【大胆予想!】2020東京五輪・開会式を手がけるクリエイターたち

現在開催中のリオ五輪。ブラジルを代表する映画監督フェルナンド・メイレスが手がけた開会式はなかなかに圧巻な演出でしたね。そうなんです、競技が始まってしまうと代わり映えのしない五輪で、各国“独自のエンタメ力”が問われるのが開会式なのです。

となると、そろそろ気になってくるのは、2020東京五輪の開会式は誰がやるのか? 今回、長年エンタメ業界を取材してきた筆者の独断と偏見と願望で予想してみました。あくまで個人の見解なので、皆さんも是非、ブログやSNSで予想して頂ければ幸いです。

大前提として、長野冬季五輪は地味で失敗だったと私は思います。その原因は、総合演出に浅利慶太(劇団四季)を起用するなど、完全にドメスティックな論理で人選をしてしまったところにあるのではないでしょうか?今回はグローバル視点で、世界的に認められている日本人クリエイターを結集するとどうなるのか、をテーマに考えてみました。

製作総指揮 宮崎駿、総合演出 庵野秀明、ゴジラとトトロな開会式

異論がある方も多いと思います。しかし、海外マーケットをリサーチしていると、JAPANコンテンツと言えばアニメなのは残念ながら曲げようのない事実なのです。海外で「知ってる日本人クリエイターは誰?」と聞くと、必ず上がるのは黒澤・小津・宮崎駿・北野武。その中でも存命でメジャーな存在はやはり宮崎駿。北野武はどちらかと言えばコアな映画ファンは知っている、的な位置づけでしょうか。

とすると、本人にその気があるかは別として宮崎駿の名前は外せないでしょう。しかし、宮崎監督はあくまでアニメの人。実働部隊として演出を手掛けるのは師弟関係でもある庵野秀明と樋口真嗣率いる『シン・ゴジラ』チームが現実的ではないでしょうか。実はゴジラも、ハリウッドリメイクの影響もあり、世界的に知られたコンテンツ。ゴジラ、トトロという世界的に知名度の高いキャラクターを使わない手はないでしょう。

できれば、開会式プロデューサーはジブリの鈴木敏夫にやって欲しいですね。五輪って基本的に電通仕切りなんです。その電通を仕切れる、数少ないプロデューサーが鈴木敏夫です。スポンサー主導になりがちな五輪を、クリエイティブ主導にできるのは鈴木プロデューサーしかいない、と私は思います。

日本の伝統芸能と言えば歌舞伎ショー

外国人観光客に一番人気のJAPANエンターテイメントと言えば歌舞伎です。海外から見て、日本の伝統芸能は非常に独特で興味津々。歌舞伎要素は海外メディアも食いつく演目だと思います。これが10年前であれば、歌舞伎をエンターテイメント化した『スーパー歌舞伎』の創始者、先代 市川猿之助(現 猿翁)を推したいところですが、高齢のため恐らく困難でしょう。では、4年後の歌舞伎界のトップスターは誰か?市川海老蔵です。海老蔵を筆頭に、歌舞伎界の売れっ子たちが一堂に会した『花形歌舞伎』メンバーによる歌舞伎ステージは、是非実現して欲しいものです。ライブショーとしての演出は、演劇界からいのうえひでのり辺りが適任ではないでしょうか?

テーマ音楽は坂本龍一、国歌独唱が悩ましい・・・

世界的に知られた作曲家と言えば第一に挙がるのは坂本龍一、次が久石譲。曲調的に馴染みやすく、五輪との相性がいいのは久石譲だと思いますが、やはりTOPオブTOPは坂本龍一でしょう。悩ましいのは国歌を誰が歌うのか? 国内視点で言えば、ジャニーズやAKB、EXILEが挙がるのかもしれませんが、世界的に見ればPerfume、きゃりーぱみゅぱみゅ、BABYMETALの方が知られています。ひと昔前ならばX JAPANか宇多田ヒカルだったのですが・・・。敢えての初音ミクという手もありますが、安室奈美恵あたりが妥当なのかもしれません。

国内では知られていない、海外で活躍中の日本人アーティスト

実は、海外で活躍しているアーティストほど国内認知度が低い傾向にあります。所詮、日本市場なんてちっぽけなもの。海外マーケットで通用しているアーティストにとって「日本なんてたまに帰国して公演すればいいか」程度だったり・・。今回のテーマは” 世界視野 “なので、海外で高く評価されている日本人アーティスト、クリエイターを挙げてみたいと思います。

1. DRUM TAO 世界観客動員700万人、22ヵ国400都市で認められる和太鼓集団

世界最大の芸術祭エジンバラで2年連続トップセールスを記録し、北米44都市ツアー完売、ブロードウェイでも人気を誇る和太鼓集団。WBC開幕戦のオープニングアクトや、バンクーバー五輪にも招聘された世界的称賛を集めるアーティスト。コシノジュンコが衣装デザインを手がける、モードとエンターテイメントが融合した和太鼓パフォーマンスは、東京五輪に欠かせないと私は思います。

2. ライゾマティクスとチームラボ 最新テクノロジーとライブ映像の融合

日本映像界のトップランナーと言って過言でないのは、ライゾマティクスとチームラボ。

ライゾマティクスは、きゃりーぱみゅぱみゅやPerfumeのライブ演出も手掛け、北米最大の映像と音楽の祭典、SXSW(サウスバイサウスウエスト)でプロジェクションマッピングとドローンを駆使したLIVE演出で大きな話題を呼んだ映像集団。

一方、チームラボは“テクノロジー×日本美術”をコンセプトに掲げ、とにかく圧倒的に美しい日本的な映像を創り上げるデジタルアート集団。ニューヨーク、シンガポール、台湾でも高い評価を受けています。競技場という巨大なキャンバスを使った、壮大な映像演出ができるのは彼らをおいて他にないでしょう。

3. Siro-A 米・ゴッドタレント輩出の次世代パフォーマンス集団

アメリカの人気オーディション番組『ゴッド・タレント』で大絶賛、ゴールデンブザーを勝ち取り、エジンバラでも”スピリッツ・オブ・ザ・フリンジ”を受賞した、Siro-A(白A)もまた、世界的な日本人パフォーマーです。2013年に同番組で優勝したダンサーのEBIKENこと蛯名健一と共に、ぜひ起用して欲しいものです。なお、彼らのパフォーマンスとライゾマティクスの映像は絶対に相性がいい!と筆者は思います。

もちろん、日本の国技である大相撲や、よさこい・ねぶた・だんじり等の伝統的な祭りも検討に上がる要素かもしれません。最も難しいのは、近年、五輪開会式に必ず入ってくる”その国の歴史を振り返る”パートでしょう。歴史認識は日本の最も苦手分野なので、近現代は描かずに、甲冑を着た戦国武将が馬に乗って勢ぞろい!等でお茶を濁すのかもしれません(笑)。

五輪組織委員会がどんな人選をするのかは分かりませんが、筆者的お薦めメンバーを挙げてみました。皆さんの「この人こそ開会式にふさわしい!」という声も、ひょっとすると選考材料になるかもしれません。せっかく巨額のお金をかけてやるのですから、日本のエンタメ力を世界に発信できる開会式にしたいものですね。

画像出典:Getty Images(1,2,4) 松竹(3)

映画、映像、エンタメ系Webライター。国内外エンタメマーケットの現場から、日本のエンタメを取り巻く空気感をお伝えします。

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