舞台『不思議の国のカンタータ』で見せたアイドルたちの感謝と絆 SUPER☆GiRLS・宮崎理奈「今回の縁を永遠にしていきたいです!」

“これはアイドルライブ……いや、ガールズ演劇だ!”

突然の冒頭分に驚いた読者もいたかもしれない。これは筆者が舞台『不思議の国のカンタータ ~泣き声混じりの空想歌~』ゲネプロ公演を見終わったときに感じた感想だ。今回ご紹介するのは、11月22日(水)東京・新宿村LIVEにて行われたSUPER☆GiRLSメンバー・宮崎理奈がプロデュースする演劇のレポート。

SUPER☆GiRLSと言えば、エイベックス・マネジメントに所属するアイドルグループで、avexアイドルオーディション2010で誕生したユニットだ。今回は、メンバーの宮崎が演劇を自らプロデュースするという初の試みに臨む。演劇に興味があった彼女だったが、自ら主催者として舞台を作り上げるという驚きの内容に、本人も緊張の中で製作に挑戦したとのこと。

ゲネプロ公演では、主演・座長の宮崎をはじめ、同ユニットの渡邉ひかる溝手るか内村莉彩尾澤ルナもキャスティングされた。さらに、元アイドリングメンバーで女優としても活躍する玉川来夢や元Dream5メンバーの大原優乃など、注目のキャストたちで座組が組まれている。

また、本作は企画演劇集団・ボクラ団戯の久保田唱が脚本・演出を担当するなど、出演キャストだけでなく、製作者からも目が離せないメンバーで構成されている。

本編の物語も実際のキャストたちとリンクした印象が伺える内容になっており、舞台を見終わった後に残る余韻にも味わいを感じさせてくれた。そこで、本舞台の見どころとなるポイントを筆者目線でまとめてみたいと思う。

SUPER☆GiRLSメンバーたちが演劇の世界を観客へお届け

開演と同時に場内の照明が落ち、次に舞台が照らされたときには、宮崎一人が立って物語を語っていく。かと思いきや、もう一人の女の子がその場に登場し、この場から立ち去るように促した。しかし、次の瞬間、門が閉ざされ内側から出られなくなってしまう。

序盤から早くも舞台に見入ってしまう筆者がそこにいた。宮崎は2011年から役者としての活動を開始しており、アイドルだけでなく舞台役者としても活躍する彼女がどのような演技を見せるのか。宮崎自身、舞台観劇や演技することが好きだと明かしており、これまで出演してきた舞台経験を活かして手掛ける本作に、筆者も興味を抱いていた。

さらに今回は、宮崎とゆかりのあるキャストも参加しており、キャスト同士の接点という点でも見どころがある。ユニットの仲間だけでなく、様々な交友の繋がりにも注目してみたい。

終盤のライブでアイドルたちのパフォーマンスを堪能

本舞台には、実際にキャストたちがアイドルユニットとしてライブを披露してくれるところに魅力がある。本舞台のキャストで作られたアイドルだが、出演キャストは実際にアイドルとしての活動経験を持つメンバーたち。そのライブパフォーマンスは紛れもなく本物だった。

その中でも、筆者が気になったのがキャストメンバーが今回の舞台に出演できたことに対して、プロデューサーの宮崎に対して嬉しさや感謝の言葉を残していたことだった。本作は仲間との絆を描かれる部分が多分に含まれており、それは実際のキャスト同士でも相通ずる部分に思われる。

さらにライブパートでは着席の状態で、観客もサイリウムやうちわを振って声援を送ることができる。まさに、アイドルがプロデュースした演劇ならではの要素だと感じさせてくれる。

ライブパートについて宮崎は「演劇が好きな方にはライブの新鮮さを感じてほしい、SUPER☆GiRLSのライブに来てくださる方にはライブパートと合わせて舞台を楽しんでほしいという想いから導入してみました」と自身のこだわりを述べた。

