一糸乱れぬロボットダンスで知られるパフォーマンス集団WORLD ORDERが新曲MVを公開した。タイトルは『Let’s start WW3』。一瞬ドキッとするタイトルと歌詞は久しぶりのMV出演となる須藤元気氏が手がけた。デジタル・テクノサウンドに日本のお笑い芸人の動きを取り入れたMVは、過去最高に挑戦的で風刺のきいた作品に仕上がった。
動画:WORLD ORDER “Let’s start WW3”(YouTube)
https://www.youtube.com/watch?v=FMrqlo_L-gY[リンク]
壁に星条旗が飾られたアパートの部屋で、「アメリカ第一」と繰り返すトランプ大統領の演説に心動かされた6人は、東京の街へと繰り出す。典型的な日本人サラリーマンの格好をした彼らは、みな一方向に向かって進む通勤ラッシュの没個性的な黒い流れの中に混ざり、「お金持ちで背が高くてプロレスもできて頭もいい、金髪碧眼のヒーローが登場した! さあ、第3次世界大戦を始めよう!」と、熱に浮かされたようにとんでもないことを口走る。そして、アメリカのお追従しかできない日本の政治を無機質なロボットダンスで皮肉る。「憧れのあなたにどこまでもついていきます!」。
最高に挑発的なシーンは2分34秒にやってくる。ネットミームにもなったトランプの女性蔑視発言「相手が有名人なら女はなんでもさせる。プッシー(女性器の俗語)をまさぐってもOKだ(Grab them by the pussy.)」を受けての「Let’s grab them by the pussy!」。テレビ番組なら“ピー”音で隠されてしまいそうな卑猥な言葉をモロに言っちゃった!
シアトル市街地を背景に“ランニングマン”、スターバックス1号店の前で“そんなの関係ねぇ!”(須藤氏曰く、Nirvanaらしいのだが)、中心街で“うんちょこちょこちょこぴー!”、マクドナルドで“恋ダンス”など、日本のテレビで流行った動きを取り入れたダンスを披露し、金色の豚の像を“ダンソン”で崇め奉る。金色の豚といえば、アンチ・トランプの建築家がシカゴ・トランプタワーのロゴを金色の豚のバルーンで覆い隠そうとしたパフォーマンス計画を思い出す。
流行り廃りの激しい内輪受けネタで“アメリカらしいもの”を茶化してからアパートの部屋に戻ってきてみると、出かける時に壁に飾られていた星条旗が、世界の国々の国旗を集めて作られた「世界はひとつ」に替わっていた。この旗は須藤元気氏がかつて総合格闘技の試合に持ち込んでいたもの。トランプの目指す独善的な世界秩序に対して「世界はひとつ」とWORLD ORDER(和訳すると「世界秩序」)が上書きしてしまう様は痛快だ。
※すべて筆者の個人的解釈です。
画像とソース引用:『YouTube』より引用