3月11日の東日本大震災は、サラリーマンや会社のありかたというものを見直すきっかけとなりました。その中でも、今、大きく変わろうとしているのが「オフィス」です。
これまでは、社員が仕事をするための機能を一箇所に集中させ、そこに全ての社員を収容することで業務効率化・経費削減する”集中型”のオフィスが主流でした。しかし、震災後はより積極的にクラウドやノートPC、IT機器を活用することで社員を”分散”する傾向にあります。そのほうが不測の事態にも強く、省エネにもなり、結果として経費削減にもなることに企業も気付き始めているからです。
本稿では、震災以降に出てきた新しいもの、以前から注目されていたものも含めて、従来には無かった新しいオフィスの形、”分散型”オフィスをまとめてみました。
・コワーキング・スペース
『共同』、『共に』という意味の接頭辞coをworkingに付けて作られた言葉「コワーキング」。日本にも見られるような、いわゆる小規模の月極めレンタル・オフィスと違って、フリーアドレスで無線LAN完備の時間貸しオフィスが「コワーキング・スペース」です。仕切りのない漫画喫茶のオフィス版といったところでしょうかね。六本木店、渋谷店の2店舗を運営する「JELLY JELLY CAFE」(http://jellyjellycafe.com/)は1日千円程度、1ヶ月契約でも15,000円(2011年7月現在)と、かなり安いです。気軽にお試ししてみるのもいいですね。
・セカンド・オフィス
異なる企業が複数集まり、共に働きながら職場をシェアするのが、「セカンド・オフィス」です。「第二のオフィス」の名のとおり、既にオフィスを所有している企業が、他社との共同プロジェクト運営のためにオフィスを共有します。場所をパーテーションで区切り、大人数でオフィスを借りるコストカットするシェア・オフィスと違い、あくまで複数の企業の協業を主眼に置いています。日本では赤坂にオープンした「オフィス・コロボックル」(http://www.facebook.com/KOROBOCL)が一部で話題になってますね。
・ルームシェア型オフィス
同じような仕事をする会社員や個人が集まり、生活しながら人脈を広げたりスキルを磨き合う、現代版の「トキワ荘」とも言えるのがこの「ルームシェア型オフィス」です。phaさんが主催し、WEB系のエンジニア、クリエイターを集めた「ギークハウスプロジェクト」(http://geekhouse.tumblr.com/)は都内だけでなく京都や愛知など、全国に広がっています。生活費を節約しつつ、同じ志を持つ仲間を欲する若い人たちの間で、今後ますますニーズは高まるでしょう。今後は企業が主導し社員を住まわせるルームシェア型オフィスなども生まれそうです。
一般的な事業所における一人当たりの必要スペースは、おおよそ2坪と言われています。都内の平均的な相場ですと、100人の事業所で月400万円、千人を超えるような規模の大企業だと、月々4千万円ほどかかることになります。
技術的にはskypeやUTREAM、twitter等で社内の情報共有できる状況も整っています。社員を分散し、いつでもどこでも作業できるようにしてしまえば、個人の必要スペースどころか会議室やミーテイングルームさえいりません。セキュリティの問題もあり、大きな会社がスピーディに導入するのはなかなか難しいかもしれませんが、上記で紹介したような社員”分散型”のオフィスが、日本でも少しずつ浸透していくでしょう。
※画像は『足成』より引用http://www.ashinari.com/