【40代男の就職】フリー歴17年! 裏社会ライターは世間に受け入れられるか?‐第3回‐

  by 丸野裕行  Tags :  

オッサンの就職大失敗の連続

前回は、裏社会ライターと知りながら、なんと入社させてくれようとした会社の面接に出向き、チンプンカンプンな筆記テストの用紙を液体ワイドハイターに漬け込んだかのような白紙解答で提出し、見事玉砕!

しかも、連載がはじまって知らない間に、御年41歳になってしまったこの男。ひとりでの排泄もままならないおじいちゃんになってしまい、さらにミドルエイジの就職なんて夢のまた夢だ。

しかし、新生児も生まれ、我が家の大黒柱として、のほほんとバカライターをやっているわけにはいかない。なにせ、私には、“家族を養う”という無茶すぎるミッションがあるのだから!

前田吟主演の『看護婦の父ちゃん、頑張る!』という映画じゃないけれど(誰が知ってるんだ)、父ちゃんは家族を養うため、そして、退社時間に「あのぅ、丸野さん、今晩って女子会があるんですけど、一緒にジビエ料理食べに行きませんか? 丸野さんのことがすっごく知りたくって…モジモジ」という20代前半の新卒OLたちに誘われて、
ひょっとしてオレがジビエで食われちゃったりして、尻にローリエとかローズマリーとか詰め込めれちゃったりして…」なんて夢を叶えるために純粋に就職活動をしなくちゃならんわけで!

©写真AC

しかしまぁ、前回までの連載を読んだ関係者各位は、

「おまえに会社に入られたら迷惑だろう!」

「船会社に就職して、蟹工船に乗れ!」

「一般常識のテストが解けないやつに何ができるんだ!」

「おい磯野! 空き地で野球やろうぜ!」

「ブラック企業でも嫌がるわ!」

などなど、激励の言葉をたくさん頂戴し、いやはやうれしい限り。

だが、この後、またまた登録していた転職マッチング会社から一通のメールが届くわけで…

積極的に会いたいとのアプローチ

【丸野裕行様 この度は当社の転職マッチングサイトにご登録ありがとうございました。
早速ではありますが、丸野様のご経歴に大変ご興味を持たれた企業様がぜひともご面談したいとの…】

なんともまぁ、捨てる神あれば、拾う神ありというやつだ。こんな経歴で、一年に数回はおしっこした後に尿漏れがじゅわ~っと琵琶湖みたいに広がる男に興味を持つ企業もあるものなんだな。実際にそのぬれそぼったパンツを持参してみせてあげよう…、いや、やめておこうか。

依頼されていた原稿を脱稿し、最近ハマっている自家製の焼き鳥の串打ちを終え、すぐに履歴書と職務経歴書を準備、面接希望日を送信する。なんでもWebの制作会社らしい。う~ん、聞いたことないなぁ。まぁでもいいや。すぐさま返信があり、面接が明後日の午後と相成った。

大阪の中心部某所。会社はオフィス街のど真ん中のビルのなかだ。一階には、古い油を使っていそうな唐揚げ居酒屋の店が入っている5階。エレベーターであがり、社名のあるドアを入ると、殺風景なオフィスに受付用の電話がある。

「これ、直接声かけた方が早いんじゃないのか?」なんてことを思っていると、30くらいの事務員のお姉さんが応接室へ通してくれ、茶を出してくれた。意外にちゃんとしている会社じゃないの。

丸野さんのような方をお待ちしていました!

