニャン子クラブが2年半、SPEEDが4年(最初の解散まで)、キャンディーズでも5年といった具合だ。
そんな中、1992年の結成以来、ずっと同じポリシーのもと活動を行ってきたユニットがある。それが『制服向上委員会』(略称:SKi)だ。
彼女らの活動はライブが中心。テレビに出ることもほとんどないため、名前を知っている人は少ないかもしれない。しかし、ライブには常に一定数のファンが集まり、それが20年続いているとなると、これはアイドルユニットとして一つの“成功例”と言っていいと思う。
そのSKiの5代目リーダーであり、現在は会長として活躍している橋本美香さんが、これまでの活動をまとめた本『脱がない、媚びない、NOと言えるアイドル』を出版、それを記念したトークイベントが6月27日に新宿ロフトプラスワンで行われた。
著作やイベントで語られた、一番の秘訣は“ぶれないこと”。とにかくSKiはそのモットーである“清く、正しく、美しく。”を貫き通す。水着はおろか、少しでも露出が多い衣装を着ることは一切なく、歌のフリなどでターンをする時には必ずスカートを押さえるという徹底ぶりだ。
そして現在ある多くのアイドルユニットとは「目指すところが違う」ともいう。世間一般で言われる『アイドル』の多くは、いかに時代の流れに乗るか(または流れを作るか)を考えて活動している。つまり、目指しているところは“ブレイク”であり、“ブーム”だ。もちろん、時代を作り、象徴していくのもアイドルの使命であるから、それが間違っているわけではない。しかし、時代というのは常に移ろいゆくもの。その流れに乗りながら、長い間活動を続けていくことは、ある意味消耗戦になっていかざるを得ない。
一方、制服向上委員会が目指すのは「使い捨てにされない人間」を育成すること。もちろんそれは芸能や音楽といった道に限らない。いずれの場合も流行に流されて一過性の人気で終わることがないよう考えた活動を行っている。
実際、SKiの契約期間は原則2~3年で、多くのメンバーはその期間で卒業し、それぞれ別の道に進んでいく。誰かが突出して引っ張っていくというよりは、今までに在籍した88人にのぼるメンバーが、長い時間をかけて作り上げたブランドといっていいだろう。
栄枯盛衰が激しい世界で、長く続けていく秘訣。それは、確固たるポリシーを持って、それを突き詰めること、そして、時代に流されずに信念を貫き通すこと、それにつきるのかもしれない。
※画像は制服向上委員会公式ページより http://www.idol-japan-records.net/ski/