昨年12月、丁度公務員のボーナス支給の日に私は都心の銀行にいた。正確にはふたつの銀行で無駄な時間を潰した。
日本に住んでいない私は日本で銀行口座を作れないことは知っていた。郵便局でも口座はもてないことを知っていた。しかし、銀行に出向いて聞いてみれば場合によっては口座を持てるかもしれないと出向いてみた。
その銀行は大手の銀行で一階にその銀行の信託の店舗があり、二階にあがるとメインの都市銀行があった。都市銀行は人が溢れているのを予め予想して、一階の比較的人の少ない信託銀行へ入り、順番札を機械から引き抜き自分の番を待っていた。待っている間、しっかりものの信託銀行の女性行員がキリリとして私の側にやってきて、銀行で何のサービスを必要とするのか聞いてくれた。
私は手短に自分が日本に住んでおらずアメリカに永住していること、よって日本で口座は作れないと思うが、日本国籍を有し、日本での住所も確保しているので、銀行からの郵便物を送るときにも不備はないことを言ってみた。拍子抜けするみたいにそのキリリの女性行員が日本に住んでいなくても口座は出来るが、信託銀行で口座を作ると支店が都市銀行に比べて圧倒的に少ないので2階の都市銀行に行ってみてはどうだろうか?と……..
正直言って驚いた!出来るんだ、日本で口座ができるんだ!と小躍りしたい気分であった。エレベーターなんか使わずに軽快に2階の都市銀行まで駆け上がった。しかし、アメリカ生活が長い私は日本の銀行員の言葉すら一応疑ってかかる。だって郵便局でさえ作れないものを銀行が作れるだろか?と。
2階の都市銀行は決して狭くはなかったけれど、人入りはまるで一足早い明治神宮の参拝客のような出足でぎっしりだった。そこで私がしたことは入り口で客さばきをする比較的年配の男性に「外国に住んでいる日本人です、口座は作れますか?それだけ教えていただけますか?」と言ってみた。しかし、男性は番号札を取れと言う。一応は取るものの男性はきっと誰かに確認してくれて満員電車のような状態で座る私の側にきて「外国にお住まいで日本に住んでいる方には口座は作れません」と言ってくれるものだと思った。しかし、年末の超多忙の店内で動き回る係りの男性に声をかけるのが憚られた。
結局、1時間近く待っていた。そして私の番が来て窓口に行き、オウムのように用件を話し出す。窓口の女性は話を聞き終え私の身分証明の提示を求めた。私は日本国パスポートと、アメリカ在住を証明するアメリカの永住権を手渡すと、女性はそれらを持って席を離れた。5分以上はまたされたと思う。1時間待ってようやく窓口にきてもまた待たされる始末。
女性行員が暫くして戻ってきて、私の身分証明を戻しながら「申し訳ございません、日本に住んでいないと口座は作れないことになっています」と仰います。
日本に住んでいないと口座は作れないことになっています
身分証明を手渡して、5分以上待たされてこの返しですよ。それに対して階下の同系の信託銀行は外国に住んでいても口座は作れるので支店の多い都市銀行で作ればいいと言われて来たんですと応答すると、マニュアル通りの「申し訳ございません」と謝られました。
私が日本で生活していた90年代前までは銀行員はもっとしっかりしていたのである。尊敬できるくらい優秀だったのだ。辛口の私がもろ手を挙げて銀行員エライ!と思えたほどだった。しかし、今はこうなってしまったのか。
女性行員に一応言ってみた、身分証明を手渡す前に外国住まいの日本人が口座を作れるかどうかを調べるべきで、作れるとわかった時点で身分証明の提示を求めるべきではないか。別に私が指名手配されているわけではないけれど、意味のない身分証明の提示は避けたい。それに身分証明の提示を求める前に、銀行内で日本に住所をもたないものは口座が作れないくらいの決まりは銀行員に徹底してもいいのではないだろうか。
その後、私は階下の信託銀行へ出向き、先ほどのキリリ女性行員に日本に住んでいないと口座は作れないと言われたことを伝えると「ああ、そうでしたか….」と女性行員はキリリからヘナヘナな態度に変わってしまった。でも、まだ親切で外資の銀行シティバンクが近くにあるからそちらに行ってみてはと、丁寧に他行の所在地入りの地図をくれた。
面倒だけどシティバンクに行かねばならぬ。
シティバンクに到着すると入り口に窓口があり、いかにも外資系勤務のキレイドコロの女性に声をかけられ用件を聞かれた。オウムのように同じ台詞を言う私。その私に向かってキレイドコロが「申し訳ございませんが、日本にお住まいでないと口座は作れないのです」と。
最後のこの方の対応で救われた、ようやくようやく救われた。口座が作れないならそれはルールだから仕方ないのだけど、日本の銀行はシティバンクのように銀行に入店して1分もかからない対応で結論をくれたか?
日本の銀行のサービスは低下しておりますぞ!それは行員の質が低下していることなのです。たったひとつの問い合わせでシティバンクと日本の銀行のこの違い。シティバンクは外資だから、日本の銀行はそういうことに疎いって?それもあるかもしれない、しかし、日本の行員は機転が利かなくなっているのです。
事実、この話を日本の友人にしたら、日本の銀行サービスの低下に嘆いていらしたもの。どんな風に?って、もうこれ以上書き出すとストレスが更にたまるので、ここまでにしておきますが、日本の銀行よ、もっとしっかりせい!特に、顧客と直に接する銀行員の皆さんよ、日々精進あれ!
画像:frickr from YAHOO!
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