女がその木を見ると、それは食べるに良く、目には美しく、賢くなるには好ましいと思われたから、その実を取って食べ、また共にいた夫にも与えたので、彼も食べた。すると、ふたりの目が開け、自分たちの裸であることがわかったので、いちじくの葉をつづり合わせて、腰に巻いた。
旧約聖書創世記によると、アダムとイブが禁断の果実を食べてしまったので恥じらいを知り、以降人間界では性的な表現や話はタブーとなってしまった…のが史実かどうかは別として、よくよく考えてみると、この地球上に生きとし生けるもので性的な事項がタブーになっているのは我々人間しかない。
その良し悪しの判断は読者の皆さんに委ねるとして、少々回りくどい話になってしまったが、12月18日に行われた『春画のいろは~一夜限りの春画Bar~』というイベント取材のプレスリリースが届いていて、最近何かと話題の春画を見てみようと思っていたのだが、別の取材がありかなわなかった。
しかし、よくリリースを読んでみると「春画の解説や江戸時代と現代の性具比べ」や、性具メーカーによる新商品会とのコラボ企画であることが分かった。
なかなか表だって出ることの少ないこのような器具は、いったいどんなメーカーが作っているのだろうと思い、直撃取材した。
訪ねたのは株式会社TENGA。
男性用のものもあれば、女性用のものもあるが、今回は特に新製品であるという女性用のものを取材した。
対応してくれたのは、広報宣伝部の工藤まおりさん。
--こういうものは、どこで売っているのですか?販路が難しいのではないですか?
「そうですね。現在はEC(通信販売)が7割から8割を占めています。自治体の条例もあり、どこでも販売するわけにはいきません」
--そうでしょうね。女性用ということでしたが、どういう理念で作られているのですか?
「男性もそうかもしれませんが、女性は特に罪悪感というものを感じる傾向が強いようなのです。でも、『決してそんなことはないんですよ!』ということを広く知っていただいて、罪悪感から解放されればいいなと思っています」
--では、性そのものを解放しようとされているのですか?
「よく言われるのですが、それは違います。罪悪感にさいなまれるその感情から解放されればいいなということです。女性が髪をトリートメントするように、お顔をパックするのと同様に、『セルフケア』の一環として、性を楽しんでいただきたいと思っています」
--具体的にはどういうことでしょうか?なかなか表現が難しと思いますが教えてください
「例えば、自分自身やパートナーと、今まで知らなかった『良いポイント』を探ることによって、もっといい関係になれる。そしてもっと楽しむことができると思っています。でも、それを罪悪感が邪魔しているという面が少なからずありますので、そういう感情をお持ちになるよりも思いっきり楽しんでいただいた方が精神衛生上良いと思うのです。そこで、手に取りやすく極端な話ですがお部屋のアクセサリーとして置いても違和感のないもの、もちろん機能上も満足のいくものをご提案できればと思いました」
写真は女性用ブランドであるiroha(下3種)と、iroha+(上3種)
それでは、どのように使うのか、商品の実際を工藤さんに解説してもらったので動画でお伝えする。
■TENGA iroha+
https://youtu.be/DcB08pqPi40
動画では水没させていなかったので、後でやってもらった。お風呂でも使えるとのこと。
一般論としては、タブー視されているこれらの製品だが、同社の調査によると罪悪感を抱きながらも所望する女性は多いという。しかし使用するきっかけとして男性からのプレゼントというケースも意外と多いのも事実なのだそうだ。
もちろん、それにはパートナー女性との距離感が重要な要素になるが「大切にしている人への思いやり」と考えても決しておかしいということはないようだ。
「禁断の果実を食べて失楽園」という人間だけが持つタブーを解決する一つの手段になれば、心も豊かになるのかもしれない。
※写真と動画はすべて記者撮影・収録