ブロードウェイミュージカル『EVITA』観劇

  by あおぞら  Tags :  

火曜日のエビータの上演は夜の7時からで、通常の8時開演より1時間早い。7時前に劇場に入るともうぎっしり観客が埋まっていた。今月の5日オープニングで、すでに一番手に入りにくいチケットとされている。

エビータの愛称で親しまれたエバ・ペロンは実在する人物の、アルゼンチンのファーストレディーだった。私生児として生まれ、男を踏み台にのし上がり、ライジングスターだった軍人のフアン・ペロンと結婚し、後にペロンは大統領にまで上り詰めた。

美貌を武器にファーストレディーにおさまったエビータは、贅の限りを尽くし、その割りに貧困層の味方でもあり、慈善事業に精力を注いだ…… 激動のアルゼンチンを駆け抜けて、わずか33歳で死去。

エビータの観客層は年齢の高い人たちが多かった。ただ楽しむミュージカルと言うより、史実に基づいて展開されるストーリーは実話だけに感動も深い。

エビータ役の女優はエビータと同じアルゼンチン人であるのも適役だし、ロンドンで既にエビータ役をこなしていた。実物のエバ・ペロンに似ており、声までも似ていた。ミュージカル進行の立役者のチェ役のリッキー・マーティンは暫く見ないうちに随分と骨格がしっかりしていて、一回り大きくなったように見えた。もともと音域の広い歌手ではないが、かなり特訓したとみえて予想以上に良い出来であった。

流石にブロードウェイの舞台だけあり、セットもまるでメトロポリタンオペラのように豪華にしつられていた。エビータがヨーロッパ外遊に行く時は天井近くから、外遊先のスペイン、イタリア、フランスの大きな大きな国旗が垂らされ、全体にそれぞれの国の特徴を映像で流すあたりは実に心憎い演出だ。

エビータはマドンナ主演で1996年に映画化されているので、わかりやすいミュージカルである。ニューヨーク旅行を予定されている方には、先ず映画を観て、しっかりストーリーを叩き込んでミュージカルをご覧になると、本場の感触をつかめると思う。

チケットはオーケストラで135ドルするが(曜日によって違う)、学生には特典があり、学生証(高校生も含む)を当日のボックスオフィスで提示すれば、学生2人までは、一枚38ドルで買えるので随分得した感じになるだろう。ミュージカルの劇場はそれほど大きくないので、離れた席からでも十分楽しめる。

開演前の7時前にはタイムス・スクエアーはまだ日は暮れていないが、公演後の9時過ぎに劇場を後にすると夜のタイムス・スクエアーの喧騒が面白い。牛歩状態の足並みで人ごみに揉まれて先に進む。見渡す限りネオンが眩しいくらいに輝いて、まさに不夜城。エビータに限らずミュージカルは東京でもロンドンでもロスアンゼルスでも公演されているが、公演後のこの街並みは、やはりブロードウェイの右に出るものはないのではないだろうか。

ミュージカルとタイムス・スクエアーの喧騒のセット感覚が、尚面白さを増している。

The Marquis Theatre -1535 Broadway – New York, NY 10036

画像:frickr from YAHOO!
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