シャバダバ、シャバダバ〜
黒縁メガネの丸っこく人懐っこい顔、
江戸っ子気質で明るく粋で洒脱だった。
「生きてるんだから楽しまなきゃ、遊ばなきゃ」
「楽しいよ、ジャズはいいよ、麻雀、ゴルフ、野球、競馬、釣り、遊びって楽しいよ、面白いよ」
終戦のころ、大橋巨泉氏は少年だった、
あのころの少年たちはみな、終戦が炙り出した大人たち社会の欺瞞、愚かさ、情けなさを目の当たりにした。
「遊びをせんとや生れけむ 戯れせんとや生れけん
遊ぶ子供の声きけば 我が身さえこそ動がるれ」
(梁塵秘抄 巻第二 四句神歌 雑)
人はなんのために生まれてきたのか、
遊びをするため、戯れるために生まれてきたんじゃないか
大人になって忘れていても、遊ぶ子供たちの声を聞いて思い出したはずじゃないか、
人は、遊びをするため、戯れるために生まれてきたことを。
「生きてるんだから楽しまなきゃ、遊ばなきゃ」
「楽しいよ、ジャズはいいよ、麻雀、ゴルフ、野球、競馬、釣り、遊びって楽しいよ、面白いよ」
「大人になっても、遊ばなきゃ、戯れなきゃ」
「そうしないと、欺瞞だらけの愚かで情けない大人になってしまうよ」
また、あのころと同じように、大人たち社会は欺瞞に満ちた愚かしい情けない姿を晒け出すようになった。
大橋巨泉氏は、そんな社会に決別するかのように旅立っていった。
大橋巨泉氏は、一緒に遊び楽しんできた仲間たちと、また来世で遊び戯れに行くかのように旅立っていった。
(イラストは筆者描画)