出産直後に赤ちゃんと母親が触れ合う早期母子接触で7人の新生児が脳性まひに

  by 松沢直樹  Tags :  

女性にとって、まさに命がけのライフイベント出産。それだけに生まれたばかりの赤ちゃんはいとおしく、
早く胸に抱いてあげたいと思う方が多いようです。

産科や小児科の医師も、母子の心のつながりを重視して、出生直後の赤ちゃんをできるだけ母親に抱かせる方針を
とっています。

しかしながら、必ずしも良い結果を生むとは限らないようです。
日本医療機能評価機構によると、出産直後に母親が赤ちゃんを抱く「早期母子接触」を実施した際に、容態が急変し、脳性まひになった赤ちゃんが、2009年以降少なくとも7人いることを公表しました。

対象としたデータは、出生時には問題がなかったものの、出生後5分以上経過して容態が急変した188人を対象に検証しています。

脳性まひと「早期母子接触」の因果関係は不明だとしていますが、新生児室ではなく、母親と同じ部屋で過ごして急変した例も18例あったことや、体温保持のために毛布をかけて母親が抱いていて、心肺停止状態に陥り、低酸素性虚血性脳症を引き起こした例も確認されています。

これらのデータからすれば、早期母子接触が必ずしも悪いとはいえませんが、出生直後は容態が急変するケースが珍しくないことがわかります。
したがって、出生直後に赤ちゃんを抱く場合は、産科医や小児科医の立会いのもと、新生児室で急変が起きた場合を想定して対応することを守るようにするなどといった安全対策を考える必要があるのではないでしょうか。
専門家の安全対策措置を急いでほしいですね。

※写真はイメージ 足成http://www.ashinari.com/2010/04/25-036108.php より

松沢直樹

福岡県北九州市出身。主な取材フィールドは、フード、医療、社会保障など。近著に「食費革命」「うちの職場は隠れブラックかも」(三五館)」近年は児童文学作品も上梓。連合ユニオン東京・委託労働者ユニオン執行副委員長