「ハドソン川の奇跡」、塾講師による感想文
私はアメリカで教師をしていたし、英検1級や通訳ガイドの国家試験に合格している。だから、英語で見てきた。ヨーロッパ、オーストラリア、中国、韓国など多くの国を旅行してきたが、いつも飛行機だから他人事ではない。
事故調査の過程で同じ状況のシミュレーションを行なった際、エンジン停止後、すぐに空港へ引き返していた場合、ギリギリではあったが緊急着陸は可能だったことが判明している。
しかし、事故機のパイロットたちは訓練通りにエンジンの再始動を試みたため、引き返す時間がなくなった。
シミュレーションに参加したパイロット達も同じようにエンジンの再始動を試みたが、結局は空港へ引き返す前に機体が墜落する結果に終わっていた(その場合、市街地などに墜落し、より大惨事になっていた可能性もあった)。
そのため、不時着水の決断は結果的に正しかったことが立証された。
小さい頃に、首にできたデキモノを手術でとってもらった。小学校時代は低い雷に打たれそうだった。高校時代は大学受験前にノイローゼで倒れて、入院騒ぎ。大学時代は、二日酔いで車にひかれそうだった。アメリカでは飛行機が怖かった。社会に出てからは痛風や胆石で悩まされた。
それでも、生き残った。
アメリカに住んでいる頃
「これでは、日本は負けるわな」
と思った。韓国のセウォウル号が沈没した時に、船長が修学旅行の生徒たちを見捨てて自分が真っ先に逃げ出した。
「情けないなぁ、韓国人は。日本なら、船長は最後まで乗客を見捨てない」
と思ったはず。
しかし、アメリカでは、乗客を全員救った機長も徹底的に調査が入って、他の選択肢がなかったか検討される。そして、本当に優れ判断であったら賞賛する。その冷徹とも言える公正さは驚くほどだ。
監督のクリント・イーストウッドも、主演のトム・ハンクスもすばらしかった。
中国や韓国が欧米の植民地にされてしまったのも、マッカーサーが日本人の精神年齢が10何歳と言ったのも分かる気がする。
アメリカに住んでいた頃、このような良心的なアメリカ人に囲まれていた。だから、よけいに帰国後に日本人の悪ガキたちの幼稚さ、大人の醜さに呆れ帰ってしまった。
日本は生まれ育った国で、好きな国だ。誇りにも思う。しかし、同様にアメリカが世界の中心のようになっている理由も分かる気がする。
トム・ハンクスのような機長になれるほどの技術をマスターできそうな塾生は5%ほどでしょうか。その上に、責任感を持って最後まで乗客を救おうとする品格を備えた塾生は1%ほどだろうか。
ローガン中学校の生徒は、もう少し多いような気がした。
ローガン中学校で、教師が生徒の学力順位を隠蔽したら「卑劣」と抗議を受けるだろう。競争を避けようとしたら「臆病」とバカにされるだろう。現実社会の競争から目をそむけたら「卑怯」と罵られるだろう。
日本の教師は、なんでそんなことが出来るのか。だから、ALTも呆れているわけだ。