福井県大野市の源平酒造株式会社は、昼は糀(こうじ)ドリンク専門店、夜は日本酒しゃぶしゃぶ専門店という、カフェとしゃぶしゃぶの2つの業態を持つ悠久乃蔵を2016年7⽉1日(金)に銀座でオープンさせた。
それに先立って行われた報道関係者向けの内覧会を取材した。
銀座のど真ん中、銀座4丁目交差点からほど近い同店では、日本酒に欠かせない糀を使ったドリンクを提供し、日本酒を鍋に入れて行うしゃぶしゃぶと、日本酒づくしの料理等を提供する。
写真のように、まずは一升瓶から日本酒を惜しげもなく注ぐ。
途端に、日本酒の香りがあたりを覆う。若干もったいない気もするが、それはそれ。
300年以上の歴史がある蔵元のうち賛同を得た日本酒がそろうが、記者の席には岐阜県高山市平瀬酒造店の久寿玉が注がれた。
この久寿玉に限らず、しゃぶしゃぶにも使うが、もちろん飲んでも美味しいものばかりだ。
同酒造の15代目、平瀬市兵衛さんによると、地元では普通に飲まれているお酒で、特別なものではないそうだが、実に日本酒らしくて美味だった。
記者は本当に好みの味だったので、蔵元の社長さんにお酌をしてもらいながら、5杯ほどいただいた。
もちろん、個人の味覚によるところが大きいのだが、フルーティーな吟醸酒のようなお高いお酒よりも、記者は日本酒らしい癖のある酒が好みなので、これは偶然にしては良かった。
日本酒が沸騰して2分30秒ほど経過したら、完全にアルコールを飛ばさないといけない。
店員さんがマッチで火をつける。
すると、日本酒の中のアルコールが燃え上がり、まるで巨大なアルコールランプのように炎が上がった。
エタノールなので、アルコールランプと同じになるのは当たり前なのだが、その当たり前がまた見事で、感動を覚える。
しゃぶしゃぶに使う豚肉は、糀を使って育てた九州産の豚で、脂が乗ってるように見えた。
そして、実際にしゃぶしゃぶしてみると、脂が見事に落ちてとてもヘルシーになったよな気がした。
記者の食べっぷりが良かったのか、飲みっぷりが良かったのかわからないが、福井放送のカメラが記者に寄ってきてインタビューを求められた。記者なので受け答えはできるだろうと打ち合わせも台本もなし。いつもは記者がインタビューをする方だが、この日は受ける側になってしまった。
(福井放送)--味はいかがですか?
記者「日本酒が脂を落としてくれて、さっぱりした豚肉はとてもおいしいです」
--日本酒ですが、酔いませんか?
「アルコールを飛ばしているので、まったくわかりませんが日本酒独特の味はするのでお酒好きにはたまらないでしょうね」
--お酒が弱い人にはどうでしょうか?
「最初にアルコールを飛ばしてしまえばまったく酔いませんが、酒が少なくなって足すとどうしても残ってしまいますから、なるべく最初の日本酒で食べきるのがいいのではないでしょうか?(笑)」
--日本酒でしゃぶしゃぶというのはどうでしょうか?
「若干もったいないような気もしますが、今はデフレ社会なのでどんどん消費することは日本経済にとっていいことなのではないでしょうか?また、日本の伝統文化である日本酒を銀座という日本を代表する繁華街で広く発信することは、世界中からやってくる外国人にもとても良い日本の宣伝になるのではないでしょうか?」
と、思っていることを酒に任せてぶちまけてしまった。
これは編集されて福井県でニュース素材に使われるらしいが、記者は東京に住んでいるので見ることができないのが残念だ。
最後は、糀かき氷が提供された。濃厚な甘酒のような味がして、さっぱりとした舌に残るやさしい甘さだった。
値段は具である肉や野菜によって決まるのはもちろんだが、面白いのは出汁になる日本酒で変わることだ。
好みの日本酒で酔いしれてみてはいかがだろうか。
※写真はすべて記者撮影