数式をとおして、ほんの少し壮大な「コスモス」を感じた瞬間

  by takagishigemi  Tags :  

数式をとおして、ほんの少し壮大な「コスモス」を感じた瞬間

  私の父は、戦中派だ。80歳で亡くなる前に、ある日「滋賀大学に落ちた」と言った。エエカッコしいで、自分の失敗談を話さない人だったが、どういうわけか、私にそう言った。

  優しい言葉

「もしもし、小林先生ですか」
「はい」
「私、中学三年生の高木です。分かりますか」
「おう」
「実は、夏休みの宿題を先日受け取ったのですが、私はあれやりたくないのです」
「なに言ってんだ、オマエ」
「自分で選んだ問題集を夏休みにやりたいので、あれはやらないでいいですか?」
「・・・」
「まぁ、おまえの好きにしろ」
「はい、分かりました。ありがとうございます」
 チン。

 ボクは、北勢中学校の成績は校内で2番から4番くらいを行ったり来たりしていた程度だった。中学1年生と2年生の通知表はオール4くらいでパッとしなかった。体操部にいて、クラブばかりやっていた記憶がある。
 四日市高校に入った頃は50番くらいで、卒業する時に現役で名古屋大学に合格したので、ちょっと順位が上がった程度なのだろう。四日市高校は、今も昔も、そんなもんです。

 受験の5日前にノイローゼで入院騒ぎを起こしたので、それが限界だったのだろう。詳しいことは、こちらに書かせてもらいました。http://storys.jp/story/18218?to=story&referral=profile&context=author_other

旧帝合格者数(四日市高校、定員360名、現役合格数)
           H28   H27   H26   H25   H24 
1、北海道大学   4     5    10     2     7 
2、東北大学    3     0     1     3     2 
3、東京大学    4     9     2     3     3 
4、名古屋大学  17    37    25    17    30 
5、大阪大学    11    8     6    17    20 
6、京都大学    3    12     8    16    10 
7、九州大学    2     3     1     1     0 
     合計   44    74    53    59     72
   合格率   12%   21%  15%   16%   20%

 今、私の指導させてもらっている後輩の中には、1ケタ順位の子もいて、現役の頃はとてもかなわなかったレベルの子たちです。そう言うと「謙遜している」とか「ウソでしょ!」と言われることが多いが、本当です。私の生徒の中には、中学生で英検1級に合格した子もいましたが、私は大学生の時に英検2級に落ちました(笑)。

 だから、「英検1級に挑戦する」というのは公言できませんでした。「バカか」「できるわけない」という言葉を聞きたくなかったからです。当時、三重県で英検1級に合格できるのは毎年1名か2名。誰が見ても無謀な挑戦でしょう。自分でも、そう思った。四日市高校の頃の悪夢よみがえった。自分より英語がデキル子が山のようにいたわけですから。

親切な指導

  私は自分で通信添削をすると決めた日から、8年間「Z会」の京大即応を受講し続けた。自分の最大のライバルはZ会になると予想していたから、「敵を知り、己を知れば百戦危うからず」だと思ったわけです。
  「個人塾が、Zをライバルだなんて・・・」ですか。私は、そういう言葉が聞きたくないんです。
Z会の、忘れた頃に返却される対応の遅さは、致命的でしたが、それもネットの普及で郵送期間くらいは短縮されるでしょう。
  しかし、一番の問題はそこではないことが分かった。押してある朱印の名前が毎回変わる。つまり、主治医がいない。担当が毎回変わる。
 これは、問題です。主治医がいなければ、時間経過による変化が分からない。毎回、初対面だから添削する方も、その人に即したアドバイスではなくて、大量生産・大量販売のようなステレオ・タイプのアドバイスになってしまう。
  つまり、Z会の用意した問題。どうせ、全てが同じ問題なのだから、マニュアルのような「模範解答」「模範アドバイス」を用意してあって、そのとおりに、機械的に処理されているのがミエミエなのです。
 Z会は、有名で大きくなりすぎた。受講生が増え過ぎた。だから、採点者も大勢用意する必要がある。そんな人材が、大勢いるわけもない。
  それでは 「Yahoo 質問箱」と何も変わらない。どこの誰が回答しているのか分からない。考えてほしい。「京大即応」コースって、京大受験生が集まってきます。添削者は、その受験生より桁違いに英語力がないとダメですよね。
 単純に京大合格者では、力量不足。ヘタをすると(特に、医学部受験生の場合は、ほとんど)受験生の英語力の方が上。

旧帝合格者数(桑名高校、定員360名、現役合格数)
           H27   H26   H25   H24   H23 
1、北海道大学   1     0     1     1     0 
2、東北大学    0     0     1     0     0 
3、東京大学    0     0     0     0     1 
4、名古屋大学  11    16    13    11    21 
5、大阪大学    2     0     1     1     2 
6、京都大学    1     2     0     4     1 
7、九州大学    0     0     0     0     1 
     合計   15    18    16     17    26
   合格率    4%   5%   4%     5%   7%

