ニューヨークの五番街の中心地である42丁目近くに、ニューヨーク公共図書館のミッド・マンハッタン分館図書館があります。因みに本館は42丁目にドンと構える巨大な建物で、一般的な分館の要素の本の貸し出しというより、観光名所そのものと言った感じで、ニューヨーク市民は行く必要はほぼないんじゃないでしょうか。本館の前にはライオン像があり、ゴージャスな建物です。
さて、その本館のはす向かいにあるのが写真のミッド・マンハッタン分館です。こちらは一般の図書館で一階にはDVDや旅行ガイド、新刊などの貸し出しがあり、1階から5階までが一般人が利用できる階です。今回のお話はこのミッド・マンハッタン分館で見た、嫌な光景をお伝えしたくなったのです。
数多くあるニューヨークの分館図書館の中でも、この図書館はかなり大きいです。大きい分だけ利用者も多く、この図書館には珍しく入り口にセキュリティーがいます。9・11のテロが起こった後、数年は図書館に入るのに荷物までチェックされていたこともありましたが、今はそれがなくなりました。
さて、先日この図書館に入ったとき、回転扉を押して更に中にあるドアを開けて入館するのですが、私を含めて4人の人が同時に図書館に入りました。しかし、一気にドアから入るわけにはいかないので、そこは順番で入るのですが、ラテン的の大きな女性セキュリティーが白人のキャリーバッグを持った女性を制しました。その間に私の前にいた大きなリュックを背負った黒人男性が焦るように中に入っていきました。キャリーバッグの白人女性も、大きなリュックの黒人男性も共にホームレスだと思います。
止められた白人女性は大柄の女性セキュリティーに「今まで一度も止められたことがないのに、どうして図書館の中に入れないんですか?」と抗議しています。私はそのやり取りを横で見ながら図書館の中に入っていきました。
エレベーターに乗るためにエレベーターホールで待っていると遠くにホームレス風女性と大柄セキュリティー女性のやりとりが見えます。そして遠慮がちにエレベーター前のエスカレーターの陰に立ち、入り口からの死角に入って息をひそめているような黒人男性がいると思ったら、先ほどのリュックのホームレス風男性です。この男性も場合によっては止められていたかもしれないので、図書館内に入っても警戒しているのかもしれません。
イヤな光景でしたね。図書館ですよ、公共の施設の図書館でなぜホームレス風の人たちを入れないんでしょうか?
止められた白人女性はぱっと見ではホームレスとはわかりませんが、キャリーバッグを持つとそれとなしにわかってしまうのは否めません。それにしても同じ五番街の高級ブティックに入ろうとしているのなら、それを制するのはわかります。イヤ、本来そんなことは店側はするべきではないですし、そういうことを実際してしまったらそれも問題ですが、高級ブティックなら仕方ないかもしれません。
しかし、しかしですよ、こちらはニューヨーク公共図書館の公共施設ですよ!
ニューヨーク、まぁアメリカ全般ですが、日本のように公衆トイレが充実しているわけでなく、観光客で困るのがトイレ問題。レストラン客なら使えるけど、その為にレストランに入るわけにもいかず、トイレがある場所でしっかり用をたしていかなくては不便の多い土地柄です。
ホームレスの人たちだってトイレは必要です。彼らは自分たちがデパートに入って、そこのトイレを使えるとは思っていらっしゃらないだろうし、デパートに入ろうとすると制させる可能性だってあるわけです。ニューヨーク公共図書館は安心して使えるトイレがあるから、こういう公共施設でトイレをしたり、水を飲んだり、椅子に座ったりしてリラックスする自由はあるはずなのです。
なのにだのにどうしてセキュリティーは入館拒否するでしょうか?
自由の女神は悲しむだろうな、アメリカ市民と思われる白人女性が図書館から入館拒否をされる。こんなアメリカってなんだかさみし過ぎます。
画像: from flickr YAHOO!
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