履歴書を用意していると入室してきたのは、チャラそうな男性と、落ち着いた男性の2人組。にっこりとした口元から覗く白い歯が高そうなセラミックっぽい

「いやぁ、ネットや動画で拝見していた通りの方ですね。ファンですよ!どうも、代表のYです!」
「人事のGです」

結構組織がデカいってことなのか? なんでも大阪と東京に2ヵ所のオフィスがあるっていっても、秘書代行使ってレンタルオフィスを借りてる輩もいるからなぁ…。

「丸野さんにぜひ当社で活躍してもらいたいんです! あなたのアイデアをどんどんと出していただきたい!」

「そうなんですか…。Webの制作会社とお聞きしたんですが、一体何の?」

「…あのう、丸野さんはご趣味は何ですか?」

「はぁ、映画とか、お酒とか、車とか、拳銃とか、まぁ、飲み歩きが好きですね」

「そうですか…。女の子のお店とかは?」

「…まぁ、よくは飲みに行きますね、確かに」

「エッチなお店なんかには?」

「エッチなDVDとかは観ますけどね、もう妻もいますしね、そういうお店には…あんまり」

「あっ‼ そうですか、エッチな動画を! 動画、観ますか、動画!」
一気に昇り龍になる社長のテンション!なんか、目がらんらんと輝いてコワいわ!

「そりゃ男ですからね、観ますね」
なんなんだこの面接、おかしいじゃないか。エッチな、とか、動画、とか、観ますか、とか何のヒントだよ、わけわかんねぇよ。だから、なんのWeb制作をしてるんだよって聞いとんねん。

「実は、ウチの会社は、う~んひと言では言い表しにくいんですけど、いわば、アダルト動画系ですね。アダルト動画の配信を海外経由で…

はい! それ、これから摘発されてもおかしくない系のやつ! 出たよ! ビンゴ! なんだか怪しいと思ったら、アダルトサイトの配信会社でしたよ~! 完全ブラック! 富山ブラック!

ブラック企業で入社試験

「まぁ、作品の制作もやってましてね」とそこにGも口を出してきた。
もうねぇ、気が遠くなるほどのブラックね! 仮面ライダーブラックRXだよ、ホント!
そこからは、遠い目のオレを尻目に、今売れ筋ダウンロード数の人気動画を説明してくる。

で、その上にこんなことまで社長は言ってきた。
「うちの会社では、丸野さんはほとんどヘッドハンティングなんですけどね、一応入社テストというものがありまして、カタチだけなんですが、なにか、これは集客できるだろうという動画ポータルサイト名と、今後監督業にもぜひ参加してもらうので、高ダウンロード数になるであろう作品名とコンセプトを、30分くらいで考えてもらいたいんですが?」

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乗り掛かった舟だ、え~い、ままよ! ちょっと考えてみようじゃね~の
10分後…

20分後…

30分後…

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≪丸野が考えた動画ポータルサイト名≫

『クリントリスン元国防長官』

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≪丸野が監督するAV作品名≫

作品名・内容:
『CHINPONグランプリ』…お題に合わせた奇妙な体位を再現できれば「CHINPON!」※遠藤憲一の声で
『丸野くんの正直〇んぽ』…ブスにはまったく反応しないという内容
『ぶらり途中発射の旅』…彼女に会いに行く道すがらで女たちと出会う

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ほほ~う! さすがは丸野さんですね! いいじゃないですか!」
よくねえよ‼絶賛する社長と人事のG。オレはまともな会社に就職したいの!

面接が終わり、その後の合格の連絡がきたものの丁重にお断りしました。
は~あ、疲れた。

≫≫次は、「丸野裕行、インドネシアの会社へ行かされる」へ続く

丸野裕行

丸野裕行(まるのひろゆき) 1976年京都生まれ。 小説家、脚本家、フリーライター、映画プロデューサー、株式会社オトコノアジト代表取締役。 作家として様々な書籍や雑誌に寄稿。発禁処分の著書『木屋町DARUMA』を遠藤憲一主演で映画化。 『アサヒ芸能』『実話ナックルズ』や『AsageiPlus』『日刊SPA』その他有名週刊誌、Web媒体で執筆。 『丸野裕行の裏ネタJournal』の公式ポータルサイト編集長。 文化人タレントとして、BSスカパー『ダラケseason14』、TBS『サンジャポ』、テレビ朝日『EXD44』『ワイドスクランブル』、テレビ東京『じっくり聞いタロウ』、AbemaTV『スピードワゴンのThe Night』、東京MX『5時に夢中!』などのテレビなどで活動。地元京都のコラム掲載誌『京都夜本』配布中! 執筆・テレビ出演・お仕事のご依頼は、丸野裕行公式サイト『裏ネタJournal』から↓ ↓ ↓

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