ゲネプロ後に宮崎にインタビューをしてみると「座組メンバーは実際に仲の良い子たちもいて、プライベートやお仕事での縁が繋がった瞬間だなと実感したんです。なので、今回の縁を永遠にしていきたいです!」とコメントを残した。

製作スタッフやキャスト、そして観客との時間を共に過ごし、楽しい時間を共有するためにはどうするか。半年近くの歳月を経て、ようやく宮崎の思い描く舞台を完成し、無事に初日の公演日まで迎えることができた。舞台の役柄だけでなく、それを作る段階での過程にも見えざる努力がたくさん存在する。本編では、より深い人間関係や相手に対する思いやりなどの情景が繰り広げられた。ただ舞台を観劇するだけでなく、宮崎が作ろうとしていた本質や見る人たちの人間関係を意識してみると彼女が伝えたいテーマが感じ取れるのではないかと筆者は思う。

撮影:野島亮佑

≪公演情報≫

【劇場】
新宿村LIVE[リンク

【タイムスケジュール】
2017年11月
23日(木・祝) 14:00~/19:00~
24日(金) 19:00~
25日(土) 13:00~/18:00~
26日(日) 12:00~/16:00~

【キャスト】
宮崎理奈(SUPER☆GiRLS)
渡邉ひかる(SUPER☆GiRLS)
溝手るか(SUPER☆GiRLS)
内村莉彩(SUPER☆GiRLS)
尾澤ルナ(SUPER☆GiRLS)
森岡悠(GEM)
西田ひらり(GEM)
中崎絵梨奈(Chubbiness)
嶋梨夏(Chubbiness)
池山智瑛(Chubbiness)
其原有沙
大原優乃
玉川来夢
片岡沙耶
君島光輝
大野未来

【あらすじ】
「誰かを探して旅をしてるんです」
新たな街『エルトワ』に辿り着いたカナデは、その街の一軒の建物に入るなりそう言った。出迎えた支配人の女は、カナデの質問に答えることなく「あんた、歌は歌えるの?」そう聞き返してきた。
「ここでは歌えない奴はメシにもありつけないよ」次に浴びせられたその言葉に「ここで暮らすつもりなんかない。ただ人を探しているだけ」そう反発するカナデだが、『エルトワ』からは高額な通行料を支払わない限り出られないという。
「この街の利益にならない人間はただちに処刑」その街では働きもせず富も持たない者は生きているだけで罪になる。
カナデはたまたま入ったその「見世物小屋」で暮らすことを余儀なくされる……。
カナデが迷い込んだ、行き先に選んだつもりのない「不思議な街」
その街の見世物小屋『カンタータ』で出会ったのは、歌を歌って生活する何人もの女性たちだった。
トップの座に入れば生活安泰。下手くそは頑張って愛嬌を振りまくしかない。「誰からも不必要」になった瞬間、待つのは「死」……?
「私は誰を探してここに来たんだっけ?」自分がそこに来た理由を探るカナデがある日見つけるのは、誰かが眠り続けているという箱。「私の探す人はここにいる?」恐る恐る箱を開けたそこに眠っていたのは、カナデ自身であった。
「私が探していたのは私?」「違うそんな筈はない、私が探していたのは生き別れた妹の筈」「そもそもこの眠りつづけている自分自身は一体何?」
迷い込んだ不思議の国で出会った不思議の箱。そしてその街に響いた、泣き声混じりのカンタータ。
SUPER☆GiRLS宮崎理奈プロデュース!!街の正体とそこで暮らす人々が幸せになる方法を探る、カナデの不思議の国での物語。

【ホームページ】
株式会社SANETTY Produce[リンク

野島 亮佑

オンラインライター/ニュース記者。ライブ・イベントレポートをはじめ、映画舞台挨拶、演劇・舞台レポート、アーティストや役者のインタビューを行っています。

Twitter: ryosuke_nojima