サントリー食品インターナショナルが、「BOSS」のブランドの新たなラインナップとしてカフェインレスコーヒー「ボス デカフェブラック」を6月28日(火)から全国のコンビニエンスストア・交通売店限定で新発売する。
これに先立って、記者は発売前に試飲する機会を得たのでレポートする。
その前に、「デカフェってなんだ?」ということを調べてみた。
decafはフランス語のカフェという語感から想像するコーヒーのことではない。
英語のdecaffeinatedの省略形で「カフェインを添加していない」という意味になる。
つまり、カフェインレスという意味しかないため、緑茶であろうが紅茶であろうが、カフェインレスであればすべてデカフェということになる。
したがって、カフェインレスコーヒーという意味を持たせるにはデカフェコーヒーと表記するのが正規なのだが、この場合は商品名としてとらえておくべきだろう。
ただ、欧米ではかなりの認知を獲得しているようで、朝は目覚まし代わりに普通のコーヒー、午後には夜のことを考えてカフェインレスという文化は根付いているようだ。
また、妊娠中や授乳中の女性または美容を気にする女性にも選択されているようである。
さて、カフェインレスコーヒーと聞くと「味が薄い」とか、「美味しくない」とかというイメージになる。記者もそう思っている。
たとえ飲み分けをしたくても、美味しくなくては飲む気がしないのも消費者心理。
そこで、メーカーには申し訳ないが同じボスブランドの最高峰ブラックコーヒーであるプレミアム ボス ブラックと飲み比べることにした。
まずは、プレミアムボスから。
プレミアムなだけあって、いれたてのコーヒーの風味が味わえるのはさすが。
「コーヒーはこうでありたい」を地で行くもので、これは問題なく一般的に飲まれるコーヒーだ。
ちょっと意地悪だが、高輝度LEDを液面5ミリメートル下から照射して撮影してみた。
光は5センチメートルも透過しない。色も濃いコーヒーと認識して問題なさそうだ。
次にデカフェを飲んでみる。
ちょっと表現は難しいのだが、味に粘りがある。液体に粘りがあるのではなくて、味に粘りがあるのだ。
そして、ミルクを入れたいくらい濃い味なのに驚いた。
カフェインレスだと言われなければまったくわからない。
後味は舌に残らずすっきりしている。
ちょっと予想と違う味で正直驚いた。ぐっと飲み干せるコーヒーとでも言おうか。
プレミアムと同様の光を当ててみた。
カフェインレスは薄いという先入観があったので、光も透過するものだと思い込んでいたのにそうはならず、3センチメートル程度しか透過しない。
プレミアムとほぼ同様の透過となったので、決してコーヒーそのものも薄いわけではないことが分かった。
(この写真はメーカー提供)
気になった点が一つだけあったので、メーカーに聞いてみた。
--プレミアム ボスは商品名がコーヒーとなっていてこれは当然なのですが、デカフェは「コーヒー入り清涼飲料水(カフェインレス)」となっています。コーヒーではないんですか?
「実は、”コーヒー飲料等の表示に関する公正競争規約”というのがありまして、その定義はは次のように定められています」
<コーヒー飲料等の表示に関する公正競争規約 第2条第4号>
この規約で「コーヒー入り清涼飲料(カフェインレス)」とは、カフェインを90%以上除去したコーヒー豆から抽出又は溶出したコーヒー分のみを使用したものをいう。
「したがいまして、清涼飲料水という用語があっても決して薄いわけではなくしっかりとした量の生豆(なままめ)を使って抽出していますのでご安心ください」
※記者注 コーヒーの世界では生豆を「きまめ」と読まずに「なままめ」と読むのが一般的
また、ボトルのデザインにもこだわりがあり、ユニセックスで男女を問わず持ち歩けるとのことだった。
ちなみに「DECAF」の文字は既存のフォントではなく、デザイナーの手書きによるオリジナルのものだそうだ。
記者は飲みかけのボトルを少しずつ飲む習慣はないので冷たいものは冷たいうちに飲み切る方だが、女性はハンドバッグに入れて飲みかけを持ち歩く方も多い。
そこで最後は、常温での味を確かめてみた。
コーヒーは酸化しやすいというか、酸化した場合の味に影響が出やすい飲料だと思うが、ウイスキーのテイスティング用グラスに注いで常温になるまで放置し、グラスを回しながら空気に触れさせて飲んでみたが、香り味ともに気になる変化はなく最後まで美味しく飲むことができた。
デカフェという日本では欧米ほど浸透していないコーヒーの新しい分野。
その飲み分けの目的はどうであれ記者は普段飲み用に従来のアイスコーヒーを代替してもまったく問題ないと感じた。
アイスコーヒーが美味しく感じる季節になるだけに、日に何杯も飲むコーヒーファンにも試してもらいたい一本だ。
※写真は特に断りのあるものを除くほかはすべて記者撮影