それで、大学生活が始まった頃のことだけど、はじめての一人暮らしで少々舞い上がっていたのだろう。3歳年上の女性とつきあいだした。私と知り合う前からつきあっていた男と切れるまえに、こちらとつきあい出して三角関係。
 お互いに不器用で未熟だったわけだけれど、向こうが先に卒業したものだから重荷になってきた。卒業したら結婚かと言う雰囲気になってきたのだけれど、私はアメリカにも行きたいし、大学院の進学も考えていたからね。
 そう簡単に捨てられるほど、勉強は軽くなかったんだ。結構、必死に勉強してきた過去を、女ひとりのために放り出せるわけがなかった。というか、女性とは、そういう思いを理解してくれるのだと思っていた。
 そうなってみると、一緒に旅行に行っても同級生の男にお土産を買ったり、左翼系の政治家を応援したりする彼女がジャマになってきた。私は、彼女が好きだったけれど、男に媚を売るような行為や左巻きの考えの人が近くにいると、落ち着いて勉強できそうになかったんだ。

 孤独の世界

 英検1級のチャレンジは、他人の“助言”を聞きたくなかったので、こっそり始めたけれど、高校の数学を指導する準備を始めた時も、こっそり始めました。英語講師という立場だったので、数学の先生の領分を奪う越権行為だから。
 数学の専門塾の方から、「協力してやらないか」と誘いも受けていました。
 文系に進んだ自分が独学で「数Ⅲ」を勉強する。それも、仕事の合間に。かなり、絶望的ですね。

  もし、私に可能性があるとしたら、「嫌なヤツ」という性格(笑)。

私は、人と協調することが嫌いです。クラブ活動は、体操、少林寺拳法という個人競技ばかり。チームワークというやり方に馴染めないんです。
 講師をしているのに、なんですが、教師とか講師をまるで信用していなかった。模試や教師のアドバイスも聞き流すタイプでした。
  もちろん、現役の頃は合格しないとダメなので模試の結果にしがたって入試に臨みましたが、「自分が文系だとは限らない」と思っていました。
「19歳時点での評価で、人間の評価が決まるわけないし」とも、思っていました。「英検の問題で、英語力が測れるわけないし」と、うそぶいていました。

  その後、その英検の権威を利用することになるのですけどね(笑)。

  多くの方たちが、英検や学歴の権威を受けいれているのだから、利用しない手はない。経営者とは、そんなもの。でも、そんなものは、そろそろ化けの皮がはがれ始めている。英検は、TOEICやTOEFLEに権威を奪われつつあるし、大学進学率が50%を越えた頃から、大学教授の実態を知った人も多い。
 私も、名古屋の名前を書けば誰でも知っている有名大規模予備校、塾、専門学校で勤務させてもらって、実態を知ったわけです。「こんな人たちが作った問題の点数で、高校のときに将来を決めていたのか・・・」と唖然としました。模試の権威が、ガラガラと音を立てて崩れた瞬間です。

旧帝合格者数(川越高校、定員320名)
           H27   H26   H25   
1、北海道大学   0     0     0   
2、東北大学    0     0     0   
3、東京大学    0     0     0    
4、名古屋大学   1     2     0  
5、大阪大学    0     2     0   
6、京都大学    2     0     0   
7、九州大学    0     0     0    
     合計    3     4     0  
   合格率    0.9%   1%   0%  

Z会が集める大勢の添削は、おそらく英語力のある「誰か」。
英検1級とか、通訳ガイドの国家試験の合格者なら、どうか。
  そんな人を、大勢集めるのは至難の技だし、実用英語と受験英語は微妙に違う。
  東進衛星予備校も、事情は同じだ。最初は、「地方には良い講師がいないから、中央の一流講師の授業をDVDで見せたらどうか」というコンセプトだった。でもね、その時も「講師の経歴はナゾだった」。
 Z会の添削者が、「Yahoo 質問箱」の解答者と何が違うのか分からないのと同様に、東進衛星予備校の講師も、Youtube の無料動画の授業と何がちがうのか分からない。
  トライの無料授業や、受験サプリなど、いっぱい流通しているが、講師は大丈夫なのか?
  結論を言う。

「システムより、人だ」。

  たとえば、京大医学部を受けるのなら、二次試験で8割くらいをめざす必要がある。しかし、京大のボーダーは医学部以外は、65%くらい。とても、足りない。では、京大医学部を卒業したレベルの添削者をZ会の規模で集められるのか。
 これは、物理的に不可能。京大「医学部」を出て、添削バイトをする人などいない。ビデオ授業をする人はいない。
  「ここ間違いですよ。模範解答は、これですよ。がんばって!」みたいなマニュアル式のアドバイスになるのは仕方ない。
でも、それでは京大合格はムリ。

