みなさんは、『ひなビタ♪』をご存知ですか? コナミデジタルエンタテインメントが運営するひなビタ♪は、ある地方都市の町おこしのために結成されたガールズバンドの日常をSNSやWEBラジオ、音楽配信などで展開する新しい形の音楽キャラクターコンテンツ。人気音楽ゲーム『BEMANI』シリーズに楽曲が収録されているので、特に音ゲー愛好家を中心に、多くのファンを獲得しています。
そんなひなビタ♪の主役となる“日向美ビタースイーツ♪”の曲を実際にバンドでコピーしてみたい!というユーザーの声は、これまで運営サイドにたくさん届いていました。そのファンの熱い想いに応える形で、3月15日に“日向美ビタースイーツ♪”の初めてのバンド・スコア『日向美ビタースイーツ♪●BITTER SWEET GIRLS!』が発売されました。
バンド・スコア『日向美ビタースイーツ♪●BITTER SWEET GIRLS!』
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今回、本書の発売を記念して、ひなビタ♪の企画・原案・音楽監修を手がけるTOMOSUKEさんへのインタビューを敢行。ひなビタ♪が誕生したきっかけやこれまでの展開、またバンド・スコアに対する思いなど、じっくり語ってもらいました。
「素人女子高生の手作り感」という現実性を重視している
ーーー『ひなビタ♪』を始めようと思ったきっかけは?
TOMOSUKE 源泉となっているのは小さい頃の一人旅です。旅先の地方都市で感じた独特の「ノスタルジー」が一人旅から帰る時の「喪失感」と相まって、大人になっても自分の心の中にずっと生き続けていました。一方で、音楽の力は人々に活気を与え元気にし、実際町おこしまで繋がるということを大学の時に実体験として経験してきました。
この2つの経験から、少しほろ苦い地方都市を舞台に音楽の力で町おこしをする女の子たちのストーリーを作ってみたいと思いました。
ーーー登場キャラクターやストーリーを考える時に気をつけていることは?
TOMOSUKE 圧倒的な現実性ですね。それを出すためにまず考えたのが楽曲制作日誌です。音楽が生まれる瞬間から、ライブで完成版を披露するまでのいきさつを丁寧にメンバーそれぞれの視点で書いていく。日記体形式の小説といいましょうか、それをFacebookで展開してリアルタイムでバンドの状況がわかるようにしています。日記なのでリアルな時事ネタも結構出てきます。
また平日なら学校に行っている時間帯は書かない、休日なら実家のお店を手伝っている様子、夕方ならば晩御飯を待っている様子、夜中なら独特のテンションで普段書かないようなことを書き込むなど、人間臭い部分を特に大事にしていますね。
キャラクターは自分の置かれてる環境によりそれぞれ心に欠けている点を持っていて、みんなでそれを補うのがバンド活動であり、決して有名になりたいとか自己実現のためのものではないということも大切にしております。
ひなビタ♪のFaceBookページ。登場キャラクターたちの言葉によって、日常生活が日々公開されている。
ーーー今、お話に出たように『ひなビタ♪』はFacebookやYouTubeなどを活用していますが、それらのメディアを使おうと思った理由は?
TOMOSUKE リアルタイムに全世界に発信できるという即時性の部分と、話題をシェアしやすいという部分で使おうと思いました。専用のチャンネルやページを用意することも考えられたのですが、あくまで「素人女子高生の手作り感」という現実性を重視しています。
ーーーリアル・イベントを開催するなど、鳥取県倉吉市とは深い関係になっていますが、そもそも倉吉市との関係はどのように作られたのでしょうか?
TOMOSUKE 切っ掛けはFacebookだと思います。Facebookにアップロードされたイラストや日記での叙述がどうも倉吉市なのではないかということを数人のファンの方が思われて、自発的に現地に行ってレポートしたことによりさらに現地を訪れる人が広がったと思います。その結果、倉吉市役所にまでそのことが伝わり、市役所の方から私に問い合わせが来たことから現在の関係が始まりました。
ひなビタ♪の舞台となる倉野川市は、鳥取県倉吉市に通じる部分が多く、同市に聖地巡礼するファンも少なくない。
新譜はどんな方でも好みの曲が見つけられると思う
ーーーひなビタ♪の楽曲はどれもとても多彩ですが、制作する時に意識していることは?
