舞台『雷ヶ丘に雪が降る』ゲネプロ公演レポ 石渡真修「それぞれの正義が繰り広げられる座組です!」

2017年12月20日(水)東京・俳優座劇場にて、舞台『雷ヶ丘に雪が降る~The Five God Chronicle・雷神編~』ゲネプロ公演が行われた。本公演は、ASSH十五周年記念興行・第三弾として、オッドエンタテインメントによって企画・製作される。主演・石渡真修を中心に、中尾拳也山沖勇輝坂本康太小栗諒鵜飼主水らが出演キャストとして抜擢された。さらに、栗生みな相笠萌八坂沙織南千紗登山本真夢など、役者だけでなく、各方面で活躍する女性キャストもキャスティングされており、本作の期待が高まっている。男性・女性のキャストが本作でどのような魅力ある演技で舞台を盛り上げてくれるのか。今回はメインキャストの石渡真修と中尾拳也のコメントと共に、当日のゲネプロ公演をレポートする。

序盤から見せるアクションシーンで観客の心を作品の世界へ誘う

これまでオッドエンタテインメントやASSHの特集をしてきた筆者だが、今回の舞台には一味違った演技のクオリティが感じられた。アクション、プロジェクションマッピングなど、演出家・松多壱岱による舞台の驚きは既にご存知の方もいるかもしれない。その中でも筆者が気になったのは、キャストたちの本作に掛ける”気概さ”だ。セリフや表情など、キャストたちが見ている人に伝えようとするキャラクターの”想い”や”感情”が、視覚を通して感じることができる。どれほど迫力ある演出を身に着けることはできても、情感のこもった演技を披露するのはキャストたちのモチベーションが高いからではないだろうか。

あくまでもこれは筆者の感想に過ぎないが、展開によって涙腺を緩ませてしまうシーンも見受けられた。最初は見る者を圧倒させるアクションシーンに驚きを隠せない人もいるかもしれない。しかし、もし二回目以降も観劇する機会があったら、見る人それぞれの感性を働かせるとまた違った捉え方ができると思う。

女性キャストたちが舞台を彩るアクションと魅了する演技

男性キャストばかりに注目していては、この作品の面白みが半減してしまうかもしれない。本作の中心は男性キャストかもしれないが、ヒロイン役の栗生みなは目の見えない少女を演じる。盲目という部分を舞台上でどのように表現するのか、またヒロインを支える相笠萌の気遣う姿勢は見ている人の心をどれほど揺るがすのか。さらに、遊女として舞やセリフの掛け合いを通して、女性の持つ魅惑を伝えようとする八坂沙織、南千紗登、持田千妃来、山本真夢の表現方法も考えてみるのもいいかもしれない。

そして、女性キャストのアクションシーンを行う関谷真由や藍菜にも注目。男性と刃を交える女性の生き様には、キャラクターそれぞれの覚悟が込められている。物語全体を通して五感を刺激する本作の要素は密度が濃いようだ。

石渡真修と中尾拳也がファンへ見てほしい見どころポイントを紹介

ゲネプロ公演後に男性ならではの力強さを披露した石渡真修中尾拳也の二人にインタビューを敢行した。

ーーゲネプロ公演お疲れさまでした! 今回、アクションシーンがかなり見応えがありましたが、実際に終えて感想はいかがでしょうか?

中尾拳也(以下、中尾):僕は殺陣自体が初めてでしたので、無心でやっていました。

石渡真修(以下、石渡):無我の境地!?

中尾:身体が動く通りに、がむしゃらでした(笑)

石渡:じゃあ、身体が殺陣を覚えていたってこと?

中尾:もうちょっとで覚えるかな!

ーーお話を聞いているとアクションシーンの大変さが感じられます。

中尾:でも、真修くんの方が大変だったと思いますよ。稽古に合流するのがスケジュールの関係で遅かったので。

石渡:それはあったかも! 殺陣の量が多かったので、覚えるのに苦労しました。

中尾:最後のアクションシーンとか、頭で理解するよりも身体で反応していたんじゃない?

石渡:フラフラだった! 役と身体がリンクして、ホントに倒れそうになったもん。

中尾:稽古で必死さが伝わってきたよ。

石渡:大変だったね(笑)

ーー本気度合いも見ていて肌にヒシヒシと感じました。それでは、これから本作を観劇する方へ自分たちが見てほしい見どころなどありましたら教えていただけますか?

中尾:僕は剣を振り回して必殺技を繰り出すシーンがあるんですけど、そこは注目してほしいです! 剣を扱うのは初めてだったんですけど、とある先輩から教えていただいた技なので見逃さずにチェックしてほしいです。

石渡:僕は物語の始まりから終わりまでの雷切の生き様です。

ーー孤高に生きる男という印象が感じられました。

石渡:序盤では仲間に頼らないで一人で生きていこうと威勢を張っています。強さだけを求め続けていたんですけど、仲間が敗れていく光景を前にして成長する過程は見どころだと思います。

ーー命がけで戦う男らしさも見て取れるかもしれませんね! ちなみに、座長として石渡さんがこの座組にテーマを付けるとしたら、どんな言葉で表現しますか?

石渡:”正義”でしょうか。

ーー正義ですか? それはどうして?

石渡:この物語は、登場キャラクターそれぞれに正義があって戦うんです。敵として道雪はいるんですけれど、彼のやっていることも決して悪ではなく、世の中の平和のために戦っています。なので、それぞれの正義が繰り広げられる座組です!

ーー深い意味が込められたテーマをありがとうございます。それでは最後に、皆さんの演技を楽しみに待っているファンの方へメッセージをお願いします。

中尾:今回の舞台はアクションシーンがホントに多いです。僕自身、これまでいろいろな舞台に出演させていただきましたが、今までとは違う熱量があります。一度だけではすべてを見ることが難しい作品だと思うので、何度でもリピートして見ていただきたいです。最初は新鮮な気持ちで、二回目からは物語に感情を入れながら見るとラストまでの展開がスムーズに理解できると思います。

石渡:たくさんのキャラクターが登場するので、先ほど話した見どころ以外にも要素が詰まっています。ホントに良いキャストが集まってそれぞれの役を生きています。一回目は物語全体を、二回目以降は細かい部分にも注目してみると発見があると思います。アクションシーンと併せて、様々な視点から作品を楽しんでください!

撮影:野島亮佑

公演情報

【スケジュール】
12月22日(金)④14:00~◎ ⑤19:00~★
12月23日(土・祝)⑥13:00~◎ ⑦18:00~★
12月24日(日)⑧14:00~

<アフターイベント> ★=トークショー ◎=ハイタッチ会

【チケット】
価格:S席:7,500円 特典付S席:9,500円 ※前方5列
   A席:6,500円 特典付A席:8,500円

【劇場】
俳優座劇場 [リンク

【ホームページ】
雷ヶ丘に雪が降るオフィシャル[リンク

野島 亮佑

オンラインライター/ニュース記者。ライブ・イベントレポートをはじめ、映画舞台挨拶、演劇・舞台レポート、アーティストや役者のインタビューを行っています。

Twitter: ryosuke_nojima