男が覚悟を決めた日は

  by はむ  Tags :  

“大小”男ふたりのお笑いコンビ・ビックスモールンに『なりたいな』というネタがあるのはご存じだろうか。「なりたいな、なりたいな○○になりたいな!」こう唄いながら、軽快なリズムに乗せて、アクロバティックなボディアートを繰り広げる…

冒頭から幾分マニアックすぎたかもしれない。けれども、最近私が願っていることを伝えるには、この“唄”に乗せてみるのがイチバンなんだ。ちょっとやってみる。

なりたいな、なりたいな!「スーツが似合う男」になりたいな!!

仕事柄、あまりスーツを着用する機会のない筆者なのだが、先日約2年ぶりくらいに着た。‥礼服で。シチュエーション的にはあれだけれど(苦笑)、久々に身が引き締まる想いがした。

『一張羅』という言葉もあるが、男たるもの‥やはり、高級スーツを一着は持っていたい。全国各地で展開している、良心的な価格がウリな、紳士服のチェーン店ばかりで背広を買い揃えているようではダメだと、生前、私の母も云っていたような気がする。

そんな高級スーツの似合う男になりたいと、より一層強く感じるようになったのは、第18代巨人軍監督に就任したばかりの高橋由伸氏に触れた記事を読んでからである。その『会見前の身づくろい』と銘打たれた週刊新潮のフォト記事によって、中年筆者は心底、彼に心酔してしまうのだった—

ビジネスバックも画になる、見るからに仕事がデキそうな“エリートサラリーマン”といった風貌。都心でバッタリ彼と出くわしたら、野球選手というよりかは若手企業家か何かのようである。この外見もさることながら、ここに記されていた就任会見に“挑む”、由伸氏のエピソードがとにかく、ヤバい。以下引用。

10月26日の午後、表参道。通りからほど近い美容院を妻子と一緒に訪れた、ボサボサ頭に眼鏡、ノーネクタイのオジサンは、1時間ほどでご覧のように様変わりしたのだった。
定休日の美容院を開けさせてまで臨んだ会見で、「覚悟を持って邁進します」と、力強く語った新監督。

文から伝わってくる、華麗な「変身」っぷり。定休日の美容院を開けさせてしまう、スケールのデカさもカッコいいが“イケてなかった”オジサンも何かに対して、壮絶なまでの『覚悟』を持つと、こんなにも変われることができるのだと、感服せずにはいられなかった。

重圧にも負けぬ、強い精神力を持ち、洒落たスーツも似合う、そういうオヤジにわたしはなりたい‥‥と、宮沢賢治『雨ニモマケズ』なごとく。

とりあえず高級なスーツを一着買おうか。日頃着る機会がなくとも、何か覚悟を決めた日、そのスーツを着こんで髪を切り、ドドールでお茶を呑む‥‥。この発想からして、私はまだまだのようだ。もっと内面から高級スーツの似合う男を目指して、日々修行の身である。

◆画像・引用文すべて「週刊新潮 11月5日号」より

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