TOMOSUKE バンドメンバーのパーソナリティは、音楽ジャンルととても密接な関係になっています。例えば、(山形)まり花(Vo/Key)は渋谷系やレトロな音楽が好きな女の子なのですが、それは親がレコード屋の店主でありラウンジ系やソフトロック、ジャズ系をメインにしていて、そういう環境で育ったからというちゃんとした理由があります。まり花という女の子はレトロ志向の父親の影響を受けているので、そのロジックの元に曲を書いているわけです。
ほかのメンバーについても、家庭環境や商店街の事情の影響を強く受けているので曲を制作する時は必ず「なぜこういう曲を作るに至るのか」という部分を彼女たちの人生や出来事から必然的に生まれるように考えてます。大げさなのですが(笑)。でも、それが圧倒的な現実性となると思うので、そこには力を入れています。
ジャンルが多彩になるのは必然的で、バンドメンバーそれぞれが家庭事情や環境が違う。先程も言いましたが、「欠けているものがそれぞれ違う」から、必然的に価値観、観点、嗜好性も違って、作る音楽ジャンルも異なるという風になっています。
ーーー3月15日にリリースされた新作『Home Sweet Home』のポイントを教えていただけますか?
TOMOSUKE ある意味、今までのストーリーの集大成であり、メンバーたちのバンド活動に対する答えが出ているCDだと思っています。ストーリーをずっと追いかけてきた人にとって、「ぽかぽかレトロード〜Home Sweet Home edition~」は特に納得されて心に響くのではないかなと思っていますし、このCDで初めてひなビタ♪に触れる方はどんな方でも1曲は好みの曲が見つけられると思います。そういう意味で、万人の方にお勧めできる作品だと思っています。
ひなビタ♪の最新作『Home Sweet Home』。
実際に楽譜を見て、よくもこんな難しい音楽ができたなと(笑)
ーーー今回、バンド・スコアを作りたいと思った理由は?
TOMOSUKE やはり、日向美ビタースイーツ♪の音楽をより深く知ってもらうために、実際に演奏してほしいという思いがありました。それと、音楽の力というものを実際に人に伝える役目になってほしいなという思いです。一人でDAWで打ち込み音楽もいいですけど、バンド活動は人と人を繋げるとても意義のあることだと思っていますので、多くの人にそれを経験してほしいな、ひなビタ♪がきっかけになればなと思っています。
ひなビタ♪初のバンド・スコア『日向美ビタースイーツ♪●BITTER SWEET GIRLS!』。
ーーー実際にバンド・スコアを見た時の感想は?
TOMOSUKE うわー、難易度高いなと思いました。自分で音楽プロデュースしておいてなんですが、実際に楽譜を見て、よくもこんな音楽ができたなと(笑)。僕は鍵盤弾きでそれなりにいろいろなジャンルのバンドをこなしてきた方なのですが、多分山形まり花という女の子には勝てないと思いました。
ーーーバンド・スコアの読者へのメッセージをお願いします。
TOMOSUKE ファンブックとしてバンド・スコアを入手した楽器を弾いていない方も大勢いるかと思います。でも折角なので、これをきっかけにバンド活動に興味を持ってくれたらなと思います。楽器を始めるのは一人では大変ですが、仲間が集まって目的さえできれば、案外すんなり行くものですよ。「大丈夫だよ! 絶対、大丈夫だよっ!(註:劇中でのまり花のセリフ)」
ーーー最後にひなビタ♪の今後の展開について教えてください。
TOMOSUKE ひなビタ♪は、もう4年以上続いている独特な不思議なコンテンツです。ファンのみなさんはご存知だと思いますが、ほかのキャラクター音楽コンテンツとはまったく違うテイストなので、なかなか気づきにくいしわかりにくく、お友達にも説明しづらいかと思います。
わかりやすい展開をするのはそんなに難しいことではないのですが、音楽をどう深く楽しんでもらって、さらにその力で人と人との繋がりをいかにして生んでいくのか。そのテーマを持っている以上、安易なことはしたくないなと思っています。
ただ、この面倒くさい考えにずっとお付き合いして下さっているファンのみなさまのために、みんなが楽しく集えるイベントなどを考えていこうと思っています。
これからもひなビタ♪を宜しくお願い致します。
TOMOSUKEさんのインタビュー、いかがでしたでしょうか? ひなビタ♪はもちろん、音楽に対する同氏の深い想いが感じられたと思います。
ひなビタ♪の楽曲は、音楽好きや楽器を弾いている方を思わず唸らせてしまうほどの高いクオリティを持っているので、ぜひいろいろな方にチェックしていただきたいですね。