リストラを嫌った松下幸之助のパナソニックが本社従業員を半減する

  by あおぞら  Tags :  

『厚生労働省は31日、2010年の日本人の平均寿命について、女性が86・3歳、男性が79・55歳になったと発表した』を目にするとちょっと不安になる。寿命とは寿の命と書くものでありがたいものだと思う。その平均寿命が伸びることに『不安』などと言う否定的な言葉を引用することは罰当たりかも知れない。しかし、冷静に考えて今の日本で後期高齢者の皆さんが元気でぴんぴんなら本当におめでたいことだが、実際は病院で長年入院されていたり、自宅療養でご家族の皆さんも介護疲れであったり、そのような現実を推して知るべきだと思う。

暮らしにくい世の中になっていくと思う。戦後日本が焼け野原から立ち上がったときは、日本人として大和魂の精神性を重んじた。貧乏でも明日への希望を追及して日夜働いた。松下幸之助は丁稚奉公からのスタートで一代で世界中に知られるパナソニックを創業した。貧乏を恥じない心の美しさがあった。社会貢献もした。今の経営者と違うなと思うのは浅草の雷門を寄進したのは松下幸之助だったのだ。浅草に行く人はだいたいあの趣のある雷門を通るところから気持ちが高ぶる。私はなるべくいろんなことを知りたいと何かしら調べている人間だが、浅草の雷門を松下幸之助が寄進したことはごく最近まで知らなかった。

人を育て、企業を育て、社会にも還元した松下幸之助はどんなに経営が苦しくても従業員を解雇しなかった。この流れはアサヒビールを立て直した樋口廣太郎にも継がれていて、樋口氏と松下幸之助が面識があったかどうかは知らないが、アサヒビールの経営が傾いた時、樋口廣太郎は社員を自宅待機させて、業績が上がってきたら徐々に職場復帰させていたと言う。これぞ本来の日本の経営の仕方で、いつからかアメリカを取り入れてリストラなんて悪しき方法を実行している現代の経営者たちは先陣の功績をどう思うのだろう。

パナソニックが、2012年度をメドに本社の従業員約7000人を半減する方向で調整に入った

5月29日の日本経済新聞が朝刊で報じたが、リストラが当たり前になった日本が恐ろしい。大阪市内から関西国際空港行きのバスに乗ると、このパナソニック本社のある門真市を通り抜ける。バスの車窓にいきなり清潔感のある、また緑の多い区画が広がり『なんだここは!』と思うと、そこがそのパナソニックの大阪本社だった光景が思い起こされる。羨ましさを感じた当時は2000年代の始め。まさか、その時私が羨ましいと思った優良企業パナソニック、松下幸之助を創業者とするその本社の従業員が半減されることは想像もできなかった。

目先の利益ばかり追いかける経営者も多い。経営者が逮捕されるケースも多い、そのようなモラルのない社長の下で働く社員は気の毒ではあるが、優良企業とされているパナソニックが創業者の方針を完全に覆す経営を実践しているのは残念である。松下幸之助のナショナル(パナソニックの旧社名)の従業員達はリストラに怯えることもなく、安心して定年まで働けたはずだ。福利厚生もしっかりして退職金で老後の生活も、また年金でも保障されたはずである。

今は平均寿命が伸びても、その平均寿命の半分あたりでもう将来の展望が見えないようにいきなり解雇されても、する側は痛まないかも知れないが、される側はどうすればよいのか。住宅ローンを抱え、学齢期の子供達のいる従業員の人生の背景も切る側は見ないようにしているのだろうか……

松下幸之助は草葉の陰からこのニュースをどう思うのだろう……

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