  だから、私は、

1、英検1級、通訳ガイドの国家試験、国連英検A級、ビジネス英検A級合格。
2、実際に京大を7回受けて、8割を越える実力があることを、成績開示で示す。
3、指導した生徒を、京大医学部、阪大医学部、名大医学部に合格させる。

  という3つの目的を設定し、実現させた。もちろん、大量処理などしない。10名限定で、主治医のように添削させてもらっている。私は知名度だけで指導者を決めるような迂闊な生徒は要らない。
 この人数でも、通塾生もいるし、子供たちは独立したし、贅沢したくもない。年金もある。経済的には、問題ない。これなら、Z会にも勝てる。

ひとすじの光明

 グランド・キャニオンを旅行している時、切り立った崖の端に命綱もつけずに中学生のような子が座っていて、こちらが怖くなった。その崖の方に出るには一跨ぎで越えられる30cmほどのブロックが立ててあるだけ。
 外に出ようが、落ちようが知らん。自由だけど、結果については自己責任ね。そんな哲学が貫徹されていた。私がホームステイ先の家族に、「夏休みにカリフォルニアに行ってくる」と言っても、「あぁ、そう」だけだった。

 日本にいたら、あれこれ心配するに違いない。

 ローガン中学校で、掃除をしたばかりの廊下に入ってきた中学生を同僚のアランが突き飛ばして追い返した。いつも温厚ナアランだったので、驚いた。しかし、周囲の反応は「怒らせる方が悪い」だった。

 アメリカの「自由」は、日本には無いものだった。すごしやすかった。

 Z会を選ぶか、私のような無名の個人塾を選ぶか。結果は、明らかでしょう。9割以上の人は、知名度の高い方を選ぶ。日本には、「自己責任」という哲学が普及していない。
 多くの人がなびく方向に進めばいいと思っている。
 私は、大学時代にカノジョの言動を教育学部の同級生に話したことがある。教育学部は6割が女子だった。すると、「そういうカノジョを理解して、受け入れるべき」という意見が大半だった。
 我慢しろというわけだ。自分の夢を諦めろというわけだ。自分の夢や行く手を遮るものが女。そんなモノ要らない。自由が欲しかった。
 結局、カノジョとは別れた。
「自分の自由を奪わない、理解してくれる、いやプラスになる女性がいるはず」
 と思おうとした。そして、結婚した。
 ところが。
 私は、アメリカで洗礼を受けてクリスチャンになっていたので、四日市の教会に通いだした。すると、車で1時間かけて通うことになった。日本の教会はアメリカのものと似てもいなかった。
 最終的に「仕事と教会とどちらが大切ですか」と言われて、教会に行くのは止めた。日本は、教会でさえ自分の行動を束縛するだけのモノだった。
 妻は、そういう私に不満を持ったらしい。塾に賢い子が集まりだしたら、「あなたは、頭の悪い子を差別している」と、私を批判し始めた。塾はビジネスで、慈善事業じゃないことを理解していなかった。

「ここで、塾をつぶしたら子供たちが路頭に迷うだろうが!!」

 と思った。結局、離婚した。

 その頃、私は塾を2つと家を新築して、銀行の融資が1億ちかく、昼間は名古屋の非常勤講師、夕方は自分の塾で仕事に追われていた。返済を滞らせたら連帯保証人の親まで家から追い出されるのだ。
 私は、大学時代にロクに勉強もしないで女性との恋愛に夢中になっていた時期がある。そのあげく、留年した。私は、自由な時間が1年できて大喜びだったのだが、両親は心配したらしい。
 その頃、同窓会があり、飲み会の後に友人宅に泊めてもらった。両親には無断で泊まったものだから、翌日帰ったら母親が泣いていた。私が、留年を悲観して自殺でもしたのではないかと、一晩中心配していたらしい。
 私は、女に夢中になり、親を泣かしたことを後悔した。それでも、親の経済的な負担を思いやる知恵は、まだ無かった。
 勉強もそうだが、親も、何も分からない4歳から小学生までの子供たちを路頭に迷わせることなど、できるわけがない。
 長女が「お父さん、もう再婚してもいいよ」と言ってくれたことがある。でも、お父さんはもう女性に関わりたくないんだよ。私は、自分の父のように子供に良い家庭環境を与えられなかった。

 ごめんね。

高木教育センター

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 英検1級、通訳ガイドの国家試験、国連英検A級、ビジネス英検A級などを持つ英語講師。京都大学を7回受け、英語8割、数学7割。名古屋の河合塾学園、名古屋外国語専門学校などを歴任。アメブロ「受験生」ランキング1位。youtube 動画38万回再生。「英語の資格を取ろう」(法学書院)で紹介されました。アメリカの中学校で英語指導経験あり。少林寺拳法二段、ジャッキー・チェンと一緒にテレビ番組に出たことあり。

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