8月1日は、1977年に国土庁が制定した「水の日」。さらに国交省によれば8月1~7日は、「水の週間」なんだとか。そんな水にちなんだ啓発週間と時を同じくして、「栄養」を意識して生きるウィークも始まっていると……。
それを知ったきっかけは、公益社団法人 日本栄養士会 が開催したイベント「84 Award & 84 Selection」(8月2日、都内)に谷原章介が登壇すると聞きつけ、現場に向かったときのこと。開始早々、こんなアナウンスがあった。
「日本栄養士会は、国民一人ひとりに、栄養についてより広く認知・理解してもらうことを目的とし、2017年から毎年8月4日を『栄養の日』、8月1日~7日を『栄養週間』と制定しました」(同会)
◆ただのゴロあわせ!?
同会が発行する「栄養Wonder」2017夏号には、8月4日がなぜ「栄養の日」と定められたかが記してある。
「日本栄養士会に関連する記念日が多数あるこの時期に、一般生活者に親しみをもっていただくことを目的とし、8(エイト)と4(よん)で、「えいよう」の日としています」(「栄養Wonder」2017夏号から引用)
エイトよん、エイよん、えいよう、栄養……のただのゴロあわせだったのか!?
同会は、この8月4日の前後、8月1日から7日までを「栄養週間」と位置づけ、「全国の管理栄養士・栄養士とともに、日本人の『栄養を楽しむ』生活を応援する」と。なるほど、今回の「84 Award & 84 Selection」の84は8月4日を意味し、「栄養(84)を意識して健康で充実したライフスタイルを貫く著名人を表彰する」という趣旨だったと。
◆いままで経験したことがない栄養問題に直面
ただ、この「栄養の日」を設定した同会は、もっとシリアスな背景がある。イベント会場には、谷原章介(別項で後述)のほか、日本栄養士会代表理事 小松龍史会長、同 中村丁次名誉会長らが登壇。中村名誉会長は、「栄養の日」を定めた経緯・背景についてこう伝えていた。
「かつて栄養問題は、時代と地域の集団特性によって発生してきた。戦前・戦後の栄養欠乏症、高度経済成長後の肥満と生活習慣病などがそれだ。しかし現在、わたしたちはいままで経験したことがない栄養問題に直面している」
「同じ地球に、同じ国や地域に、同じ家族に、同じ人物に、過剰栄養と低栄養が混在している。過剰栄養は中高年の肥満や生活習慣病へとつながり、低栄養は若年女子や高齢者などの『やせ』を発生させている」
中村名誉会長は、街でよく聞く3人の会話を例に出し、「栄養の日」を定めた意味について、あらためてこう伝えた。
「Aさんは『糖質は制限すべき』、Bさんは『じゃあ、ご飯や果物も抜きだね』、Cさんは『いや、和食はいいみたいだよ』と話す。これはいったい何の話をしているかというと、Aさんは栄養素、Bさんは食品、Cさんは食事で評価していて、3人とも自分の栄養状態や健康状態を考えていない。この現実のギャップがある」
「多様化・複雑化・個別化する保険・医療・福祉・環境の問題に対して、栄養の重要性を再確認し、新たな“栄養の風”を起こすために『栄養の日』を定めた」
◆過剰栄養と低栄養の混在時代に、谷原章介流バランス感
こうした経緯から「栄養の日」を定めた同会は、「新 栄養習慣8」として、「リラックスしてとにかく楽しく」「よりよい眠りは朝ごはんから」「偏った生活に+1でバランスを」「効率よく食べよう」「運動後に水分をとる」「季節に応じた伝統的な食」「塩分をカット。舌を意識する」「管理栄養士・栄養士に聞いてみよう」の8項目を提唱。詳しくは、公式ページ(nutas.jp/84/)をチェックするとして、このイベントのメイン「アワード」について、だ。
「栄養をとおして、いまをイキイキと、健康で充実したライフスタイルを送る著名人」におくられる「84 Award」に初めて選ばれたのは、俳優の谷原章介。
6人の子どもを抱え、家族でいっしょにご飯をつくったり食べたりするシーンが浮かぶ有名人ということで選ばれたらしく、ことし春にスタートしたTBSテレビ「谷原章介の25時ごはん」や、NHK Eテレ「きょうの料理 谷原章介のTimeless Kitchen」で腕をふるう姿を、この会場でも再現。料理好きの一面を披露してくれた。
また、大家族の主を務める彼は、家族それぞれの好みにあわせ、肉、魚、味の濃いもの、薄いものと、手を変え品を変え、食卓を埋め尽くすという暮らしの一端を語る。鯛めし、パエリアといったご飯モノから、煮物に餃子と熱々のもの、冷しゃぶや南蛮漬けといった夏メニューまで、「いろいろつくれます」「つくるのが好き」と笑いながら、料理に向き合う姿が印象的だった。
―――ということで、あした8月4日は「栄養の日」。ここで一度、過剰栄養と低栄養が混在する現在を栄養週間中に意識しながら、自分の食生活をあらためて見つめ直してみたい……。本稿の続報となる、谷原章介の“未公開トーク・囲み取材トピックス”を整理しながらそう思った次第。
◆84 Selection 2017
日本栄養士会会長賞:江頭文江(管理栄養士/地域栄養ケアPEACH厚木代表)
日本栄養士会会長賞:カレーの街よこすか事業者部会
特別協賛企業賞・伊藤園賞:公益社団法人熊本栄養士会JDA-DATチーム
特別協賛企業賞・ゼスプリ賞:こばたてるみ(管理栄養士/しょくスポーツ代表取締役)
(すべての画像は著者が撮影)