ボクの名前はキセキ。
あの七年前の東日本大震災後に起きた原発事故によって警戒区域に置き去りになったんだ。
一年半という気が遠くなるような時間、ボクはたった一人で、同じように置き去りに
なったまま干乾びた牛さんのお肉で飢えを凌いだよ。
疥癬というダニの一種にやられて、体毛の殆どが抜け落ち、もう立てなくなって、
これで終わりかなと思った途端に、たまたま映画の撮影に訪れた監督さんに
保護されたんだ。
今は、何故か山梨県に越してきて、その時に救出してくれた監督さんと共に、
毎日軽トラの助手席に座り、町を疾走しているよ。
監督さんは、また性懲りもなく、今度は撮影舞台を福島警戒区域からアジアの犬肉に
まつわるエトセトラを映画にしているみたい。
映画は想像以上にお金がかかるみたいで、連日配送業務で体を酷使しながら、生活を切り
詰めて映画を作ってるみたい。
この監督さんの口癖は『こんなダークな映画には、企業は出資してくれないからね・・・』
やれやれ、人間社会もなかなか大変だワン。
なんだか同時に動物園の実態と、埼玉の猫大量虐殺の元税理士・大矢誠(改名後・岩野誠)
に代表される動物虐待魔を追いかける映画なども同時に撮影中なんだってー!
ますますダークじゃん!
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