舛添都知事調査結果会見における「事実認定」という違和感

  by アルナオ  Tags :  

6月6日舛添都知事の調査結果会見が行われました。
調査結果は違法ではないが不適切な点が多いというもので、私人としては問題ないが公人としては失格という意味に捉えることができます。
不適切かどうかは常識で判断したという弁護士の発言があったように、政治家の行為は基本的に司法審査になじむものではなく、政治問題になります。政治問題の解決法は、不信任の議決やリコールという法定の制度があるので、その手続きを取ってくれと主張するのは当然でしょう。手続きを進める間に都民が納得するような業績を上げることがないとは言えないので、それくらいの猶予期間を与えるのは仕方ないところです。

違和感があったのは、弁護士が発言した事実認定という言葉です。弁護士が事実認定をしたと捉えたのですが、弁護士が事実認定をする裁判官の立場なら、当事者は都知事と誰だったのでしょう?
当事者主義とは、異なった立場から立証活動をすることで真実を発見するという考え方で、今回の場合は都知事と都知事を追及する立場の人が立証活動をすることになります。弁護士が追及し都知事が防御活動をする会見を都民が見て、都民が事実認定をするのかと思っていたら大きく違っていたようです。事実認定を知っているかどうかを質問者に問うのではなく、当事者主義を捨てた理由を解説して頂きたかったと思います。

事実認定をしたということは、疑わしい時は被告人の利益にという原則を適用したことになるので、あいまいなところはすべて都知事の利益になるように報告書を作ったという宣言にもなります。発言の真意はどこにあったのか知りたいところです。

(写真は筆者撮影)

何でもかんでも競馬に例えてしまうのが悪い癖なので、競馬は門外漢という皆様には読みにくいかもしれません。逆に競馬好きの皆様は法律経済のあたりがわかりやすくなるかも?