CNNを音声無しのテレビで見ていたのは辺りが暗い10時過ぎのジムだった。ペダルを漕ぎながら右上の天井から吊るされた薄型テレビにはオバマ大統領とアフガニスタンのカルザイ大統領の調印式の様子。そこで『ビンラディンが殺されて1年くらい経ったのかな….』と思いつつ画面を見ていた。
そうか、日々の暮らしの中でいろんなニュースが飛び交い、1年前に米軍特殊部隊”シールズ”がビンラディンを殺害したことなどニュースが流れるまでは忘れていた。オバマ大統領はビンラディン殺害を政権の実績としてアピールするが、極悪犯人を殺害としたとしてもそれを選挙戦で押し出すのはいただけない。
さて、視点を変えてBBCのニュースサイトに行ってみた。そこにはアメリカのメディアと違う角度からこのビンラディン殺害から1年の記事があった。
5月1日付けの記事によると見出しで『あなたの知られざる夕食のゲストが世界から注目されている人だった際には何が起きるのか?』と1年前に殺害されたアルカイダの最高指導者、ビンラディンをおもてなしした2人の男性が語る….から始まった。
2010年の深夜、パキスタンの北西に位置するWaziristan地区に、その地方の6人の男性が名前も明かされないゲストの到着を不安げに待ち続けていた。彼らには1週間前に”重要な人”の来訪があるということだけ伝えられていた。もてなす側にはゲストの名前どころかゲストの到着時間も教えられず、2時間前にようやく教えられたのであった。
夜の11時、周辺は深い眠りにつく夜あたりに、車の音を聞いた。「12ほどの大きな四駆がやってきたんです」とひとつの家族の長老が(BBC記者に)話し始めた。「それらの車はいろんな場所からここに集まってきたように見えました」
アルカイダの首領、国際指名手配のビンラディンは悲しいくらいに、人目を忍んで生き延びていたことがこの記事から伺える。人が寝静まった頃の11時に各方面から集合をかけられたであろう国際テロ組織のテロリスト達が集結しての密会である。その1年後、ビンラディンが殺害されることを誰が想像したのだろう。
平和な日本に生活していると中東の話は随分離れた世界に思えるかもしれない。こちらアメリカですら中東のニュースは報道されていても、実際中東に行ったことのない私は感覚がつかめない。
ビンラディン殺害から1年、テレビニュースはそれ中心に報道している。2年前にビンラディンをもてなした男性2人がBBC記者から取材を受けたが、安全面で命が狙われないかが心配だ。このようなことを話すことは勇気がいる。BBCはこの2人の命を守るように努めて欲しい。
画像:frickr from YAHOO!
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